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記者会見

石破茂政務調査会長 定例記者会見

平成22年5月12日(水)
於:党本部4階平河クラブ会見場

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言】

政権政策委員会であります。マニフェストの原案でありますが、これについて議論を行いました。お約束通り、今週の金曜日までに所用の手続きを踏みましてマニフェストの原案を明らかにいたします。本日はいろいろな項目、だいたい出そろいましたが、すべてでそろっておりますが、どういう順序するかということであります。やはり自由民主党らしく、立党の原点は自主憲法の制定でありますので、憲法というものをトップに持ってくるべきではないかということ。あるいは、そもそもの政治の信頼を回復するということが重要であり、我が党はそのことについてどう考えるかということを前の方にもってくるべきではないか等々多くの意見がございました。また、政策に追加したいものがある、あるいはどうも落ちているのではないか等々ございました。例えば、観光振興、不妊の治療、あるいは動物愛護等々、そのような政策を追加したいというご発言がありました。最大限配慮してまいりたいと思います。また、これの出し方の問題でございますが、それぞれの項目別に並べておりますが、例えばある方がいくつもの項目に関係することがあるわけですね。例えば農村にお住まいのご老人となれば、農業政策もございましょう、住宅政策もございましょう、あるいは医療・年金もございましょう。ですから、人に着目したという書き方、そういうものもあるのではないか。これは広報とも相談しながら、いろいろなバリエーションを法の範囲内で考えていかねばならないと思っております。本日・明日、金曜日までいろいろな会議を行いまして、最終的な収斂を見たい、このように考えておるところでございます。
そのほか、閣法といたしまして放送法等の一部を改正する法律案、あるいは高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案について説明がございました。それぞれ賛否について議論したところでございます。放送法等の一部改正法案には反対でなかったかなと記憶をしております。
そのほかでございますが、口蹄疫について、極めて政府の対応というものが十分ではないと私どもは考えております。宮崎において、この状況というのは相当に危機的であるという認識を持っております。これが宮崎にとどまることなく、この感染力の強さ、伝播力と言ってもよろしいのですが、これが空気感染によって起こります。非常にウイルスが飛ぶ距離というものが長距離に及ぶ。かつ、また偶蹄類に発生する病気でございますので、この感染というものは非常に拡大するという危険性をもっているものでございます。11日現在、71牧場で確認され、処分される牛と豚は77,000頭を超えているということであります。私どもとして、総裁を長とする対策本部を開き、総裁も現地入りされ、我が党の議員も、本当に農家の方々のご苦労・ご心労を我が事として捉え、江藤議員を中心として、本当に自身が過労で倒れるまで、農家の苦しみ・悲しみを我が事としてやっておるわけでございます。私どもとして、農林水産大臣が外遊すべきではない。こういう場合に、実際に陣頭指揮を取り、各省庁との対応にあたり、そしていろいろな決定を下すべき農林水産大臣は、この時期に外遊すべきではないということを申し上げました。そう大臣にも申し上げたところでございますが、にもかかわらず、「対策は万全である」という事で、中南米の外国訪問に出かけられました。この期間も、私も自分自身が農林水産大臣であった時に1泊以上の外国訪問をしたことはございません。ゼロ泊でありますとか、1泊でありますとか、そういう風な出張ばかりであったと記憶しております。やはり、農林水産省というのは危機管理省庁の1つでございます。したがって、長い外遊ということは当然考えられないと、ゼロ泊もしくは1泊の日程で何度も海外出張に出かけましたが、4月30日から5月8日という極めて長期間の外国訪問にお出かけになり、現地にお入りになったのは5月10日、すなわちこの口蹄疫が発生しましてから3週間の後であるということでありまして、これがすべてを物語っているのだと、私どもは考えております。このことの重大性を鑑みたときに、この政府の対応は極めて不十分である。10年前の我が党の対応に比べて、不十分であると、断ぜざるを得ないということであります。ただ、私どもとして「けしからん、けしからん」と非難しておりましても事は全く解決いたしませんので、我々として今からでも間に合う事、今すぐにせねばならないことということを早急に、出来れば本日中に取りまとめて、これを公表していきたいと考えております。この危機管理に与党も野党もないのでありまして、現地における会合で我が党議員が発言しました時に、「自民党議員の同席は許すが、発言は許していない」ということが農林省の方から発言があったやに聞いておりますが、このような危機管理というものは与党・野党関係ございません。どっちのプラスになるとかマイナスになるとか、そういったことは党利党略でございまして、農業あるいは畜産・酪農家そのことを全く考えていないことだと考えております。我が党としてやるべきことをきちんと施策として講じていきたい、かように考え、政府を督励してまいりたいと思っております。以上であります。

