開催日:平成24年3月28日
講 師:新藤義孝 衆議院議員
テーマ:「国会版『事業仕分け』について―立法府による行政監視機能充実の試み―」
対 象:「若手・中堅による政策勉強会」
3月28日(水)、「第28回まなびとプロジェクト」が開催されました。講師には、衆議院決算行政監視委員長で行政監視に関する小委員長を務める新藤義孝衆議院議員を招き、「国会版『事業仕分け』について―立法府による行政監視機能充実の試み―」と題して講演を頂きました。
新藤議員からは、「衆議院の決算行政監視委員会は、法律に基づいて立法府として政府・内閣の政策について決議や勧告を行っております。従って、民主党政府になって行われた事業仕分けとは全く異なります。法的根拠や権限も無く、無駄だけを指摘して意見を述べるだけなので実効性に乏しいわけです」と、立法府として行政府を監視する前提を解説されました。更に新藤議員は、「行政監視委員会は、与党野党の別なく立法府として一体となって議論しています。そして法に基づいて政府と民間の参考人などと議論できる仕組みとなっていて、例えば、事業仕分けで無駄を指摘し削減させればいいというわけではなく、必要な政策ならばもっと予算を増やすべきだとの意見を述べることもあります。そして日本の予算の硬直性が指摘されますが、そもそも財務省は、予算の編成は認められているが、査定は認められていません。従来は、政府与党が一体となっていたため、便宜上、主計局が政策査定を行っておりましたが、国の政策の査定は立法府が行わなければなりません。今後は行政監視委員会の議論により、予算の組み替え等に反映していきたいと思っております。そして将来は、各省庁の縦割りの政策を改め、例えば、安心安全な国造りや元気あふれる国造り等、国として必要な大きなテーマごとに政策目標を提示させ、各省の予算に反映させる等、世界に先駆けた予算編成を取り入れたい」と、行政監視委員会の役割や問題点、そして将来の役割などを述べられました。
また、民主党政府が消費税率を10%に引き上げる法律案を議論し、30日には閣議決定を行おうとしている問題について新藤議員からは、「民主党政府は、無駄を省いて支給するという大前提で選挙に勝利した。しかし16.8兆円は省けず、更に鳩山内閣では予算編成に際して、シーリングを廃止してしまったことから、自民党政権時の一般会計、特別会計を含めた約200兆円の予算が20兆円も膨張している。そしてマニュフェストが守れない中での増税案。経済を立て直せず成長戦略も提示せず、無駄も省けず、ばら撒きは止めない。それで増税というのでは、自民党も反対です。自民党は社会保障費に充てるための10%への引き上げなので、根本的な思想が全く違います」と、時局の解説も行われました。
参加者からは、「なぜ今まで行政監視委員会が積極的に議論されなかったのか?」「野党になってからの自民党の立て直しはどうなっているのか?」「行政監視委員会の勧告の権限を無視したらどうなるのか?」等、多くの意見や質問が寄せられました。
(文責:中央政治大学院事務局)