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国会

第197回国会における橋本聖子参議院自民党議員会長代表質問

2018年10月30日

第197回国会における橋本聖子参議院自民党議員会長代表質問

自由民主党の橋本聖子でございます。私は自由民主党・国民の声を代表して、安倍内閣総理大臣の所信表明演説について、総理に質問致します。

はじめに、7月豪雨、大阪北部地震、台風21号、24号そして北海道胆振東部地震により亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。被災された方々、そのご家族に心よりお見舞い申し上げます。また、全力で救援活動、復旧復興活動に当たられた皆様にも感謝申し上げます。私どもも、政府与党一体となって、被災地の復旧、復興、生活の再建に、引き続き、全力を尽くしてまいります。
さて、本年9月20日、6年ぶりに、自由民主党の総裁選挙が行われました。安倍総理・総裁は、この総裁選挙への立候補を表明するに当たり、「日本は大きな歴史の転換点を迎える。平成のその先の時代に向けて新たな国づくりを進めていく、その先頭に立つ決意だ」と強調されました。
私は、常日頃から、「政治は次世代のためのもの」、そういう観点を持って、政治に向き合わなければならないと心掛けてきました。ですので、総理の発言に「そのとおり。頻発する大規模災害、厳しさを増す安全保障環境、国難と言うべき人口減少や少子高齢化、深刻化する地球温暖化や海洋汚染、歴史的に見てもかつてないほどの大きな変化を乗り越えて、次世代に、素晴らしい日本、素晴らしい地球を引き継ぐには、今、この瞬間のことだけではなく、次世代のことを考えて取り組むべきだ」という思いを強くしました。
明治時代、新しい風を吹き込み、次世代のための新しい日本を創り上げる基盤となったのは、福沢諭吉先生の言う「多事争論」でした。参議院自由民主党には、多事争論の気風があります。様々な意見を交わした上で、決めるときは決め、その上で一致団結して政策を進めてきました。総理には、是非、日本の新しい時代を切り拓いていく政策の推進に強力なリーダーシップを発揮していただきたい。と同時に、しっかりと意見を受け止めていただきたいと思っております。私どもも総理とともに、次世代のための「新たな国づくり」に向けて進んで参ります。本日は、このような視点で総理に質問をさせていただきます。

去る9月6日午前3時7分、北海道胆振地方を震源としたマグニチュード6.7の巨大地震が発生しました。今回の北海道胆振東部地震では、今後、早急に対応すべきいくつかの課題が顕在化しました。そのうちの一つが物流の停滞です。地震直後から通行止めなどにより貨物輸送がストップしました。日本の食糧基地である北海道の物流が止まったことでスーパーの棚に欠品がでる状況も見られました。その中で、北海道と本州等を結ぶ物流が確保できたのは、港湾での大きな被害の発生を食い止めることができたからです。物流の拠点となる港湾は災害時に救援物資を受け入れる重要な施設です。その施設の老朽化が懸念されており、災害時に物流を支える港湾施設などの社会資本整備をしっかりと進めるよう強く要望いたします。
さらに取り上げたいのは、今回、国内で初めて発生した、電力会社の供給管内全域が停電するブラックアウトです。震源地から離れたところも含め295万戸の世帯が延べ45時間の停電に至りました。漁業や畜産では、保冷庫が動かないことにより水産物や生乳を廃棄せざるを得なくなり、乳牛の乳房炎感染という痛ましい状況にも苦しみました。このような中で、北海道のあるコンビニでは、事前に用意していた、電気や通信回線がなくても使える小型会計端末、ガス厨房器具などで地域住民の皆様の生活を支えていました。まさに、「危機管理は365日、日頃からの備えが大切だ」という言葉のとおりの災害対応と評価されると思います。
そこで、わが国で初めてといわれるブラックアウトを教訓に、将来の災害対応において、広範囲にわたる地域の住民の生活、病院での治療・診療、農林水産業、さらには治安や国防への影響を最小限に抑えるためには何が大切かを、早急に検討し、対応すべきと考えます。総理のお考えをお聞かせください。

地震直後のテレビ映像で、最大震度7を記録した厚真町の山肌がいたるところで土砂崩れにより茶色となっているのを見て、わが目を疑いました。50年以上、大切に育て上げてきたカラマツの緑は無残な姿になっていました。森林には、国土保全機能や地球温暖化抑制機能、木材資源の供給、人々の心と体への癒しの効果など多様なメリットがあります。一方、林業を維持するには、何世代もバトンリレーのように適正な森林管理を引き継がなければなりません。個人の力には限界があります。来年度から森林環境税、森林環境譲与税が創設されることとなっていますが、林業がもたらす国土保全機能等を考えれば、国土強靭化のための視点から、適正な管理はもちろん、今回の地震のような災害からの復興等についても、国からの財政的支援をさらに充実させていく必要があると考えております。
そこで自然災害が多発する中、どのような方針で、次世代へと健全な森林資源を継承するとともに、災害にも耐えうる強い林業を育成していく政策を展開していくおつもりか、お伺いします。

