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政策

成長戦略「実行」を前面に 安倍総理所信表明

平成25年10月23日

成長戦略「実行」を前面に 安倍総理所信表明

安倍晋三総理は今臨時国会が召集された10月15日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。この中で安倍総理は、アベノミクス「第3の矢」である成長戦略の「実行」を全面に掲げ、産業競争力の強化策をはじめとする戦略の具体化に全力を挙げる決意を表明。「『新しい成長』の幕開け」とも述べて、デフレからの脱却と日本の再生を目指した取り組みをさらに充実、加速する考えを示した。

アベノミクスの成果強調

安倍晋三総理は明治時代の啓蒙思想家などの言葉を引用して、「意志の力」で課題を克服しようと訴えた。

安倍総理は冒頭、「『3本の矢』は世の中の空気を一変させた」と述べてアベノミクスの成果を挙げ、そのうえで「この道を迷わず進むしかない」として、引き続きデフレ脱却を最優先課題として政策に取り組むことを宣言した。

そのための具体策である成長戦略については演説時間の約3分の1を充てた。安倍総理は今年6月に「第3の矢」である成長戦略「日本再興戦略」を発表している。この日の演説では、「この国会は、成長戦略の『実行』が問われる国会だ」と位置付け、今国会で関連法や制度を整えるなど、戦略を実行に移す方針を強調。「いよいよ、日本の『新しい成長』の幕開けだ」とも述べた。

具体的には、技術開発に取り組む企業に新たな規制緩和で対応する「企業実証特例制度」の創設や、今後3年間を「集中投資促進期間」として政策を総動員することなど、企業活動を活性化し産業競争力を強化する方策を指摘。「目指すところは、雇用を拡大し、収入を増やすこと。そのことがさらに消費を拡大し、新たな投資を生み出す」と説明し、その「経済の好循環」を実現するために政労使の連携を深める方針も示した。

「強い経済」取り戻し
中長期の財政健全化目指す

成長分野への参入を促す方策として、電力システムの改革や再生医療制度の見直し、今後10年間で農業・農村全体の所得倍増を目指すことなどを挙げたほか、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指して「国家戦略特区制度」の創設を挙げた。

安倍総理は、さきに消費税率引き上げを決断し、これに伴う経済政策パッケージを発表したことにもふれて、社会保障制度の安定化と中長期の財政健全化目標の実現の両方を目指すことも強調。

また、東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策には「国が前面に立って責任を果たしていく」と述べ、大規模災害に備えた強靱な国づくりとともに東日本大震災の復興加速化に邁進(まいしん)する考えを表明。外交・安全保障政策では「現実を直視した外交・安全保障政策を立て直す」として、その司令塔機能を強化するための「国家安全保障会議」を創設する方針を示した。

所信表明要旨

◎「3本の矢」は世の中の空気を一変させた。この道を迷わず進むしかない。

◎東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策を、東電任せにすることなく、国が前面に立って責任を果たしていく。

◎今後3年間を「集中投資促進期間」と位置付け、税制・予算・金融・規制制度改革といったあらゆる施策を総動員する。

◎この国会は、成長戦略の「実行」が問われる国会だ。

◎社会保障制度を次世代に安定的に引き渡していくために、消費税率引き上げと同時に「強い経済」を取り戻さなければならない。こうした取り組みの下、中長期の財政健全化目標の実現を目指す。

◎積極的に世界の平和と安定に貢献する国にならねばならない。「積極的平和主義」こそが、わが国が背負うべき21世紀の看板だ。

◎定数削減を含む選挙制度改革について、結論を得よう。憲法改正について、国民投票の手続きを整え、前に進めよう。