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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成24年2月9日(木)17:00~17:22
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

今日は二つ申し上げます。一つは、7日(火)に、自由民主党平成24年豪雪災害対策本部長として、新潟県へ豪雪の被災状況の視察に参りました。小千谷市のやや山に入った集落等を視察しますと、周りの雪が雪壁のごとくうず高く積っている。やはり、報道・テレビ等を見ているだけでは、わからない厳しさを感じた次第です。知事や市長、また除雪に頑張っておられる皆さまからいろいろお話を聞かせていただいたわけですが、除排雪のための財政的支援が厳しいことになっているということ、集落の高齢化・過疎化による人手不足、さらには後継ぎがいないということ等で空き家になっている家がありますが、そういったところになかなか除雪がすすまないので、倒壊したり、危険な状態が生じるというような、わが国の社会が抱えている構造的な問題がこういうところに現れていると改めて認識したわけです。引き続き、地元県連、関係市町村からいろいろ情報収集を行い、今回いろいろ要望も頂きましたが、それを私どもの対策本部の中でも精査・議論し、必要な措置については迅速に打ち出していこうと考えています。
もう一点は、在日米軍再編計画見直しについて、申し上げたいと思います。今回の見直しは、普天間移設が膠着している状況をなんとか覆い隠したい民主党政権の考え・思惑、米国側は軍事予算の大幅削減を進めていこうという流れがあり、米国と民主党政権の思惑が一致したということではないかと思います。移設時期の明記もありませんし、普天間移設が置き去りになれば、普天間の固定化、これは沖縄にとっても一番憂うべき事態ですが、それを私どもは懸念します。最大の問題は、民主党政権が沖縄の信頼を決定的に失っていることではないかと思います。にもかかわらず、防衛大臣に、昨日今日の審議を見ていても大変心許ない防衛の専門的な研鑽を欠いておられる方を任命し、形ばかりの負担軽減で場当たり的な局面打開を図ろうとしているということです。野田総理は、沖縄県の負担軽減と抑止力の維持という2つを立てるには困難な課題ですが、わが党の先人達が、このことに議論を重ね、心血を注いで、沖縄県民の気持ちに寄り添いながら、解決を図ってきた課題です。そのことを野田総理は骨身に滲みて痛感していただかなければならない。引き続き、国会において課題解決に向けた具体策の説明を求め、徹底的に議論していきたいと考えています。

質疑応答

Q
今日から本予算審議が始まりました。米軍再編や田中防衛大臣の資質、年金の抜本改革などの課題がありますが、どのような点を追及していくか、総裁のご所見をお聞かせください。
A

予算そのものについては、マニフェスト違反の粉飾予算であり、今日の石原幹事長の質問に対する答弁を聞いておりますと、いろいろ協議を呼び掛けてくるのですが、その我々が問うたことに対して、ほとんど何も政権内部で検討が進んでいない状況が明らかになりました。ですから、これは厳しく対峙していかなければなりません。それから沖縄の米軍再編問題に関しましては、沖縄県民の感情に十分に配慮していくことと、わが国の抑止力をきちっと作っていくのを両立させるのは、相当苦労のあることで、それに鏤骨(るこつ)の苦心をしてきたわけです。そういう問題をあまりに軽く見たことがあると思います。それは人事でも明白に現れていて、片山虎之助参議院議員の「総理、あなたは人事が下手ですね」という質問もありました。下手というのを超えて、事態の解決に向かっての基本的な姿勢を問われなければならないのではないかと思っています。協議を求めておりますが、協議を求めるからには、もう少し政権の中でも、先程触れられた年金制度等につきましても、きちっとした議論で、政権与党内としての考え方を整理してもらいたいと思っています。

Q
復興庁発足に伴う閣僚人事で、新設の復興大臣に平野達男防災担当大臣が就任し、防災担当大臣に中川正春前文部科学大臣が就任することが発表されました。田中防衛大臣は、引き続き留任させるようですが、総裁のご感想をお聞かせください。
A

復興庁の新設に伴って、人事を行う。防災担当大臣に兼任させていたのを、兼任を解いて、選任大臣を置くことは当然されなければならないことで、問題は、中川氏が新大臣におなりになるわけですが、今日の国会質疑でも出ていたように、最近地震も頻発しております。あまり不安感を高めることばかり言ってはいけませんが、そういったことも含めて、きちっと対応していけるかということに尽きます。防衛大臣の問題は、沖縄の方々の信頼を取り戻すのは、極めて難しくなっているのではないのかなと思います。引き続き、国会等で、この問題を更に問うていかなければなりませんが、今のこういう新しく米軍再編成の問題が起きてきて、ますます防衛大臣の沖縄の方々に対する説得力というものは、これから大事になってくると思いますが、私はその点大変疑問に思っています。

Q
中川正春氏の起用についての感想と、中川氏は民主党の行政改革調査会長に就任してから、1か月で退任となりますが、ご所見をお聞かせください。
A

向こうの党の人事について、私は必ずしも論評する必要もないだろうと思います。確かに、今、ご指摘のように、行革というのは、政府が消費税をやるんだと。その際、行革を徹底的に進めてもらいたいという国民の気持ちのある中で、与党の責任者というのは、本来重視されるべきポジションだろうと思います。それが、わずかな期間で代わってくるというのは、どれだけ人事というものをきちっと考えておられるかということにもなりかねないと思います。問題は、担当閣僚として、これからきちっとおやりになるかどうかだと思います。

