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まなびとプロジェクト

第24回まなびとプロジェクト(講師:宇都隆史参議院議員)を開催しました

投稿日:2011.12.07

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第24回まなびとプロジェクト(講師:宇都隆史参議院議員)を開催しました
第24回まなびとプロジェクト(講師:宇都隆史参議院議員)を開催しました

第24回まなびとプロジェクト(講師:宇都隆史参議院議員)を開催しました
第24回まなびとプロジェクト(講師:宇都隆史参議院議員)を開催しました

開催日:平成23年11月22日
講 師:宇都隆史参議院議員
テーマ:「安全保障について」
対 象:自民党ネットサポーターズクラブ「J-NSC」の会員70名

11月22日(火)、「第24回まなびとプロジェクト」が行われました。対象は自民党ネットサポーターズクラブ「J-NSC」の皆様。講師には宇都隆史参議院議員を迎えて、「安全保障について」と題して講演が行われました。講演の後、参加者やインターネットで中継されていたことから、その視聴者からの質問にもお答えする等、有意義な講座となりました。

以下、宇都隆史議員の発言要旨と主な質疑応答の内容です。

◎安全保障と国防の違いについて
 安全保障というのは、今ある状態がノーマルな状態で、このノーマルな状態を壊すとか覆すとか、あるいはノーマルな状態でない状態にする何かを未然に防ぐという感覚ですよね。よく危機管理と言ったりしますが、まさにリスクの、クライスのマネジメントという意味合いで使います。どちらかというと防衛問題を考える上では、非常に狭義のいみで使っている言葉だと思います。ですから安全保障といったときに、はなしをしなさいといったときに、軍事的な話をしていきますが、
 今日はもう少し広義に捉えて、広い意味での国防という話をさせて頂きたいと思います。国防という話をするのですけれども、安全保障という言葉にするよりも国防という風にした方がより守るものが明確になってきますよね。国家をいかにして守るということが国防になります。では国家とはそもそも何なのか、ここを実はしっかりおさえられていないとこが今の日本の最大の原因ではないか。特にこの国防問題・安全保障問題を考える上で、戦後67年で日本人が一番失ったものが「国家観」ではないかとこのように思います。
 そこではまず国家観、「国家とは何か」という話から進めたい。独立国家であるためにはどうゆう条件が揃わないといけないと思いますか。国家として世界に自分たちの主張をして通せること。

