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「第26回公開憲法フォーラム」岸田総裁ビデオメッセージ(全文)
2024年5月3日

会場にお集まりの皆さま、またライブ中継をご覧の皆さま、こんにちは。自由民主党総裁岸田文雄です。
「第26回公開憲法フォーラム」の開催をお慶び申し上げますとともに、憲法改正の実現に向けて、それぞれのお立場で、平素より熱心にご活動いただいている皆さまに心から敬意を表します。
日本国憲法は占領下の1946年に制定されて以来、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を三大原理として、わが国が民主主義、平和主義国家としての礎を築く上で大きな役割を果たしてきました。このような憲法の基本理念は、今後も決して揺らぐことはありません。
他方で、憲法は「あるべき国の形」を示す国家の基本法であり、社会が大きく変化する中で、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかを考えていくことは大変重要です。現行憲法が施行から77年の間、一度も改正されていない中にあって、時代にそぐわない部分、不足している部分についてじゃ果断に見直しを行っていかなければなりません。
自民党は立党以来、憲法改正を党是とするとともに、長年政権を担ってきた責任政党として、国の在り方、憲法の在り方を常に考え、改憲に向けた議論をリードしてまいりました。平成30年には憲法改正のたたき台素案として、いま国民に問うにふさわしいテーマとして、(1)安全保障に関わる「自衛隊」(2)統治機構の在り方に関する「緊急事態」(3)1票の格差と地域の民意反映が問われる「合区解消」(4)国家100年の計たる「教育充実」。この4つを取り上げ、議論を促してまいりました。
ここ数年、衆議院・参議院の憲法審査会の開催頻度は高まっているところであり、特に緊急事態条項については、各党の考えを含めて論点整理が進むなど、与野党の枠を超えて、活発にご議論いただいてきたものと認識しています。このような動きは大変歓迎すべきものです。
他方で憲法改正は、最終的には国民の皆さまによるご判断が必要であり、国会の発議を見据えた議論をしていかなければ、いつまでも憲法改正を実現することはできません。このような思いから、私自身、先の臨時国会では「条文案の具体化など、これまで以上に積極的な議論が行われることを心から期待する」と申し上げました。
また、昨年12月には、衆・参の憲法審査会のわが党幹事らに対し、党派を超えた連携を目指す改正項目について、わが党の考えをまとめるよう指示しました。そして本年の党の運動方針に「緊急事態や自衛隊の明記などに関する条文起草のための機関を各会派の理解を得て設置をし、憲法改正原案を作成し、国会の発議を経て、国民投票における過半数の賛成に向け全力を傾注する」と明記しました。
繰り返しになりますが、憲法改正は国会が発議するものですが、最終的には主権者たる国民の皆さまが国民投票で決めるものであり、主役は国民の皆さまです。社会が大きく変化し、憲法改正がますます先送りのできない重要な課題となる中にあって、国民の皆さまに選択肢を示すことは政治の責任です。
いたずらに議論を引き延ばし、選択肢の提示すら行わないということになれば、責任の放棄と言われてもやむを得ません。
一連の政治資金の問題で政治不信を招いたことについては、自民党総裁として心からおわびを申し上げなければなりませんが、政治の信頼回復のためにも、政治改革の議論と併せて憲法改正という重要な課題について、党派を超えて連携しながら、真摯(しんし)に議論を行う姿を国民の皆さまにお見せしていきたいと考えています。
そして、全国各地での対話集会などを通じて、具体的な条文案など分かりやすい資料も活用しながら、国民の皆さまと憲法について共に議論をし、憲法改正についての理解を共に深めていきたいと考えています。
本日のフォーラムについても、多くの国民の皆さまが、憲法改正を自らの問題として考え、大いに議論し、理解を深めていただく、そうした機会になることを心から期待しています。皆さん、憲法改正の実現に向けて共に頑張ってまいりましょう。