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競争力強化がメインテーマ
野田毅党税調会長に聞く

平成25年10月9日

競争力強化がメインテーマ 野田毅党税調会長に聞く

民間投資活性化等のための税制改正大綱

安倍晋三総理が10月1日に発表した経済政策パッケージには、自公の与党がまとめた「民間投資活性化等のための税制改正大綱」が盛り込まれた。投資減税をはじめとする今回の税制措置の考え方について、野田毅党税制調査会長に聞いた。

「単なる企業減税ではない」
経済循環につながる効果を

―――税制改正"秋の陣„となりました。

野田毅党税制調査会長 アベノミクスの第3の矢「成長戦略」に必要な、競争力強化に役立つ税制措置というのがメインテーマでした。

加えて、消費税引き上げに伴う駆け込み需要と反動減という経済的影響をどう乗り越えるかという問題意識だけでなく、長いデフレ状況から右肩上がりのトレンドへのギアチェンジを確かにすることへの強い思い、それらを安倍晋三総理から要請されて検討しました。

―――設備投資などについてはすでに平成25年度税制改正で減税措置しています。

野田会長 設備投資減税も研究開発税制 も25年度改正で大幅に拡充しましたが、今回の改正でさらに厚みを増すものにしました。設備投資減税は即時償却を含めて大胆に措置するとともに、先端設備 の導入のほかに、省エネ、温暖化対策、耐震など新たな要素を入れて対象を広げました。また、中小企業には大きく配慮した措置にしました。

これらによって企業の生産性を向上させ、競争力を強めて、結果的に雇用の拡大につなげていく。単に企業を儲(もう)けさせるための減税ではありま せん。限られた財源をどこに重点的に投入するかという点で言えば、そのような研究開発や投資減税の形でやった方が、一般的な企業向けの法人税減税よりも幅 広い効果があるということです。

―――経済の好循環につなげるためですね。

野田会長 今回は、デフレ脱却のためには企業の賃上げがぜひ必要だという安倍総理の強い要請もあり、25年度改正で創設した所得拡大促進税制を拡充しました。大企業だけでなく中小企業、個人事業主にも適用するなど、使い勝手をさらによくしました。

消費税引き上げに対しては個人所得税減税とセットにする議論がよくあります。しかし、所得税減税は高額納税者ほど得をする性格で、所得税を払っていないような、とくに若い世代などへの幅広い効果や経済の循環を考えれば、企業の賃上げにつながる税制措置の方が効果的です。

―――経済政策パッケージにも「政労使」の連携による取り組みが盛り込まれています。

野田会長 所得拡大促進税制は個人の雇用や収入に還元されていくというのが基本です。

復興特別法人税の1年前倒しについても、復興財源の確保や、その廃止を確実に賃金上昇につなげる方策などを踏まえて12月に結論を得ることとしましたが、これは賃金上昇・所得拡大への全体的な流れをさらに作り出すという強い思いがあってのことです。

どうやってその方策を具体的な政策として裏付けるかが大事な仕事です。例えば、「政労使」に入っていない中小企業への働きかけ、銀行が金を貸しやすくするための方策など、知恵を絞ってしっかり具体化しなければなりません。