◎主権の3要素
 もう少し法律的に国際法上で認められるための条件が明確に決っていますよね。
俗にいう3つのものです。「領土」と「国民」そして「主権」が存在すること。順番で言えば、ある土地がありますよね。そこの土地が明確に自分たちの国の領地であって、そこに領民が存在していて、その領民が政府なり何らかの行政機構を作って
自分たちが外国からの意見に屈しないような形で最終的な意思決定権を持っている、この3つが必要なのです。しかし、我々が日本国としてこの3要素をしっかり把握ができていますかという問題に立ち返らないといけないと思うのです。
 「領土」について。我々日本国民1億2千万人の中で、我が国の領土がどこからどこまでで、どうゆう位置関係にあるというのはどれだけ理解できているか。以前、JCで小学生を対象にアンケートしました。小学生に日本の白地図を見せて、北方領土、朝鮮半島との境、南の台湾・尖閣諸島の境のところに国境線を引いて下さいという質問をしたら、全問正解した人間は、たった7%だったという話がありました。これを聞いていて今の日本の教育は何をやっているのだって、大人が本当に笑えるかという話なのです。
 尖閣諸島は何県に所属していますか。尖閣諸島は沖縄県ですよね。そして沖縄本島よりも少し北に位置しています。国を守るって簡単に言えますよね。あるいは今、尖閣を守れ!我々の領土だって簡単に言えますけど、その位置すら把握していないで守ることができるのかというとこですよね。そして対馬ですが、日露戦争の舞台になったような非常に戦略的にも重要な島ですよね。この辺の位置関係も曖昧になっている現状。対馬というのは実は朝鮮半島からたった49キロしか離れていません。対馬に行くと朝鮮半島の夜景が見られるのです。では、福岡・長崎からどれくらいはなれているかというと100キロ以上離れている訳です。そのような位置関係を実は把握するということが、国防の第一歩なのだと思います。
 次に「国民」について。国民という意識も非常に曖昧になってきているような気がいたします。なにか国籍を持っていたら、国民なのかという話になりがちです。今、日本のこの時間帯に日本の領土の上にいて、国籍を持っている日本人たちだけが本当に国民なのでしょうか。国家を考える、国家を守るといったときに私はもう少し時系列的に長い時系列を捉えていかなければいけないのではないかと思います。つまり今ここに生きている国民というのは、我々の力だけではこの日本国を作り上げたわけではありません。インフラにしても、言語にしても文化にしても歴史上、全ては先人達から受け継いだものです。つまり、この日本国を我々に繋げてくれた、すでに亡くなってしまい、かつて国民であった方、これを捉えてやはり国民とすべきではないですか。そして、これから我々の元に産まれてくる新しい命です。繋げて行く命、この新しい命もまた、国民と考えていくべきではないのかと考えます。従って、今いる人間の過半数が手を挙げれば何でも国家のことを決められるというのは、これは国家論ではありません。
 そして3番目の「主権」です。この主権も曖昧です。最近は主権という言葉が氾濫しています。国家主権あるいは憲法に出てくるような国民主権あるいは最近は地域主権と言い出すような人たちが出てきるのですけれど、主権ってそもそも何か。漢字を用いて国とはそもそも何のかという話で説明するのが一番早いと思っているのです。繁体字の「國」という字を思い出してほしいのですが、主権とはまさに「ほこ」なんです。つまり実は憲法9条で否定していること自体が主権なのです。国の交戦権は認められていないとありますが、何のために守らなければならない、続けていかなければならない、このエリアをキープしてなければならない、我々のここに住んでいる国民の縦軸の歴史を続けて行くためにこの「ほこ」が必要なのですよ。これが国防であり、安全保障の大原則だと思います。

◎終戦記念日と敗戦記念日
 8月15日。毎年この日がやってきます。では8月15日は何の日でしょうか。終戦だと我々は教わりました。本当に8月15日に戦争は終わったのでしょうか。歴史的にこの日は、玉音放送があった日です。そして大本営から旧帝国陸軍と帝国海軍に対して戦闘停止命令が出されました。つまり、この命令で日本国は戦闘を止め、ポツダム宣言を受諾すると相手側に話したわけです。だから正確に言うと停戦日なのです。では戦争はいつ終わったのか。それは9月2日。この日はポツダム宣言を受諾し、調印した日ですよね。艦艇ミズーリーの艦上で、日本国政府の代表とアメリカをはじめ連合国の代表とで正式に調印してポツダム宣言がスタートした日です。この日は何の日ですか。この日は敗戦日なのです。戦争に負けたということを明確に認めて、ここから敗戦処理が始まる訳なのですね。
 では、敗戦処理が終わるのはいつでしょうか。それは、サンフランシスコ講和条約によって、もう一度、日本に対して武装することを認め、日本の主権を回復させようと調印し、それが発行される1952年4月28日なのですよ。この日が終戦であり、主権回復の日です。戦争というのは戦闘停止になった時点で自動的に戦争が終わるわけではないのです。戦闘行為があり、戦闘の停止がされ、そして敗戦処理の調印を結んで、その全ての敗戦処理が終わって、新たに平和条約を結んだそこまで戦争は継続するのです。では1945年9月2日の敗戦処理を明確にお互いにに決定づけた日から1952年4月28日まで日本に主権は存在しますか。独立国日本国は存在しないのですよ。実際に英語でもこの間はジャパンとは呼ばれてなかったそうです。「オキュパイドジャパン」いわゆる明確に日本と言う占領された地域ですよ、としかなかったわけです。そこで日本国憲法がいつ発行されたかのかを考えると、わかりますでしょ。停戦の、あるいは敗戦の翌年、5月3日から日本国憲法というものが発行され、機能しているのですから、これは明確な戦時国際法違反なのですよ。ハーグ条約違反なのですよ。戦闘した相手国の法律をどうしても変えなければならないという理由がない限り変えてはならないというのがハーグ条約なのですよ。つまり主権に関わる重要問題なので、この憲法というのはやはり自分たちで主権が存在する時にもう一度、自分たちで作り出すということを自由民主党は党是として掲げている訳なのです。このこともやはり主権と相まって、我々が把握していかなければ、この国防論、本当の意味での国防論は語れないのだと思います。