質疑応答

Q
憲法の関係なんですけれども、財政健全化、それと発議の3分の2を過半数にすることという件で、今国会で憲法改正原案を提出されるお考えはあるのでしょうか。
A
我が党として、18日から衆議院100名・参議院50名の発議というものが可能になる状態に入ります。これは国民投票法の施行に伴うものでございます。やはりそういうことが可能になった以上は、我が党として憲法改正の草案というものも既に結党50周年の折に出来ている。そして、今ご指摘がありました発議要件の緩和、そして財政健全化法というのは既に公にしておりますが、それを憲法の条項として盛り込むべきだという事について党内に異論はございません。で、やはり、長い間憲法の改正というものを議論し、特に中山太郎前議員の大変なご努力によって国民投票法案ができ、成立し、そして施行に至るわけであります。そうすれば、これ我が党として18日を期して改正案というものを提出すべきではないかと私は考えております。法案を提出しますのは政調会でございますけれども、憲法に関しましては総裁直属の保利議員が会長を務めておられます機関が取り扱っております。そこと、出来れば本日中に協議をいたしまして、総裁の了解を得、所定の手続きが踏めればと考えております。
Q
マニフェストの関係ですけれども、消費税の引き上げについてはどのように原案では表記になったのかという点と、それから成長目標等の数値目標はどの程度まで言及することになったのでしょうか。
A
原案につきましては、まだ政調全体会議等々において開示をしておりませんので、ここで申し上げることが出来ません。これは恐縮でございますが、そういう順番になるということでございます。ただ書き方といたしまして、原案の中に数字が明記されているということでは、現在ございません。ただ、この消費税だけが取りだされて議論がなされるという事は、適切ではないと思っております。全体として、経済成長に寄与する税制改革ということをニュアンスとしては出しておるでございまして、抜本改正の中において消費税をどのように位置付けるかということにつきましては、位置付けをかなり明確にした原案になっているというように考えております。
Q
2点お伺いしたいのですが、まず財務大臣が国債発行を来年度の予算で、本年度と同じ44兆円を維持されるという話をされたのですが、この方針についての評価をまずお伺いしたいと思います。2点目は今のとも関連するのですが、財源なくして政策なしとはその通りだと思うのですけれども、法人税は下げるという事を明示されると思うのですが、具体的に、どのようにすれば税収が落ち込まずに財源が確保できるのかという、イメージをもう少し、政権与党とは違うんだというのを教えて頂ければと思います。
A
44兆の国債発行につきましては、私はその財務大臣の発言をすべて承知しておるわけではございません。ただ、思いますのは、このことが財政規律をどのようにするのか、そして、財源調達としての国債発行は、そのほかの、2番目のお答えとも関係することでございますが、法人税をどうするか、消費税をどうするか、等々とセットでなければ、44兆とポンと言われましてもですね、そのことの評価は極めて難しいと思っております。ただ、今の戦後初めての極めて良くない財政状況というものが継続することはどうしても避けねばならないことでございます。で、菅大臣の発言を全部聞いておるわけではございませんが、日本の国債が暴落しない、金利が高騰しないということの背景には、日本政府というものは、それは家計と異なりまして、徴税権をもっているものでございます。それをきちんと発動する日が来るであろうと、いつまでもこのような危機的な状況ではないだろうという、国債を購入する側の一種の政府に対する信頼感があるのだと私自身考えております。で、外債をたくさん出していないということは、それだけ例えばギリシアのような外国がいっぱい助けてくれるという話ではないよ、裏返せばそういう事になるわけでございまして、その点に関しては認識はどうなんだということについてまだ菅大臣からきちんとしたご発言を聞いていない。そのことはあまり責任のある財政当局の責任者としての発言ではないと思っております。また、法人税を下げるという事を明確にしながら、税収との関係はどうなるのだということでございますが、法人税を下げた場合にどれほどの減収になるか。これは地方税・国税との関係も整理しなければなりませんが、どれだけの減収になるかという計算。そしてまた、それとトレードオフの関係になるわけではございませんが、他の財源調達の方法との関係性、これは私どもの中で1通りの整理をいたしておるところでございます。ただ、法人税を下げるということは、このまま高い法人税率を維持した場合に、特に大企業というものが国内にいつまでもいるかと言えばそうではないであろうと考えております。それは防がねばならない。そして付加価値を創出するということの主体は、基本的に法人でございます。そのことはやっぱり忘れてはならないことだと考えておりまして、これが法人の経営にいい影響を与えて、いつまでも減収という訳ではない。当然また増収に転じる。では、それと消費税を始めとする他の財源の調達を、どのような時期に行うかということについて、現時点で確定したことを申しあげられるわけではございません。ただ、お金に色が付いているわけではございませんが、全体として、プライマリーバランスも考えまして、これ以上財政を悪化させないという事は私どもとして明記をしなければならないことだと考えております。