次に、外交・安全保障、特に日中、日露関係、そして北朝鮮について伺います。

本年10月、日中平和友好条約締結40年を迎えました。この間、改革開放路線が軌道に乗り、中国の名目国内総生産は世界第2位、2017年時点で日本の約2・5倍となりました。一方、経済成長と並行して、東シナ海、南シナ海等への海洋進出を強め、わが国を含む周辺各国との間に軋轢が生じています。このような動きには強い危機感を抱かざるを得ませんし、到底看過できません。
中国の脅威が強まる中、先月、海上自衛隊が、南シナ海の公海で、潜水艦や護衛艦部隊による、潜水艦戦を想定した演習を実施しました。この演習後、護衛艦部隊は東南アジア周辺海域で長期訓練を行い、潜水艦は南シナ海でベトナム・カムラン湾の国際港に寄港しました。ベトナム外務省担当者は、寄港を歓迎し、日越関係が「アジア太平洋地区の平和と繁栄のための戦略的協調関係に高まっている」と評価しています。 わが国への挑発行為に対しては、毅然とした態度で臨むことが重要です。中国の動きに懸念を持つ各国と連携していくことも不可欠です。同時に、平和友好条約締結後、40年間で積み上げてきた財産を礎に、中国との友好関係を次世代へと深めていく必要があります。
先週、総理は、この40周年の機会をとらえ、中国を訪れ、習近平国家主席や李克強首相と会談されました。そして「競争から協調へ」、「互いに脅威とならない協力のパートナー」であるという原則を確認しました。同時に、東シナ海の問題についても、総理から日本側の問題意識を伝えた上で、現場の状況の改善を求めました。
そこで、訪中で示された方向性を踏まえ、中国の海洋進出による軋轢の解消のために、具体的にどのように臨むのか、その上で、外交、経済、文化などあらゆる分野で、どのように日中関係を深めていくおつもりか、という点についてお尋ねします。

戦後外交の総決算、それは北朝鮮問題を解決し、ロシアとの間で北方領土問題を解決して平和条約を締結することです。そこで、初めに北朝鮮問題について伺います。北朝鮮情勢を巡っては、核・ミサイルの廃棄が具体的に進んでいるわけではなく、日本を射程に収める数百発の弾道ミサイルは今も実戦配備されていると分析されています。北朝鮮の脅威のレベルは変わっていません。それにもかかわらず、10月上旬、韓国外相は停滞する米朝核協議の打開に向け、米が北朝鮮に保有核戦力や核施設のリスト開示を求めるのを当面控える一方、北朝鮮が北西部、寧辺の核施設を国際査察の下で解体するのを受けて朝鮮戦争の終戦宣言を行うことなどを取り決め、信頼醸成を進める提案をしたとの記事が米紙に掲載されました。これでは、北朝鮮がリストの提示を拒んだまま、一部施設の解体で逃げ切ることを認めてしまうことになりかねません。終戦宣言に応じれば在韓米軍の撤収を要求する口実に使う恐れもあります。安易な融和策ではなく、本年6月の米朝首脳会談の朝鮮半島完全非核化の約束の下に、北朝鮮の包囲網をしっかりと再構築することが、朝鮮半島の非核化と地域の安定につながることを引き続き、米、韓に強く訴えていくべきです。次の世代、将来に不安定、不透明な状況を残すべきではありません。同時に、「拉致の解決なくして北朝鮮は未来を描けない」、この一線を決して譲ることなく、引き続き対応すべきことは当然です。総理は、「次は私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない」とおっしゃっておられますが、すべての拉致被害者の帰国とともに朝鮮半島の非核化を実現すべく、どのような決意と方針で臨まれるおつもりでしょうか、お聞かせください。

