interview 04

「新しい資本主義」って?

私は大学で政治学を学んでいるので、岸田政権の意思決定の流れ、政策決定のプロセスがどうなっているのか、ぜひ村井首相補佐官に伺いたいです。

三品
村井

大まかにいうと意思決定には、ボトムアップとトップダウンというやり方がありますね。たとえば、昨年11月に新型コロナの変異株「オミクロン株」への〝水際対策?として、すべての国・地域からの外国人の新規入国を原則停止するという決断をしました。各省庁の皆さんは、これまで進めてきた緩和政策を変えたくないことや、所管する業界が外国との交流を望んでいるため、決定には元々反対の立場でした。こうした省庁のボトムアップの提案を追認することもあり得たと思いますが、政権は最悪の事態を想定してトップダウンで決定に至りました。
すべての判断でトップダウンを採用するのかといえば、もちろんそうではありません。政策テーマごとにどっちを選ぶのか、悩み抜いて判断しているのが真相です。

岸田政権になって「新しい資本主義の実現」という耳慣れない政策が打ち出されていますが、今ひとつ具体的な内容がわかりません。これまでの資本主義と何が違うのでしょうか。

三品
村井

一言で言えば、新自由主義的な資本主義によって、行き過ぎた部分を是正していくということです。
資本主義の形は、産業革命以降、何度か転換点がありました。例えば、20世紀初頭には、行き過ぎた貧富の格差が問題となり、多くの資本主義国は、年金や医療などの社会保障を重視した福祉国家モデルを採用しました。その結果、多くの先進国では、社会の中核を担う中間層が生まれてきたわけですが、その一方で1980年代頃になると、政府の役割が大きくなり過ぎたことの弊害として、経済成長のパワーが落ちてきた。そこで、アメリカのレーガン大統領・イギリスのサッチャー首相などが「市場重視」「株主重視」「官から民へ」といった言葉に象徴される新自由主義的な政策を推進しました。そうした新自由主義的な政策の流れが、わが国も含めて30年間続いてきたわけですが、ここにきて、その弊害として、中間層の没落や中長期的投資の不足、気候変動問題などにみられる持続可能性の喪失、都市と地方の格差といったものが顕在化してきました。岸田政権としては、歴史的転換点にあって、新しい資本主義を掲げて、世界に先駆けて課題解決をリードしていきたいと考えています。

※この座談会は令和4年1月13日に自民党本部にて行われました。

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