◎軍隊と警察の違い
 国と地方の役割の分担という話が段々見えてくる様になると思います。軍隊と警察はそもそも何の違いがあるのかという話なのです。これはものすごく曖昧になっているのです。これは我々の日本人全体の考え方としてもものすごくコンフューズしていますし、あるいは法律上もものすごくコンフューズしているのです。自衛隊というのは警察予備隊として、警察力の延長上から始まっていますから、非常に法体系も刑法をベースにしたような作られ方をしています。よく言われる話ですが、本来軍法というのはネガティブリスト方式であるべきなのに、自衛隊法というのはポジティブリスト方式でできています。日本の自衛隊法というのはそうではなくて、警察法と同じような形で、一つの事象に対してどういう対応ができるかというポジティブなリストにしかなっていないのです。そこで、警察と軍の役割の違いを是非、理解をして頂きたいと思います。簡単です。警察は何を守りますか。それは、国民の日常生活を守ります。つまり治安を守るわけです。公的な秩序を守る。国民の生命財産を守って行くわけです。これが警察の仕事です。何から守るかと言えば、犯罪者から守る。つまり警察が相手にしなければならない対象というのは、国籍は関係なく、自分の所属する範囲に於いて、日本国憲法以下の法体系に反する行為をした犯罪者・違法者を対象とするのが警察なのです。
 では軍隊はどうなのかという話です。軍隊は何を守るのでしょうか。自衛隊が軍かどうかの議論は置いておいて、軍は何を守るのか。本来、国の軍隊は何を守るのか、結局は先程言った縦の譜系を繋げるために独立を守る・主権を守るということです。要は他国から侵略されない、他国の意思に屈しない、自分たちで最終的な決定権をもてるような国家の形、これを時間軸で続けて行くために独立を守るのです。それが軍の仕事です。では何から守るか。軍が何を相手にするかと言うと、最近はテロリストなどを相手にしなければならないので複雑になっていますが、軍が対象とできる相手は外国の軍隊だけなのです。外国から不正な侵略を受けたときに、国の独立・主権を守るために行動するのが、軍の役目です。では実際何をするのか。これこそ正に武力行使です。戦闘行動なのです。これはもう仕方がない現実なのです。軍というものの存在意義は、戦闘するために存在しているのです。今回の東日本大震災でも災害派遣でものすごく大活躍してくれました。実際に亡くなった隊員もいるし、自衛隊の家族も462人以上が亡くなりました。我が身を顧みず、自分の家庭を顧みずに被災者の為に汗を流してくれた自衛隊に対して日本国中が感動しました。何か災害派遣のための自衛隊のような風潮がどこかにあることが違うと思うのです。災害派遣でありがとうということだけ認めておきながら、自衛隊が海外に兵力を持って行くことは許容しない、自衛隊が戦えるようになる法整備をしっかり整えることに対しては賛成しない、これはおかしいことです。自衛隊を本来の任務である正規軍として動いてもらうようにするにはしっかりと我々の独立を守れる様に戦える状態に環境を整えて行く、法体系も装備も人員も予算もそれが本来あるべき姿なのです。アメリカが憲法9条で交戦権を否定しながら、自衛隊を動けない状態にしておいて、日米同盟の下、実際に我が国の守りを他国に委ねているわけです。この片務性を解消して、自国の部隊は自国の部隊で守っていかなければやはり駄目だと思います。
 今の日本の平和は何によって守られていますかという話をしたりされたりするのですが、空気によって守られていると思います。何となく何もないのではないか。日米安全保障が、日米相互協力安全保障条約が明確に機能しているから守られているかと言うと私はそればかりではないと、非常に現実的ではない部分で何とか保たれている危うい状況なのだと思います。
 
