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国会

第193回国会における吉田博美参議院幹事長代表質問

平成29年1月24日

第193回国会における吉田博美参議院幹事長代表質問

 

自由民主党の吉田博美です。私は自由民主党・こころを代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説について、総理に質問致します。

質問に先立ちまして、昨年12月に新潟県糸魚川市で発生した大火において被害を受けられた皆様に、心からお見舞いを申し上げます。自由民主党としても、二階幹事長を団長とする視察団を派遣して、現地の声を伺いながら迅速な対応に努めているところであり、今後とも復旧・復興に向けて全力を尽くしてまいります。

さて、安倍内閣が政権に復帰してから5年目となりました。第一次内閣を合わせた総理の在任期間は、佐藤栄作、吉田茂、小泉純一郎の各総理に次いで、戦後歴代4位となっています。内閣支持率も高い水準を維持し、政界は安倍一強とも言われる状況です。

しかし、本当に世の中で言われるほど、総理は人の意見に耳を貸さずに一方的に物事を進めているのでしょうか。自民党・公明党の政権復帰以降、私は参議院自民党で、幹事長代理、幹事長代行、国対委員長、そして幹事長を務めてまいりました。しかし、その間に一度も、安倍総理から上意下達で指示を受けたことはありません。総理だけでなく、官房長官、副長官など、官邸から一方的に指示されたことは一度もないのです。すべて相談をいただき、話し合いの中で決められてきたのです。

一昨年の平和安全法制、昨年のTPP関連法などのときも、総理からの一方的な指示は一切ありませんでした。強いて言えば、平和安全法制の審議に際して、デモ隊に一人でも死傷者を出してはいけない、と強くおっしゃっただけです。

総理は、昨年5月には広島を、12月には真珠湾を、米国のオバマ前大統領とともに訪問され、かつて激しい戦火を交わした両国の和解と、未来志向の関係を訴える演説をされました。ハワイでの日系人との夕食会では、千人以上が詰めかける中、総理は全てのテーブルを回って写真撮影に応じたと伺っています。

本当にこの人が、日本を戦争する国にし、徴兵制を目指し、民主主義を軽視するという、一部の野党やメディアがいうような強権的な指導者なのでしょうか。メディアが作り上げているイメージと、実際の姿とは、大きく異なっていると私は感じています。

私は、前回の総裁選の時には、安倍総理を応援しませんでした。しかし総理は、応援した人もしなかった人も公平に扱われます。私が総理と直接お話をする時にも、総理はとても丁寧に話を聞いてくださいます。一時間近くにわたってお話をすることもあり、耳障りの悪いことも申し上げていますが、一度も嫌な顔はされたことはありません。誰とでも同じ目線で接することができるのが、総理の最大の強みだと思います。ですから、総理は、党内で幅広い支持を得ています。総理には、人の気持ちをつかむ力があるのだと思います。

それは国内にとどまらず、海外との関係においても当てはまります。総理は、ロシアのプーチン大統領との個人的な信頼関係を築かれています。米国のトランプ大統領とも、就任前に会談され、気持ちをつかみました。今後会談を重ねる中で、さらに信頼関係を強固なものにできるはずです。世界のリーダーとファーストネームで呼び合う関係が作れるのは、総理の人柄の賜物であると思います。

私は、内閣とは一線を画す、参議院自民党の幹事長という立場ですので、どちらかと言えば総理に苦言を呈する役割が多くなっています。そこで敢えて申し上げますが、私は、総理が一番恐れるべきは、裸の王様になることだと思います。総理の周辺で、誰も苦言を呈さなくなった時には、都合の悪い情報が上がらなくなり、バランスの取れた判断ができなくなってしまうからです。そうならぬよう、これからも総理には苦言を呈していきたいと思いますので、よろしくお願い致します。

さて、昨年、我々参議院自民党では、初めて女性の議員会長が誕生しました。また、公明党におかれては、7年以上にわたり参議院議員が代表をお務めになっており、同じ参議院議員として大きな誇りであります。野党第一党でも昨年、民主党・民進党を通じて初の女性代表が、参議院から就任されました。女性の活躍推進が叫ばれる中で、女性の参議院議員が活躍されることもまた、誇りに思います。

しかし、野党第一党の女性代表は、就任当初「提案型・対案型」という話だったはずですが、先の臨時国会での姿を見ていると、「対立型・対決型」であったと言わざるを得ません。政府・与党の方針にただ反対し、対決するだけではなく、建設的な、そして現実的な提案を行うことで、政権交代可能な野党になってほしいと願っています。与党と野党がお互いに切磋琢磨し、我が国の民主主義をさらに発展させていく、そんな関係を作っていければと思っています。

