開催日:平成26年7月9日
講 師:木原 稔 防衛大臣政務官
テーマ:「今後の我が国の安全保障について」
7月9日(水)、中央政治大学院主催「第16回まなびとスコラ」を開催致しました。今回は、防衛大臣政務官を務める木原稔衆議院議員を講師に、集団的自衛権行使容認の閣議決定を受けて、「今後の我が国の安全保障について」と題して、参加者と闊達なディスカッションを行いました。
冒頭、木原政務官から、「冷戦構造が崩壊し、更に国際貢献が求められる昨今、ようやく行使容認で安倍総理の言われる『普通の国』になることができる。確かに米国が一強時代の際には、日本は『専守防衛』でソ連を仮想敵国とした国内防衛だけを考えていればよかったわけだ。しかし、米国の軍事力が低下し、中国、ロシアの台頭や朝鮮半島情勢、更には武装集団によるテロ活動等を見ると、もはや一国で平和を維持する事が困難な時代を迎えている。我が国も最近は、尖閣諸島はじめとする島嶼防衛が求められるが、空域・海域では一触即発の状態を私自身で視察をした。ロシア軍機による領空侵犯事案も多発している。そして北朝鮮によるミサイル発射の現実を受けていることを認識してもらいたい。
『普通の国』といったが、これは戦争を行うための整備ではなく、むしろ戦争を行わないための措置だ。それには『抑止力』を高めなければならない。それが『懲罰的』であれ『拒否的』であれ、現実には抑止力が働いて初めて戦争を防ぐことができる。また、国際貢献の観点から、湾岸戦争以降、様々なPKO活動に自衛隊が参加している。従来の法的な考え方ではどうしも無理がある。どの国も戦争をしに参加しているわけではないが、一緒に同じ平和活動支援を行っている中で、日本だけが自国の都合で他国に頼る等の行動は、そもそもおかしいのではないか。
また、昨年1月に生じたアルジェリアでの日揮職員の襲撃事件があったが、あの時にも自衛隊を派遣して日本人の生命を守ることが出来なかった。そして法的欠損により日本は軍事衛星を持たないが、米国や英国からの生の情報を収集する事も困難だった。そこで、公務員に対する『特定秘密保護法』を策定した。
今後は、ようやく国際スタンダードを整えたことから、自衛隊の派遣等はむしろ少なくなると思う。また、いわゆる『国家機密』というものは存在する。しかしそのほぼすべては、衛星映像や外交文書等であり、国民生活に直結する内容のものではない事は断言する。これからは、NSCも設置されたこともあり、諸外国の情報収集担当官と等しくそれぞれのカウンターパートナーと接触する事が可能になると思うので、そうした人材育成を急ぐべきであり、日本周辺の安定については、相互の協力で行われていくものだと思う」と、豊富な具体的な事例を挙げられながら解説されました。
参加者からは、「総理会見の際の事例がかえって分かりにくくしたのではないか」「集団的というが最初から他国に頼るための解釈ばかりでは分かりにくい」「戦争とは何か?を教育すべきではないか」「賛成派も反対派も根本は同じで、解釈変更だけでは不十分ではないか」等、多岐にわたる問題点が提起され、木原政務官も「大変、勉強になった」との感想を残されました。