◎国家とは何か
 主権の3要素をしっかり守りさえすれば、国を守ったということになるのか。土地は守った、そして国民の縦の命は繋げた、そしてこの主権を守る自衛隊を憲法改正して軍のような形にした。それが続いている状況であれば、日本国はずっと繋がっていくのかと考えると、国家とは何なのかという話です。
 今の3要素だけを考えたら、単なる生活共同体と言うか、我々が生存して行くためだけの共同体であればいいというような国家観になってしまうと思います。日本は人口減少社会に突入しています。人口がどんどん減っていく。そうなって来たときに、日本の今の経済力を維持していくことが困難になっていく、生産年齢人口というものが減ってきますよね。そこで今後これも議論になってくるのでしょうが、移民を入れるのか、外からの労働者を入れていくのかという議論のなっていくと思います。民主党が永住外国人の地方参政権を認めようとの話になっていますが、日本民族が過半数を超える勢力でなくなったとして、そういう世の中になったときに、我々はそれを日本国と呼べるのでしょうか。おそらく国際的には日本国は繋がってまだ存在して、まだ日本国だという話になると思いますよ。しかし本当にそれは我々が守りたい、繋げて行きたかった日本国がそれなのか。
 私は航空自衛隊にいながら常々疑問を感じていました。日々、私がレーダーを見ながら、近づいてくるロシアの戦闘機ながらこの領空を守る。守ることが国防なのだと思っていました。しかし、国歌が歌える子がいない、あるいは自分の国の領土がどこまでか知らない、日本の歴史を知らない、歴史を知らないどころか否定しているような子供達が増えてきていて、日本国というものがどんどん崩壊している現状で、目に見えるものだけを守っていくことだけが国防なのだろうかと思います。結局、我々は日本らしく、我々が日本人として先祖が繋げてくれたこの目に見えない何か、アイデンティティーとか日本らしさとか言ってしまえば、言葉が軽くなって、躍ってしまうのですが、何かそこを明確にしていかなければならないような気がします。このままで日本はいいのかという、若者が増えて来ています。
 そこで日本が進むべき道はどういう道なのかという先の話に残りの時間を進めたいと思います。今、TPPの話題をやっていますが、自民党でも所属している議員の85%が明確に反対だという署名をして、反対だと打ち出しているはずなのですけれども、中にはまだ明確に反対しきれていない方々もいる。TPPの本質はそうではない。結局は、国際社会の流れの中で、民主主義であったり、経済の自由主義というのが、そろそろ破綻してきているのではないかという現実を見つめる時代にきていると思うのです。そういう時代なのではないでしょうか。我々は、自由民主党なので、自由と民主主義を大前提に置いているのですが、これは人間が作り出したものです。ある時代はこれで進むことができ、非常にいい理念だったかもしれません。これから自由化、競争原理によって、経済成長こそが正しい道なのだと進めて行った時、中国、インド、ブラジルなどが、先進諸国が通ってきたおなじような同じような経済発展と消費社会を続けていけば、間違いなく地球は滅びます。どこかではやりこの流れに歯止めをかける必要が出てくるはずです。次なる新しい政治的な理念をもってこなければならないタームに入っているのではないかと思います。今の国際的な情勢を眺めたときに、第二次世界大戦前の国際政治状況にそっくりだなと思いませんか。あの時代も帝国主義の拡大の野望をもってどんどん海外へ出て行って、いわゆるグローバル化を行っていた。その中で、アメリカ発、ウォール街発の世界恐慌が起こって、自国の権益、経済的利益を落とさないために、経済のブロック化をどんどん行っていきました。そして経済力は力ですから、政治力を持つようになります。そうするとブロック毎に大国のエゴが出て来て、これが一つの大きな第二次世界大戦を起こした誘因であることは間違いありません。
 そして戦後、世界がこの大戦の反省を踏まえて何をし始めたかというとGATという新しい道を理想かもしれないけれどもやり始めました。経済という枠組みの中に国際的なルールを作り、その後WTOになって行きます。現在も各国のエゴが衝突し、うまく行かないうちに、アメリカ発のサブプライムローンの問題が出てくる訳です。世界同時不況が起こって、世界的に経済が疲弊していく。そこで今、やっていることは、ブロック化ではないですか。国際社会の中で生き残りをかけて我が国を守っていくには、正にチャーチルが言った「永遠の同盟国も、永遠の敵国も存在しない。最後に自国の生存を守れる拠り所となるのは自国でしかない」と、そこに行き着くわけです。ただそのときに、排他主義になって自分だけが一国独立主義になるのかというと、そうではなくて、ここからは出来るだけ成長したこの社会を崩さない形で、協調しつつ、継続して行くような何か枠組みやあるいは理念を構築して行かなければならないと思います。それができるのはやはり日本だけではないのかと思う。調和を取りながら協調していく、公的なものの中である程度公平な分配をしていく理念を持っている国家であればこそ、その理念を提唱していくのが日本の役割ではないのかと、改めて思っております。そこが進歩の中に秩序を求めて行くという、自民党が最大限、綱領の中で詠っている保守という概念ではないでしょうか。

