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コラム

「まじめな政治」取り戻す
谷垣禎一総裁に聞く

 「近いうちに解散する」と表明した野田佳彦総理が、いまだ解散時期を示さないことで、政治が機能不全に陥っている。昨年のこの時期も「災害復旧などにメドがついたら辞める」と述べた菅直人総理がなかなか辞めず、政治の停滞を引き起こしていた。政権交代から3年。いつまでこんな政治を続けるのか。野田総理に早期の解散・総選挙を求める谷垣禎一総裁に政治の現状に対する認識を聞いた。

谷垣禎一総裁

解散・総選挙行う以外に
政治の立て直し不可能

3党合意は「信」問うことが前提
進退窮まった民主党政権

――なぜ、一日も早い解散・総選挙が必要なのですか。

 理由は二つあります。

 一つは、社会保障と税の一体改革法案に関する3党合意が、「法案が成立したら信を問いなおす」という論理に立っていることです。

 わが党として民主党のマニフェスト違反を看過するわけにはいきません。また、社会保障の使い道について、バラマキのようなことは認められないと主張してきました。しかし、われわれも消費税が必要だと公約でも言ってきましたし、われわれの政権下で財政赤字が増えたことに対する責任感もあります。そこで、わが党の考え方を示した社会保障制度改革に関する「基本法案」を提出したところ、民主党がこれを受け入れ、野田総理も「政治生命をかけてやる」という。「それならば」ということで、「法案成立前に解散して信を問え」という主張は譲歩して、「法案が成立したら信を問いなおす」ということで合意したのです。

 3党合意は法案が成立すればおしまいということではありません。消費税率の引き上げまでに社会保障国民会議を立ち上げて社会保障の基本的方向を整理するほか、経済対策など、様々なことをやっていかなければなりません。そのためには、やはり国民の信を得た状況でなくては本当の意味での設計はできないのです。

――もう一つの理由は。

 民主党が国政を担っていく能力があるのかどうかという問題です。党の中はバラバラで、離党した人や残った人が野田総理の足を引っ張っています。民主党が何をやるための政党なのか、いわばアイデンティティーを喪失した状況です。特に最近は、いよいよ進退窮まった観があります。内政だけではありません。外交面でもその基本が民主党政権によってガタガタになっています。それが、メドベージェフ露首相が北方領土に、李明博韓国大統領が竹島に来る根本的原因です。

 もはや民主党自身でこれを立て直すことは不可能です。解散・総選挙を行って新しい体制をつくっていかない限り、内政も外交も進んで行きません。

――「近いうちに」行われる総選挙で問われるべき「信」とは何でしょうか。

 一つは、税と社会保障について、例えば社会保障国民会議は動いていないけれども、これをどうしていくかということは当然ポイントになるでしょう。また、外交をどう立て直していくのか。どうやって、希望の持てる社会を築いていくか。それは経済成長をどう実現していくかという問題でもあります。メニューはわが党政権下で大方出ていますので、それをどうブラッシュアップし、どう優先順位を付けていくかを詰めていくことになります。また、昨年、東日本大震災が起き、また、東海・東南海・南海の3連動地震が予想されているなか、どうやって国民の安心をつくっていくか。これは震災復興のテーマであり、国土強靱化といった問題でもあります。また、今後、わが国のエネルギーをどうしていくかという問題もあるでしょう。

本当のことを正直に訴える

――わが党は何を訴えますか。

 民主党は前回の選挙でわが党との違いを強調したいあまり、マニフェストで美辞麗句ばかりを並べてしまいました。しかし、わが国には、派手なマニフェストを信じてもらって、その嘘(うそ)が露呈するというようなことを繰り返している時間的余裕は残されていません。本当のことを正直に、一生懸命訴える。そして国民の信頼をいただき、「まじめな政治」を取り戻す。今度の選挙はわが党にとっても正念場です。

――8月8日の野田総理との会談で、谷垣総裁は一体改革法案に賛成する道を選びました。

 政権の問題点を追及しなければならない野党の立場とこれまでのわが党の主張をどう両立させるか、たいへんなジレンマでした。その意味で、政治生命をかけたのは野田総理だけでなく、私も同様です。どっちを選択しても批判されるのだと思います。