もう一つ、戦後外交の総決算である北方領土問題の解決についてお尋ねします。一昨年12月の日露首脳会談で協議入りが合意された共同経済活動については、この実施を通じて、日露双方に相互理解が進むことで、領土問題を解決し平和条約を締結する大きな力になることを期待しています。一方、領土問題については平和条約締結との順番をしっかりと確認することが大切です。
北方領土についても、いくつかの懸念があります。新鋭戦闘機スホイ35が試験配備され、次いで新型地対艦ミサイルも配備されました。今年10月には北方領土周辺で射撃訓練を行ったとみられています。演習通告を受け、わが国政府は、外交ルートを通じ「北方四島に関するわが国の立場と相いれない」などと抗議を伝えましたが、このような動きは、両国民の理解促進、環境整備に逆行しかねません。本年9月、ウラジオストクで開催された会議ではプーチン大統領は「新しいアプローチ」として、平和条約締結後に「友人として意見の隔たりがあるすべての問題を解決しよう」と発言しました。このプーチン提案に、総理は冷静に対応されていました。引き続き、元島民の皆様や北方領土隣接地域の皆様などの思いを踏まえながら、共同経済活動のそもそもの趣旨を守った上での進展により、北方領土問題の解決、そして平和条約締結へと進めていくべきです。そこで、ロシアの演習等の状況を踏まえつつ、共同経済活動を含めどのように日露関係を進め、領土問題の解決を図り、平和条約を締結する道筋を描いておられるのでしょうか。お尋ねします。

次に、わが国が待ったなしに取り組まなければならない、国難とも言うべき人口減少、少子高齢化社会の進展に関して伺います。75歳以上の高齢者は、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて急速に増加し、その後も増加し続けます。他方、15歳から64歳までの生産年齢人口は、2025年以降、更に減少します。
総理は「全世代型の社会保障制度へと3年で改革を断行する」と強調しました。2025年までの残されたわずかな期間に、社会情勢の変化に対応した制度、すなわち現役世代だけではなく、女性、高齢者を始め、誰もが社会の構成員として活躍できる一億総活躍社会をしっかり実現していかなければなりません。同時に、将来の社会の担い手である子供たちの健やかな成長を保障し、また、生涯を通じた生活上の困難、リスクを現役世代も高齢者も共に国民全体で支えていくことで、全ての国民が安心して暮らせる社会の実現を目指していくことも求められています。介護福祉士など現場を支えている皆様の処遇改善などにより、しっかりとした体制の整備を進めていくことも不可欠です。このように、年金や医療、介護、少子化対策などが密接に関連し合う広範かつ包括的な政策の下、あらゆる施策を総動員していくためには、財源もしっかりと示す、これが今だけではなく、次世代のことも考えるべき政治家の責任だと思います。すでに法律上、来年10月には消費税率引上げが規定されているところですが、人口減少等を克服し、次世代へとわが国の活力を引き継ぐには、全世代型社会保障の実現が不可欠であること、その実現のためには消費税率引上げによる負担をお願いせざるを得ないことについて、国民の皆様が納得できるよう、今一度、具体的にお聞かせください。