◎日本はバベルの塔
 日本は非常に可能性のある国だと思います。我が日本国のような独創的な国家なかなか存在しないのではないかと思います。ある私が敬愛する学者さんにこんな話を教えていただいて、なるほどそうだなと思ったのですが、戦後、連合国から徹底的に日本の大事な部分、オリジナリティやアイデンティティーをGHQの政策によって壊されますが、何で連合国は特にアメリカはそこまでしたのかな、という話を教えてくれたのですが、二度と戦争を起こさない様にという意図ももちろんあったでしょうが、その方曰く、根本的に西洋の人間から見た時に、日本という国がもっている性質・独創性は恐怖を感じるという言われ方をされていました。なぜなのかというと、その方は西洋にとって日本はバベルの塔だとおっしゃいました。日本を眺めてください。小さな島国とはいえ、大体肌の色も一緒、言語も日本語、そしてほぼ同一民族で、宗教といっても神道とか仏教とは言えないにしてもすべての宗教をすべて日本教のような形で吸収してしまって、日本的にアレンジしてしまう能力を持っているではないですか。脅威なのです。こんな国家はないのです。統治する側からしても、こんなに統治しやすい国は、政治的に民主的に統治していきやすい国家というのはないのです。我々には非常に大きな潜在能力が眠っているということを改めて自覚をしていく、そのことも大事だと思います。なぜそんな言い方をするかというと、よく聞かれるのは、自衛隊出身議員として日本が持つべき最大の武器とは何ですか、という質問を受けるのですが、核兵器を超える武器、最大の武器は国民の国防意識です。国民の後押しがあって、自分たちが血を流す覚悟があって、あるいは自衛隊に行けという後押しがあるから、自衛隊は動くことができるのです。逆にこれがなければどんなに法体系を整備しても、核兵器を持とうが、戦車を持とうが、最新鋭の戦闘機を持とうが、自衛隊は一歩たりとも動けません。
あるアンケートがありますが、世界の36カ国、18歳に以上の世人男女1000人ずつに取った調査なのですが設問は1個、「あなたは自国が戦争に巻き込まれた時に、自分でも戦いますか。犠牲を強いてでも戦う覚悟がありますか。」という設問だったのです。36カ国の半数以上の国々がYESと答えているのです。中国のような国は70~80%の方々がYESと答えますけど、そうでない普通の民主主義国家でも50%以上の結果となっています。日本国の結果を聞いて愕然としないでくださいよ。YESと答えられたのは、たった15.6%ですから、36カ国中36位。このままでは国が繋がらないのです。そのことを我々は強く認識する時がもうそろそろ来ているのではないかと、いい加減、空気だけでこの国を守っていくのは限界です。

