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記者会見

経済政策パッケージで対応
安倍総理発表 消費税引き上げ8%へ

平成25年10月9日

経済政策パッケージで対応 安倍総理発表 消費税引き上げ8%へ

一過性でなく未来への投資

安倍晋三総理は10月1日、総理官邸で記者会見し、消費税を平成26年4月に現行5%から8%に引き上げることと、これに伴う経済政策のパッケージ を発表した。パッケージには5兆円規模の新たな経済政策や、わが党と公明党の与党がまとめた民間投資活性化のための税制措置が盛り込まれた。安倍政権は消 費税引き上げによる税収増を社会保障の充実・安定化に充てるとともに、デフレ脱却と経済再生に向けた取り組みをさらに強化する。

5兆円規模で反動減対策 「増税下でも成長させる」

安倍総理は「社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するために、財源の確保は待ったなし」と述べて昨年8月に成立した消費税増税法の前提に言及。

消費税引き上げを決断した理由として各種の経済指標が改善していることを挙げ、「大胆な経済対策を果断に実行し、景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることにより、経済再生と財政健全化は両立し得る」と強調した。

そのうえで、今回打ち出した経済政策のパッケージは、「目先の経済を押し上げるだけの一過性の対策でなく、社会保障の充実や安定などのためにお願いする負担を緩和しながら、同時に将来にわたって投資を促進し賃金を上昇させ雇用を拡大する、まさに未来への投資」と説明。

「消費税収は社会保障にしか使わない」「消費税の3%引き上げと、そのもとでも経済を力強く成長させる経済対策を同時に、果断に実行していく」と述べて、消費税引き上げが景気に影響しないよう、さらには今後の持続的な経済成長にも万全の構えで対応することに言及した。

その経済政策パッケージには、成長力底上げのための政策をはじめとする七つの主要対策を盛り込んだ(表参照)。

柱のひとつである新たな経済政策は、5兆円規模として今年12月上旬に策定する。消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要とその反動減を緩和し、景 気の下振れリスクに対応するために、(1)競争力強化策(2)高齢者・女性・若者向け施策(3)復興、防災・安全対策の加速の三つの側面から措置する。

また、国民生活に直接関わる点では、低所得者対策として総額約3000億円を給付すること、税負担の大きい住宅取得について住宅ローン減税の大幅 拡充と給付措置の創設で対応すること、消費税の円滑・適正な転嫁が確保されるよう特別措置法(今年6月成立)に基づいて転嫁対策を強力に推進する。

安倍総理は会見の中で「消費税引き上げによって、東日本大震災の復旧・復興に支障が生じることがあってはならない」と強調した。その方針を踏まえて、被災者の住宅再建に係る給付措置創設など被災地の復興加速化も盛り込んだ。

一方、成長力底上げのための施策は、成長戦略の実行を加速化することと、投資減税をはじめとする税制措置によって民間投資・産業新陳代謝の促進を図ることが柱。

政府はこの秋の臨時国会に国家戦略特区関連法案や産業競争力強化法案などを提出する予定で、これらを通じて規制・制度改革のための基盤を整備し、成長戦略関連施策を強力に推進する方針だ。

企業の投資加速化へ
税制措置大幅拡充

設備投資減税の対象広げ

投資減税をはじめとする税制措置は、わが党と公明党の与党が「民間投資活性化等のための税制改正大綱」としてまとめたもの。今年夏の参院選終了直後に検討入りし、設備投資はもちろん事業再編やベンチャー投資を促進する観点から議論を重ねた。

設備投資の点では、生産性の高い先端設備を取得したり、生産ラインの改善のための設備投資をすれば、即時償却か税額控除ができる制度(生産性向上 設備投資促進税制)を創設。地域経済や雇用を支える中小企業対策としても、税額控除の対象企業を資本金3000万円以下から1億円以下に拡大するなどによ り、生産性向上設備への投資加速化をめざす。

賃上げ促進税制とも言える所得拡大促進税制の拡充も今回の柱のひとつ。平成25年度税制改正で創設した同税制は、給与総額を5%以上増やした企業 を対象とする税額控除制度だが、企業にとってより使いやすいものとするために、適用年度区分に応じて2%以上、3%以上、5%以上の3段階を設けるなど要 件を充実させた。

また、民間投資活性化にあたっては税制だけでは限界があるとの観点から、耐震改修を促進するための法人税に係る税制の創設など、制度・規制面の環境整備に応じた税制措置も講じ、幅広い内容とした。

経済政策パッケージで対応 安倍総理発表 消費税引き上げ8%へ