では、総理に対する質問に入ります。初めに、経済財政政策について伺います。今年は、世界経済の動向について、これまで以上に注目が集まる年になりそうです。一月二十日、米国でトランプ新大統領が就任いたしました。就任演説では、米国の国益を最優先にする「アメリカ・ファースト、米国第一」を表明しました。就任直後に公表した主要政策でも、「強固で公平な貿易協定で、国際貿易を経済成長や雇用の回復に生かすことができる」とし、TPPからの離脱やNAFTAの再交渉の開始など「米国第一」の考えが反映されています。

新大統領は「自由で公平な貿易の重要性」を理解されていると考えますが、仮に、今後、企業に対して米国内での生産や雇用を半ば強引に求める手法が取られるとすれば、我が国の産業や経済を含め、世界経済にどのような影響をもたらすのか、予断を許しません。

保護主義的な色彩の強い経済政策が各国にも波及すれば、国際的な貿易や投資が停滞するという事態にもなりかねません。経済の不確定要素が高まるとの懸念がある中、我が国としては、国際社会に対して粘り強く自由貿易の重要性を説き、世界が保護主義の連鎖に陥らないようにすることが大切であると考えます。

そこで、まずは本年の世界経済の展望と、それを受けての我が国の経済財政運営についての基本的な考え方を伺います。

次に平成29年度予算案について伺います。本予算案は、「経済・財政再生計画」2年目の予算として、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算となっています。経済再生については、一億総活躍社会の実現や、日本経済の成長力を高めるような施策への重点配分が謳われています。中でも、日本の未来を支える子供たちのために、経済事情に関わらず、希望すれば大学に進学できるよう、返還不要の給付型奨学金制度の創設が盛り込まれています。

一方、財政健全化については、一般歳出全体や社会保障費の伸びを抑制し、国債発行額を引き続き縮減する予算となっております。

しかし、予算の資料を見ますと、一億総活躍社会や経済再生に関する重要政策でも、百億円単位の項目が並んでおり、全体として小粒であるという印象も受けます。

本年4月から予定されていた消費税引き上げが延期された影響で、厳しい予算編成であったことは十分理解できますし、国債発行も縮減したことで、かなり緊縮度の高い財政運営になっているように感じますが、平成29年度予算案について、総理はどのように評価されているか、ご見解を伺います。

次に、働き方改革について伺います。総理は昨年8月の内閣改造で「働き方改革担当大臣」を任命され、内閣の重要課題としてこの問題に取り組んでいく姿勢を示されました。また、昨年9月から「働き方改革実現会議」を開催して、具体策が議論されています。総理はこの会議の中で、働き方改革のテーマとして9項目をあげられましたが、その中でも大きなテーマは、長時間労働の是正と、同一労働同一賃金であります。

長時間労働の是正は、我が国にとって高度成長期以来の宿題といってもよい、長年の課題です。これまで我が国では、大企業から中小・零細企業まで、多くの企業が社員の長時間労働に依存してきたことは、否定できない事実です。そして、企業の中では、長時間労働する人の方が評価されるという風土が存在することも、また事実であります。

昨年、大手広告代理店の若手社員が過労自殺したことが大きく取り上げられましたが、長時間労働を認めてしまうような風土が多くの企業に広がる中で、過労死や過労自殺といった痛ましい悲劇が後を絶ちません。命を絶つに至らないまでも、うつ病などの精神疾患の患者数は、近年増加を続けています。こうした状況を改善するためには、個々の企業の努力のみならず、社会全体として長時間労働に頼らない働き方に変えていく必要があります。

また、長時間労働の是正は、女性の活躍や、仕事と子育て・介護との両立支援という観点からも重要です。特に、我が国の将来にとって大変深刻な問題である少子化への対策のためには、子育てに時間を取れる働き方を普及することが喫緊の課題となっています。

このように、長時間労働の是正が急務であることは論を待たないわけですが、一方で、政府はこれまで、労働規制を緩和し、自由な働き方を可能とする方向の改革も目指してきました。一部の野党が残業代ゼロなどと批判した労働基準法の改正案もそうであります。

