interview 02

地方活性化の切り札はある?

鈴木隼人議員 学生部長 衆・東京10区

最近、10年後や20年後の将来予測がよく話題にのぼります。楽観論と悲観論がありますが、20年後というと、学生の皆さんは40歳代に入ったばかりで働き盛り。私たち青年局の国会議員は60歳を過ぎ、それぞれ経験を重ね、政治家として集大成の時期かと思います。そのころの日本がどんな社会になっているか、イメージできますか。

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術革新が進んで、日本は今と同じように先進国として繁栄しているのだろうというプラスイメージを持っています。一方で、大学のゼミの研究で、ある地方都市のニュータウンに調査に行ったところ、高度経済成長時代につくられた住宅はほとんど空き家で、高齢化率が40%を超えている地域もありました。『地方消滅』という本には、若い女性の地方離れが進み、2040年には現在の半数以上の900近い自治体が消滅するのではと書かれています。

津久井祐希さん 埼玉県連学生部長 明治大学3年
滝波宏文議員 青年局長代理 参・福井県

たしかに地方から首都圏などへの人口流入が続いており、なかでも近年は東京一極集中が目立ちます。東京に人口が集まるにはいろいろな理由があると思いますが、地元に残りたいと考えている若者が、やりがいのある仕事や満足できる給与が得られないから都会に出ていくという流れは食い止めなければなりません。

参考にしたいのは、建設機械大手のコマツの取り組みです。企業のルーツである石川県小松市に東京でなくてもいい部門を移し、地方での採用を増やしています。給与体系が全国一律なので暮らしやすく、結果的に東京と石川では出生率が2倍違うといいます。

津久井祐希さん 埼玉県連学生部長 明治大学3年
鈴木馨祐議員 青年局長 衆・神奈川7区

もっと進めて本社を地方に移転してもらったり、地方での起業を増やすには、自治体が独自に課税権を持てるようにしたほうがいいでしょうね。そうすれば、税制面の優遇策を活用し企業を誘致して、地方を活性化できるのですが。

私は愛媛から首都圏の大学に進学しました。10年か20年先までには、故郷に帰って都会の生活で得た知識や経験を地域社会に還元していたい。来てみると、ショッピングしたり遊んだりするには東京のほうが楽しいとは思いますが、住みたいところはどこかと聞かれたら、満員電車で通勤するより、車でゆったりと仕事先に通える地元のような環境がいいなと。

上野由佳さん 茨城県連学生部長 筑波大学3年
佐々木紀議員 青年局長代理 衆・石川2区

進学や就職でいったん都会に出た若者が故郷に戻ろうとする判断は、非常に冷静だし賢いと思います。将来、結婚して子育てするときも両親が身近にいてくれたほうが安心できるし、二世帯住宅ならコストも安くすみ、家族が協力して家事を分担することもできます。できれば3世代同居のほうがもっといい。

私も大学進学以降東京に出ていましたが、5年前、選挙に出る際に地元に戻りました。離れていた家族が一緒になったことで、世代を超えたつき合いの大切さを改めて痛感しましたね。両親のほうは孫の面倒を見だしてから骨密度が上がったとか(笑)。実際、体力を使うし人づき合いの幅も広がり責任もあるので、健康寿命を延ばすには有効なのかもしれません。

吉川ゆうみ議員 国際部副部長 参・三重県
土井 紫さん 愛知県連学生部長 名古屋大学3年

私の場合、将来は地元の発展に尽くしたいと考え、進学先に県内の大学を選びました。10年後にはリニア中央新幹線が開通して、名古屋から東京まで40分で行けるようになります。自動運転車や家事ロボットが普及し、もちろん情報もインターネットで簡単に入手できるので、余った時間を自分磨きやキャリアアップに使える。その結果、何度でも再チャレンジできる、好循環な社会になっていくような気がします。

大学を出て会社に入り、その会社で定年まで勤め上げるという単線型のライフスタイルが当たり前だったけど、これからは違います。自分に合った会社に転職したり、起業したり、フリーランスとして契約するという方法もある。いろんな働き方で自分の可能性を試していくことになるでしょう。

滝波宏文議員 青年局長代理 参・福井県
鈴木馨祐議員 青年局長 衆・神奈川7区

じつは、終身雇用は1960年代以降の高度経済成長期に定着していった制度で、それ以前の戦後復興期にはありませんでした。そのころのダイナミックな社会に立ち返ることができれば、日本も再度成長できるでしょう。とにかく、これからの20年は「〇〇が当たり前」という前提を捨てなければならないと思います。

※この座談会は平成29年12月18日、自由民主党本部にて行われました。

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