環境問題も、次世代のために考えていかなければならない重要な課題です。
近年、これまでとは異なるパターンの豪雨や豪雪、台風の襲来などが見られます。平成30年7月豪雨の総雨量は過去の雨量と比べて極めて大きいものでした。本年7月の東日本の月平均気温は統計開始以来の記録となるなど猛暑となり、多くの熱中症患者が発生しました。地球温暖化により、平均気温はさらに高くなり、より強力な台風の襲来も増えると予測する研究機関もあります。子どもたちに灼熱の地球を手渡すわけにはいきません。パリ協定の枠組みを受けて定められた目標達成のためにも、再生可能エネルギーの導入量を増やすなど低排出なエネルギーミックスの推進と効率化を追求していくべきです。
さらに、もう一つの深刻な地球規模の環境問題である海洋プラスチック問題についても指摘したいと思います。近年、5ミリ未満のマイクロプラスチックによる海洋汚染が深刻化しています。北極や南極でも観測されたとの報告があり、全地球規模で広がっています。
残念ながら、重量ベースで見ると、2050年までに海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を超過するとの予測もあります。今から10年前、私は外務副大臣としてケニアを訪れたことがあります。そのころから、ケニアでは、家畜が誤ってビニール袋を食べるなどの深刻な環境問題が発生しており、いわゆるレジ袋への厳しい規制が議論されていました。海外からの持ち込みにも厳しい目が光っていたほどです。
四方を海に囲まれ、動物性たんぱく質の摂取を魚に依存しているわが国でも、マイクロプラスチックなどの海洋プラスチック問題に実効性のある対策を率先して進めるべきです。本年6月のG7シャルルボワ・サミットで、日本が議長を務める2019年のG20でも海洋プラスチック問題に取り組む意向である旨の総理の発言がありました。国内での対策はもとより、ASEAN各国を含む途上国を巻き込んだ対策を国際社会に打ち出していくことも求められています。そこで、来年のG20に向けて、産業界や国民の皆様とともに、海の環境を守り、クリーンな海洋資源を次世代に引き継いでいくために、どのような決意でどのような施策を講ずるお考えでしょうか。お聞かせください。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて着々と準備が進められています。大会の成功はもちろん、この世紀のイベントをわが国の将来の成長、次世代への遺産につなげていく努力も大切です。その一つが、わが国の優れた食文化、地域の多様な食の魅力を発信するといった視点です。食事は参加選手たちの大きな楽しみであり、メディアも大いに注目します。
昭和39年の東京大会では、海外の選手やマスコミは日本の食事についてあまり知られておりません。しかし、実際は、わが国のバラエティに富み、おいしい食事に驚いたといいます。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されていることからも、今回の東京大会では、相当高い期待感を持って、海外から大勢の皆様が訪れます。その期待を裏切ることは許されません。併せて、わが国の食文化、質の高い食材を世界中にアピールできる絶好の機会として活用し尽くすべきです。
東京大会では、組織委員会が「農産物の持続可能性に配慮した調達基準」を策定し、食品安全、環境保全、労働安全の三つの要件を設定していますが、その中で、選手村に野菜などを提供する場合には、農業生産工程管理(GAP)という認証を受けることとなっています。GAPの認証がなければ、選手村で提供されず、チャンスを逃してしまいます。
選手村で必要となる食材は、GAP認証取得農場の年間出荷量を見れば、量的にはカバーできるでしょう。しかし、その上で、わが国の食の魅力を理解してもらい、大会後に素晴らしさを世界にさらに伝えてもらうために、将来を見据えて、大会のレガシーとしてGAP認証のメリットを広めていくべきです。台湾のウエイトリフティング選手の合宿が開かれる北海道士別市では、地元のJA北ひびきがGAP認証を取得しており、認証取得したブロッコリー、アスパラガスなどを使った料理を選手に提供する取り組みを進めています。そこで、GAP認証の普及も含めて2020年の東京大会を日本の食材を海外に売り出す絶好の機会とするために、どのような戦略をお持ちでしょうか、お聞かせください。

アベノミクスが始まって、5年半を超えました。総理は、5年10カ月前に「まっとうな経済を取り戻す」と訴えて政権を奪還しました。それ以降、円高や株安は修正され、多くの大企業が過去最高の収益を上げています。雇用環境も大きく改善し、雇用者の所得も伸びています。アベノミクスの初期目標は確実に実現されたと言っていいと思います。
それにもかかわらず、足元の成長は、特に地方で力強さに欠けているという声が聞こえます。個人消費もなかなか伸びません。大都市部への人口の集積と地方からの人口の流出もとまりません。近年、「多様性は活力を生み出す」と言われていますが、多様な産業、歴史、自然、文化を持つ地方が衰退することは、わが国の活力も損なわれるということです。
次の世代に、わが国の多様な文化、社会、産業などを形成する地方を引き継いでいくことも、私たち、政治家の役割であります。近視眼的、単眼的な経済原理や政策ではなく、20年、50年、100年先を見据えて、次世代を担う人々、地方の将来を真剣に考える人々とも膝を突き合わせながら、わが国の未来を地方から考えることも重要です。人口が多い大都市部からの声が大きく響きがちであるだけに、人口比例だけではなく、地方の小さな声を丁寧に拾って、政策に反映させていくべきです。
是非とも、アベノミクスの総決算に当たって、地方創生はどのような成果を上げたのか、その成果が地方の実感として捉えられてきたのか、という点などについて、政府を挙げて、地方の皆様からの声をつぶさに聴いていただきたい。そして、全国津々浦々の地方の人々が、アベノミクスによる経済のぬくもりを肌で実感できるような地方再生を実現して欲しいと思います。
そこで、アベノミクスの総決算として、次世代に活力ある地方を引き継ぐために、地方創生にどのように取り組んでいくつもりなのか、総理の決意とお考えを伺いたいと思います。

最後に、憲法改正に関して、一言申し上げます。
日本国憲法が制定されて70年が過ぎました。わが国を取り巻く安全保障環境、経済社会状況、そして国民の意識などは大きく変わっています。憲法は国民のものであり、国の形を示すものです。時代が変わり、国民の意識も変われば、議論を重ねて、今の時代に即した憲法の姿を国民の前に提示し、国民の判断を仰ぐことこそ、民主主義であると信じています。
次世代にどのような形の憲法を残すべきか。次の世代に責任を持つ政治家として、まずは国会の憲法審査会を開催し、党派を超え、真に国民のために、憲法改正に向けた議論をすべきです。このことを皆様に強く訴えて、私の代表質問とさせていただきます。ありがとうございました。

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