一見すると、長時間労働を是正するという方向性と、自由な働き方を認めるという方向性とは、矛盾するようにも感じるため、政府がどのような方向を目指しているのか、一部に不安や誤解もあるのではないでしょうか。長時間労働の是正についての基本的な考え方と、自由な働き方を認めるという考え方との整合性について、ご見解をお聞かせください。

同一労働同一賃金については、昨年12月に政府の働き方改革実現会議がガイドライン案を発表しています。これを見ると、正社員と非正規社員の間で、賃金に差をつけてよい場合とよくない場合が、具体例をもって示されています。

それぞれの事例は、非正規社員の待遇改善という観点に立てば、妥当なものであると思います。ただ気になるのは、同一労働同一賃金というのは、正規と非正規の格差の問題だけなのかという点です。同じ仕事をしている正規と非正規の間に差があってはいけないのであれば、同じ仕事をしている若手とベテランの間にも、賃金に差があっていいのかという話が出てくることは避けられません。

例えば学校の教員やバスの運転手など、新人とベテランで外見上は同じような仕事をしていても、賃金が大きく異なるという場合はよくあるはずです。こうした場合の賃金差を説明することが難しくなると、我が国で広く行われてきた年功序列のシステムそのものが問われることになります。逆に言えば、同じ仕事をしている限りは、何年勤めても給料が上がらない、という事態もあり得ることになります。

政府としては、同一労働同一賃金は、正規と非正規の間の格差に限った話であると考えているのでしょうか。あるいは将来的に、年功序列を改めるなど、我が国の雇用体系全体の改革まで視野に入れているのでしょうか。将来的にどのような賃金・雇用体系が望ましいと考えているかが見えないと、雇う側も雇われる側も不安になってしまいます。将来的に目指している同一労働同一賃金の姿について、お考えをお聞かせください。

次に、外交・防衛政策について伺います。本年は、主要国で選挙や政権交代が相次ぐ重要な年となります。先日、米国のトランプ大統領が就任しましたが、4月及び5月にはフランスの大統領選挙、9月にはドイツの連邦議会選挙が予定されています。また、時期はわかりませんが、韓国でも大統領選挙が行われることになります。

米国の新政権の動向も大いに気になるところでありますが、その他にも、ヨーロッパでの極右勢力の台頭や、韓国での反日感情の高まりなど、我が国にとって注意すべき状況があります。昨年の英国のEU離脱決定とも重なりますが、各国において内向きの姿勢が強まっていると感じます。これが高じれば、各国の協調体制が揺らぎ、国際的な摩擦や紛争が増えるという事態も懸念されます。

現在、G7諸国の中では、安倍総理とドイツのメルケル首相がベテランであり、存在感を発揮しています。今後の選挙などを通じて、さらに各国の指導者交代が進む可能性もありますが、在任期間が長い安定政権であるという長所を生かして、平和で安定的な国際協調体制の強化に向けて、さらなるリーダーシップを発揮されることを期待致します。そこで、本年の外交の基本方針について、お考えを伺います。

次に、具体的な問題として、中国と韓国について伺います。中国については、我が国周辺や南シナ海において、軍事的な動きをますます活発化させています。今後、我が国周辺での軍事的な緊張がさらに高まる可能性も否定できません。

日本と中国との間では、最近、緊張関係ばかりが注目されますが、本来は長い友好の歴史があります。総理も終戦70年の談話の中で感謝を示されたように、中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが無事成長し、再び祖国の土を踏むことができたのは、中国の方々の寛容な心のおかげでした。最近でも、中国からの観光客は年々増加し、昨年は600万人を超えるまでになっています。多くの方が、日本の魅力を発見し、日本人を好きになって帰っていかれます。

もちろん、中国の一方的な行動に対しては、日米や他の周辺国が連携して抑制していくことも必要です。一方で、中長期的には、日中両国の友好関係を再構築し、前向きに協力し合う関係にならなければ、アジアの平和と安定は保たれません。今後の対中関係について、どのような方針で臨まれるお考えか、ご見解を伺います。

次に、韓国との関係について伺います。昨年12月の朴槿恵大統領の弾劾可決による職務停止や、釜山の日本総領事館前への慰安婦像の設置によって、それまで改善に向かっていた韓国との関係が一挙に不透明になりました。

私は、これまで多くの韓国の方々とお付き合いしてきましたが、みなさん、義理人情を大切にし、約束をしっかりと守る人たちです。そのため、どうして今回のような事態になったのか、大変心を痛めています。在日本大韓民国民団でも、両国政府が苦悩の末選択した結果である日韓合意の着実な履行と、慰安婦像の撤去を訴えています。韓国国民の中にも、冷静で良識ある判断を求めている人は多いと信じています。