◎藤田東湖の言葉
 最後に、明治維新を成し遂げた幕末の志士達が、精神的な拠り所としていた思想を作り上げた吉田松陰、あるいは吉田松陰の大元になった藤田東湖、この思想家達が、今から近代国家を作らなければいけない、もう一回日本国を復活させなければいけない、外国に植民地にされてなるものかといったときに語った言葉があるのですが、この言葉をやはり我々は今思い起こすべきだと思います。藤田東湖が吉田松蔭に送った言葉です。「国難襲来す、国家の大事といえども深憂するに足らず。深憂すべきは人心の正気に足らざるにあり。」つまりどんな国難が起こっても、我々日本人一人一人がこの国を守るのだという気概を持って、国防意識をしっかり固めて、我々の命を繋げる、アイデンティティーを繋げる、日本らしさを繋げる、このことをしっかりと持って行きさえすれば、必ず日本国の再生・復活・継続というのは成し遂げられると思います。

質疑応答

Q1:今年の2月、自民党の領土に関する特命委員会の中で、尖閣の上陸調査の法案がでたかと思いますが、その後の党内議論はどのように進んでいるか。また尖閣に  上陸調査をするのは早ければいつぐらいになるのか。

A1:宇都隆史参議院議員
領土特命委員会の委員長である自民党の新藤義孝先生が中心となってすすめてい ますが、新藤先生の話では、議運の理事会の中で、委員会として上陸をして調査をしようということしましょうというところまで議運として決まっているそうです。出来るかどうかは、各党においてそれを許可するかしないかの問題になっていると聞いています。民主党にも積極的な先生方がいるので、何から何まで駄目だという話にはならないのではと思います。

Q2:自由民主党の「自由」と自由貿易の「自由」は意味が違うと思います。自由貿易の自由はフリーということで、弱肉強食だということだと思います。自由民主党の自由はリベラルということで、主権とういことだと思います。国防について相手国に対して影響を及ぼすということの手段として、買収、情報統制、昔の方法だと姻戚関係を結ぶような手段があると思いますが、そういう観点から国を守ることを検討している部署というのはどういう部署がありますか。

A2:宇都隆史参議院議員
 自由主義と自由民主主義の自由は違うのではないかという点についは、私もそう思います。日米同盟は基軸ではあり重要だと言いながらも、党としてはこのアメリカの新自由主義路線に対してはよく考えて、我が党の党是に本当に合うのか、我々が目指す国家観に合うのか考えて行くべきだと思っています。
2つめの質問の情報ということですが、情報職種にいたわけではないので、細かい深いところまでは知りません。特に今の発言の中にありましたハニートラップだとか、工作員の接触であったりとかは、警察の内閣情報調査室で詳しくやっています。また防衛省の情報本部等でも、情報機関の中での攻撃などは掌握している部分はある程度あると思います。情報組織はそれなりの立場の人間でないと何をやっているかを明かしてくれないので、私も細かい部分は把握できておりません。