Q
課税ベースを広げることで、減収幅をなるべく抑えるということまではまだいっていないのでしょうか。
A
現在のところ、課税ベースを大きく広げるという事は考えておりません。
Q
普天間の問題で鳩山総理が今月23日に、また沖縄に行く予定という調整をしている。閣僚の発言でも、来月以降でも調整を続けていく。5月末の決着を事実上断念したという形になっておりますけれども、一連の動向について、どのようにみておりますか。
A
5月末と期限を御定めになったのは総理であって、私どもが5月の末までにともうしわけたわけではございません。ただ、なぜ5月末なのかという事を考えました時に、私は、理由の1番は2014年までに普天間の危険性を除去するためには、ということでなければならないところ、そのような発言が総理からございません。これは、連立の組み方がどうであるとか、選挙がどうであるとか、そういうどちらかと言えば枝葉末節というか、関係のない政権の中でのお話であって、5月の末ということはやはり、アメリカの議会における予算審議、そしてまた何よりも、これは両者相互に関係するものでございますが、普天間の危険性の2014年までの除去ということが1番でなければならないと、私は思っております。どちらにしても、5月というのは1つのぎりぎりの、私どもから考えましても、1番の理由は、アメリカにおける議会、つまり、予算の開始年度が違いますので、今の時期がアメリカの議会における予算審議になるわけでございます。そこにおいて、この問題が未決着であるとすればアメリカの中で予算を組めないという事態も招来されかねないということであって、いずれにして私は5月末だと思います。でありますから、私は予算委員会において5月の末までに何を決めるのですかと。それは移転先を決め、その地元の同意を得、危険性を除去せられる沖縄の、沖縄以外だとした場合ですね、沖縄の同意を得、そしてグアム協定の改定、すなわち2014年という期限と名護・辺野古という地域を明定したグアム協定の改定に合衆国政府も同意をするという事まで含めて、5月の末だという風に明言をしたわけですから、それを撤回するのかしないのか。5月の末という事を撤回しそれを延ばすことで合衆国議会における予算審議がどうなるのか。2014年という期限はどうなるのかということについて、これをきちんと述べる責任が内閣総理大臣にはございます。5月末ということについて、それについて責任を問うと内閣が危うくなるので延ばせばいいなどというのはですね、それは政権内部の勝手なお話なのであって、5月を延ばすという事がどういう影響を与えるのかということについて、はっきりと言う責任が、私は当然、総理大臣にはあると思っております。その点は、これから国会でもきちんと追及していかねばなりません。それは、政権を守るために、総理が責任を問われないために延ばすようなことは、まったく事の本質をわきまえないとんでもない発言だと考えており、そのようなことが総理のみならず閣僚から聞こえるという事は、政権全体か如何に不見識であるかという事の証左でございます。
Q
関連でですね、鳩山総理自身が5月末までに最低でも県外と言ったことはですね、公約というよりは代表としての考えだというような発言も出ていますけれども、総理の退陣も含めた、責任についてどのように考えていますか。
A
そうであれば、「私の言う事は党とは何の関係もありません。」という事を、どこの場においてもまず冒頭におっしゃるべきでしょう。これから先、総理が日本国中どこに行かれてもですね、「私が申し上げることは、これは私個人が言うことであって、民主党の政策に何ら影響を与えるものではありません。そのことを前提に皆さんお聞きください。」とこれからはどの場でもおっしゃるべきだと、私は思います。そうであれば、代表というものは一体何なのだという事がまずひとつございましょう。もうひとつは、マニフェストに書いてないからいいんだという言い方は、それはやめてもらいたい。マニフェストに書いた事は全部やるんだと言いながら、マニフェストに書いてあることもやらない。マニフェストに書いてないこともやる。ある時はマニフェストに書いてないから党の公約ではないという。こんな変幻自在、融通無碍、でたらめ・いい加減、みたいなものがマニフェスト選挙だったのかということであります。そこは、マニフェスト選挙とは何なのかという事を、民主党の各位は、政府の各位は胸に手を当てて考えるべきであるということが1つ。もうひとつは、マニフェストに書いてない、だからいいんだということだとすれば、その前の年に出した「沖縄ビジョン」、これは民主党の公式文書のはずです。読み人は民主党のはずです。そこには、鳩山さんが発言したこととほとんど同じ事が書いてある。じゃあ、それとの整合はどうなんだということであります。マニフェスト以外は、民主党の出す文書は一切何の拘束というのか、政策に対する規律というのか、そういうものがない。単なる落書きでありますという風におっしゃればよろしいのであります。