Q
年金試算について、政府与党は二転三転して、最終的に党の調査会で示すということで、公表することになっているようです。公表されることになったことの評価と与野党協議の呼び掛けへの対応について、総裁のご所見をお聞かせください。
A

公表するということは、今までの経緯からすれば当然されないといけないことで、二転三転した挙句、結局出るということ自体、政府、あるいは民主党が進めている政策決定のプロセスへの信頼感を作るものではないことは明らかだと思います。
また呼び掛けてくるのかもしれませんが、これについては、私どもが前から申し上げていますように、国会の場で堂々と議論すると。私の代表質問、今日のわが党の予算委の質問も、現実に社会保障と税の一体改革の問題点をいろいろ質疑しているわけですから、こういう場での協議は実際には始まっていると思います。
むしろ我々が求めたいのは、こういうところはどうなんだと問うている消費税の具体的な設計、あるいは社会保障に対する民主党の設計図も、質問するとほとんど明確な答えが返ってこないのに、協議を呼び掛けるのはいかがなものかと思っています。

Q
沖縄県の宜野湾市長選挙について、昨日の米軍再編見直しの日米合意がこの選挙に与える影響をどのようにお考えですか。
A

これが選挙にどういう影響を与えるか、今のところ十分に読めません。つまり、これはいろいろな見方があり得ると思います。政府として強調したいところは、パッケージとしていたものの一部、普天間が全部パッケージではなかなか進まない。バラしたことによって、ある意味での負担軽減が進むという点はアピールしたいわけでしょう。
ただ、現実には、固定化の危惧というのも、相当強い。これは本当にそれができるのかという問題は、極めて深刻な問題です。それがどういうふうに、この選挙戦に影響を与えるかは、まだにわかには読み堅いところがあります。

Q
社会保障と税の一体改革について、岡田大臣は全国行脚を行うとしています。岡田大臣は、谷垣総裁は、消費税はけしからんと言っているので、京都5区の皆さんに訴えたいとしていますが、いまだ社会保障の全体像を示すとは言い難い状態での行脚になりますが、このような取り組みをどのように見ていますか。
A

岡田大臣がご自分たちの主張を通すために全国行脚をされる。その最初に、京都5区を選んでいただいたことは、光栄とは申しませんが、それは岡田さんのご判断でしょう。私が今のご質問の記者がおっしゃったことが、岡田さんのおっしゃったことかは分かりませんが、消費税はけしからんと谷垣が言っていると。私は、消費税がけしからんと言ったことは一度もありません。要するに、マニフェスト違反の消費税を決める資格があなたたちにあるのかということを言っているわけです。そんなことを簡単にやったら、つまり政権交代というものは、これからもあり得るわけです。そのときに政権交代には、私たちはあまりたくさんの経験を持っていないので、そのときにどういうルールを作るかということを少しでも考えるのであれば、看過することはできないと申し上げていますので、そういったことも私の発言を正確に引用していただいて、辻説法をやっていただきたいと思います。

Q
民主党執行部である広野広報委員長が、消費税増税のPRはできないとして辞表を提出して受理されました。消費税論議について、民主党はまとまっていないと言われていますが、このような民主党の状況をどのように見ておられますか。
A

私は、野田さんご自身は、今までの言質を見る限りは、消費税に熱心に取り組まれているんだろうと、そういうふうにおっしゃっていますが、我々の経験によると事柄がうまく進まない場合には、最後は自分の足元が崩れてきます。その足元が崩れてくるというのは、やはり踏むべき道筋を踏んでいないからだと思います。広野さんの進退もおそらくそういうことではないかと思います。

Q
野田総理は、昨年末に原発事故収束宣言をしたにもかかわらず、現在、福島第一原発の2号機に関しては、温度が上昇、その理由も分からない状況ですが、この間の対応をどのように見ていますか。また、先週、国会の原発事故調の黒川委員長から衆参議員に対して、規制行政、官庁のあり方については、原発事故調で協議すべきで遺憾だとの趣旨の抗議声明が出ていますが、受け止めをお聞かせください。
A

最初の問題ですが、昨年12月に事故収束宣言ということを、ある意味では温度が下がってきたということは、喜ぶべきことだとあの当時は思いましたが、制御棒がしっかりと入っての冷温停止状態ということとは違ったわけです。何が起こっているのか十分に分からない。その不安を感じながら、あの宣言が妥当だったかどうかということもありますが、それが今、もう一回、いろいろ不安なことが感じられるということだと思います。
私どもも、この問題に関しては、まだ情報が少なくて何とも言えませんが、二番目に質問された論点とつながっていますが、政府が必ずしも十分に情報を出していないのではないか、だから国会で事故調を設けて、いろいろな検証、いろいろな情報がオープンに出るようにして行かないと、国民の安心につながらないのではないかという観点から、我々は事故調を求めたわけです。
黒川委員長が文章をお出しになって、私もそれを拝見しました。これを見ていますと、やはり与党の理事なんかは、一体、政府内で行われていることと、国会で行われていることをうまく調整してやっていくのが与党の理事の仕事だと思いますが、まったくそういうことが果たせていないなということを感じました。
単に、下手ということ以上に、やはり国会、税の話で協議、協議と言って、協力してくれ、協力してくれと言ってきますが、政府と国会がどう連動して協力して行くかということに対して、根本的なセンスがないのではないかという疑いを持っています。いずれにしても、これは事故調だけではなくて、いろいろなところを活用して、事態を明らかにして行かなければならないと思います。