 いずれにしても、民主党政権にきちっと「信」を問わせない限り3党合意は完結しません。わが党としては、様々な手立てを講じて、それを実現させる覚悟です。

あいまいな責任の所在

――民主党政治をどのように見ていますか。

 マニフェスト違反の問題もありますが、それ以上に強調したいのが、政治の運び方が滅茶苦茶(めちゃくちゃ)だということです。「法の支配」という言葉がありますが、大臣がどういう権限と責任に基づいて何ができるかという点についての自覚があまりにも薄い。例えば菅内閣の時に、中部電力浜岡原発の運転を止めましたが、いったい、誰がどういう権限で決めたか、あいまいなままです。あるいは、被災地から復興に関するお願いをしても、誰が何をやっているか分からないし、それに対する答えも返ってきません。また、内閣が提出した法案が通らなくても「野党が反対しているから」とまるで人ごとのようです。責任の所在があいまいだからです。民主党政権の法案成立率が低いのはこれが大きな要因です。一日も早くわが党が政権奪還し、誰が責任を持ち、どんな権限を持ってやっているのかを明確にするところから政治を立て直さなければなりません。

新綱領制定で「旗印」を明確化

――わが党は野党となった3年間で何を反省し、どう変わったのでしょう。

 総裁に就任し、まずやったのが新綱領の作成です。伊吹文明元幹事長に座長になっていただき平成22年、就任後初めての党大会で決定しました。

目指すべき国家像を明記

 わが党は常に進歩を目指す保守政党であると規定したうえで、「新憲法の制定」や「自助自立を基本とし共助、公助の仕組みを充実する」など、政策の基本的な考え方を整理しました。

 また、目指すべき国家像として「和と絆の暮らし」「努力する者が報われる社会」などについても明記しました。

わが党の原点は地域重視
全国津々浦々の党組織

 自民党は政権奪還して何をするのかとよく聞かれますが、その基本はこの新綱領に書いてあります。いわばわが党の旗印といえます。

 そのほか、これまで会合が開かれなかった山間地や離島などに出かけて膝を交えて住民の声を聞く「ふるさと対話」集会を400回以上やりました。また、候補者の公募や都道府県連での地方政治学校開設など、人材発掘、人材育成に力を入れてきました。

 結局、それは、わが党の原点は地域を重視するところにあると考えるからです。わが党は、強弱があるにせよ、全国津々浦々に党組織があって、一定レベルの地方議員を出している。

 ところが民主党にはそれがない。だから、地方の声を吸い上げることもフィードバックすることもできません。そこに民主党とわが党の大きな違いがあります。野党3年間にあらためて確認したことです。

様々な意見を一つの政策に練り上げる

〝生煮え〟感ぬぐえない「第三極」政策

―――わが党のあり方、進むべき方向性をどう考えますか。

 前回の政治改革で小選挙区制を中心にした選挙制度にし、政権交代可能な二大政党制を目指してきましたが、民主党政権の姿を見て幻滅感が広がっているのが現状です。民主党は分裂過程に入っていく一方、「大阪維新の会」など、いわゆる「第三極」といわれる勢力が出てきています。総選挙が行われた場合、それがどう影響し、どんな結果になるのか、現時点で見通せているわけではありません。

 「第三極」についていえば、例えば大阪に対する問題提起については、見るべきところが多々あると思います。しかし、国政全体の政策については、まだ生煮えではないかという印象を持っています。

 例えば、「消費税は地方税に」と言っていますが、高齢化でこれだけ伸びている社会保障費の財源は、消費税しかないというのがこれまでの議論です。

 もし、それを地方税にするのだとすれば、社会保障も地方が担うことになりますが、現実にはなかなか難しい。また、「地方交付税はいらない」というのは、総務省のコントロールを受けるのは嫌だと言っているだけならば分からなくはない面はあります。しかし、財政調整システムそのものをなくしてしまっては、やっていける自治体はそう多くありません。

 政党はビジョンを示すだけでなく、意見をまとめていく役割も担っています。自民党には全国の様々な意見を吸収し、それを溶かしこんで、一つにまとめ、政策に練り上げていく力があります。民主党にはそうした力がありません。

 また、わが党には、あらゆる政策について、それなりの理念と体系があり、一つひとつ議論していけば、「やはり自民党がいい」と評価いただけると確信しています。

 国民の皆さんの信頼を取り戻し、わが党が長年にわたって積み重ねた土台やシステムをわが国再生のために使っていただく。そのために全力を尽くすことが私に課せられた使命だと考えています。

 

機関紙「自由民主」第2523号掲載

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