Q3:放射線の除去を自衛隊で行うといった発言について、自分は反対だが、先生の見解をお願いします。

A3:宇都隆史参議院議員
 なんでもかんでも自衛隊がやるのではなくて、特に自衛隊は災害派遣でやるのであれば、3つの要件が揃わなければできないと法解釈上やってきました。「緊急性」・「非代替性」・「公共性」の3要件が揃わなければ、災害派遣の要件を満たさないということで今までできなかった訳です。何でもかんでも自衛隊にやらせすぎだと思います。鳥インフルエンザの鳥を埋めたり、牛を埋めたり。自衛隊に誇りを持たせるためにも、法的な一貫性を持たせるためにも、自衛隊を動かすときの基準は明確にすべきだと思います。

Q4:松下政経塾出身について、現在の野田総理など民主党出身者が多いため、かなりよいイメージを持っていませんが、松下政経塾とは何なのか、宇都先生の見解をお聞きしたい。

A4:宇都隆史参議院議員
 政権交代前は、自民が14名、民主が16名。今、民主が30名弱、自民が9名ぐらいになりました。自民党にいる松下政経塾の出身の先輩方は非常に素晴らしい先輩方が多いですよ。小野寺五典先生や高市早苗先生、秋葉賢也先生とか河井克行先生など。ただ松下政経塾も時代と共に変わって来ていると思います。民主党の先生方は初期の政経塾に行かれた方々ですよね。つまり社会経験を全くしていない方々が多い。大学で政治の勉強をして、政治家になろうと思って政経塾へ言って何年か過ごして、政治家になる。そこは社会経験をしていないというデメリットは大きいですね。だから理念先行型になってしまう。最近は少なくとも5年以上の社会経験をして、その仕事を辞めてまで来るという人間しか採らない。

Q5:自衛隊の組織について、陸海空のそれぞれのトップの名前が幕僚長となっていて、その3つを統括するトップも幕僚長と呼ぶのはなぜか。統合参謀本部議長という名前では駄目なのか。

A5:宇都隆史参議院議員
 名称を変えてもいいのではないかと思いますが、シビリアンコントロール、あくまで制服組が下にいてサポートする立場なのだということを強く名称にも使いたいから幕僚長と言っているのではないでしょうか。名称変更は表面的な話なので、幕僚長のままでいいかなと思います。しかし考えなければならないのは、私の個人的な意見として、軍令と軍政をしっかりと分けて行くべきではないかと思います。戦前は軍令部と軍政部というのが明確に分かれていた。軍政というのはいわゆる海軍省・陸軍省というのがあって、それぞれに陸軍大臣・海軍大臣を持っていて、軍の人事や財政など政治に携わる部分です。大蔵省とも予算の折衝をするのが軍政部です。軍令というのはあくまでも運用に携わる部分を統括します。実際に有事になったりする場合には、海軍・陸軍のそれぞれの軍令部が統合されて、大本営という形を作る訳です。最近は統合運用が始まりましたので、統合幕僚幹部に運営を一括して、統合幕僚幹部が運用を一元化する形なので若干それに近づいてきたのではないかと個人的に思っています。

Q6:自民党としての今後の自衛隊の活動のあり方、自衛隊とはどういうものであるべきなのか具体的に党の見解としてまとめるようなことがあるのか、一時期自衛隊は災害派遣という方向で生きて行くべきではないかというような議論があって、先生の先輩の帝京大学の志方先生がそういうようなものをまとめられたと聞いていますが、自民党としての見解はどうなっているのか。

A6:宇都隆史参議院議員
 自民党として自衛隊はどうあるべきかとうことですが、もちろん自主憲法の制定を詠っているので、自衛隊はやはり国軍化して行き、特に現実的にできる足元のところから言えば、集団的自衛権の解釈を認めることであったり、武器輸出三原則を取っ払って、防衛基盤の拡充を図ったりとか、そういうところは党としてしっかりコンセンサスが得られて総務会も通っている部分だと認識しています。

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