政府としては、どのようにして今回の事態を乗り越え、日韓合意の着実な履行と、今後の日韓関係の発展を目指していくお考えなのか、ご見解を伺います。

次に社会資本の整備について伺います。グローバリゼーション化の中で、産業活動を活発化させ、経済の発展を図るためには、生産や物流の効率化の基盤となる社会資本の整備が不可欠です。今、G7各国は、雇用を生み出す投資を確保し、人と物の移動を容易にするために、いずれも厳しい財政環境の中で、社会資本のストック効果に着目し、積極的に交通網などの社会資本の整備に取り組んでいます。

特に、人口減少に直面している我が国では、他の先進国以上に、労働力の減少を補うべく生産性を向上させ、成長の基盤を確保するために、高速交通ネットワークなどの社会資本を整備していくことがますます重要になっています。また、国土のバランスのある発展を実現するためにも、過疎に悩む地方でも、人口集中に対応しなければならない都市でも、着実に整備を進めていくべき社会資本はまだまだあります。
地球温暖化が原因かもしれませんが、昨年の台風10号は過去にはない経路で日本に上陸し、台風直撃への備えが薄かった東北や北海道に大きな被害をもたらしました。温暖化が進むと強い台風が発生する率が高くなるとの分析もあります。また、東海地震、東南海地震、南海地震のような巨大地震が発生するリスクも高まっています。このような国土に住む我々は、経済、暮らしが自然災害により致命的な被害を受けることを防ぐと同時に、万が一、被害を受けても迅速な復旧・復興が実現できること、すなわち国土の強靭化を速やか、かつ強力に進めていくことが必要です。自然災害は我々の準備を待ってはくれないのです。

社会資本整備を進めていくに当たっては無駄を排除し、効率性を重視しなければならないことはもちろんですが、社会資本そのものを無駄と決めつけて整備を遅らせることは、国際競争の中で我が国の経済活動を発展させる上でも、地方創生を進める上でも、国民の生命や財産を守る上でも、絶対に避けなければならないと考えます。

我が国の生産性の向上や地方創生、国土強靭化の推進の観点から、社会資本の整備をどのように進めていくお考えか、お伺いしたいと思います。

最後に農業政策について伺います。農業政策においては、農業者の方の所得を向上させ、安心して農業に取り組めるようにすることが、何よりも大切な課題です。

そのためには、農業の経営力強化のための支援が欠かせません。我が国の農業従事者の平均年齢は六十六歳を超えているなど、農業の活性化は待ったなしの課題です。安倍内閣では、農業の成長産業化の実現に向け、農政全般にわたる抜本的な改革を進めた結果、四十代以下の新規就農者が年間二万人を大きく超え、統計開始以来最多となりましたが、さらに新しい時代に向けた農業政策への転換の中で安心して農業に取り組めるよう、生産から加工、流通まであらゆる面で骨太の農業政策を推進していく必要があります。

まずは、農業者の方々が、安全で質の高い農作物を将来にわたって安定的に生産できる環境が必要です。こうして生産された優れた農作物が、国内の消費者に行き渡るとともに、海外の市場でも高く評価され、輸出の増加につながるような支援も必要です。生産基盤の強化と市場の拡大が、農業者の所得向上と、さらなる生産につながるという持続可能な農業を作り出す好循環を生み出すことが、政府に求められる重要な役割です。

総理は施政方針演説の中で『8本に及ぶ農政改革関連法案を今国会に提出し、改革を一気に加速します』とおっしゃいました。この改革の中で、農業者の方々が安心して農業に励み、市場の拡大と所得の向上につなげられる仕組みづくりをどのように進めるつもりなのか、お考えを伺います。

慰安婦問題に関する日韓合意のように、これまでお互いが身を削るような交渉を経て、積み上げてきた合意を、気に入らないからといって一方的に反故にするような行為に対しては、我が国は国際社会の責任ある一員として、断固としてノーと言わなければなりません。

各国が内向きの姿勢を強める中で、今後、我が国が国際社会で果たすべき役割は、ますます重くなっているといえます。安倍総理におかれては、例え相手がどこの国の誰であっても、世界が保護主義に陥ることがないよう、グロ―バリゼーションを推進する立場から、強力なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。G7のベテランとして、総理はそれができる立場にあると思いますので、大いに期待を申し上げて、私の質問を終わります。

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