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記者会見

所信表明演説を受けて 谷垣禎一総裁ぶら下がり会見

平成23年9月13日(火)14:40~14:50
於:院内第24控室
谷垣禎一総裁

質疑応答

Q
野田総理による所信表明演説が行われましたが、谷垣総裁のご感想をお聞かせください。
A

「正心誠意」という言葉を使われていましたが、本当に真心がこもっているかどうかが問われると思います。今度の所信は、例えば鳩山さんの「命を大切にしたい」、あれは官僚が書いたものを排除して、自分のスタイルでやろうとした。中身は、ロマンチックな思い入れだけというようなものでしたが、何か今までと違うものを出そうという、そういうものは感じられました。
しかし、今回の野田さんの所信表明演説は、そういうのとは違って、役人に書かせてものと。そういう意味では、昔からの手法と言っていいかもしれません。これを聞いていて気になるのは、今までの役所に書かせた所信表明でも、必ずここは工夫したな、何か新機軸を出そうとして、ここは新しいものをそれなりに努力して入れたなというものが、何かあったと思いますが、今回は、そういう印象は、私は受けませんでした。
先ほど言ったことに繰りかえしになりますが、冒頭のところで、今の日本の危機にあたって、内閣総理大臣として、国民の気持ちに訴えかけて国民に奮起してもらえる、そういうメッセージを出したいという野田さんなりの工夫があったのは事実だと思います。
災害に対しての日本人の気高い対応であるとか、そういうところで危険も顧みず頑張っている方々とか、福島県に住み続けたいという自分の気持ちを取り上げられた。それはそれでしかるべきものだったと思いますが。そうであれば、何で鉢呂さんのようなご発言が出てくるのか。結局は、こういうことを実行するための体制を作っているのかどうか。求心力というものを作り得ているのかどうかは、これから当然に問われてくると思います。
それから、行政刷新ということが言われていました。民主党が政権をとって2年経って、例えば政調の意思決定の仕方、事務次官会議をどうするとか、いろいろな組織をいじっている。つまり政権、あるいは与党としてどういうふうに意思決定をしていくかということが確立していません。それを2年経って、いまだに模索している。やはり政権というものは、意思決定をして、それを進めていかなければなりませんが、意思決定のシステムそのものが、いまだにできていないのだと思います。
そういう問題点をこれから国会で、私どもはしっかりと問題点を明らかにしていかなければなりませんが、それにしてもわずか4日間の国会。この中で協議の呼びかけもありました。税を協議したいということも、党首会談のときに言われました。
しかし、国会でしっかり議論する気もない。そういう中で、他の党もいくつかあります。自・公・民だけで、協議をしようと。そんなことできるはずもありません。やはり国会で、まずは誠実に、「正心誠意」とおっしゃるなら、国会で「正心誠意」、議論するという姿勢を具体的に示していただきたいと思います。

Q
演説の中で与野党の協力関係についての言及がありましたが、どのように受け止めておられますか。
A

震災の復旧復興とかこういった問題に対して、協力を惜しまない。我々も知恵を出し、汗をかくということは、再三再四申し上げてきたわけです。それを超えたいろいろな呼び掛けですが、やはり国会で真摯に向かい合うという姿勢を欠いて、国会の方は都合が悪いから逃げようと。都合の良いところだけ協議してくれということだけでは、物事が進まないのは明らかです。

Q
菅政権時に、統治や責任ということで問題点を指摘されましたが、今回の野田政権も構造的に同じ問題を抱えているとお考えですか。
A

そこに問題があることには気付きつつあるのでしょう。ですから、党として、政策について、政策調査会をどのようにかませるかということについて、もう一度議論になっている。それから政府の意思を行政機関全体に徹底するために、この政治主導と正反対の官僚主導として排除してきた事務次官会議の復活も必要であったと。それから経済界・学会の意見を取り入れて、総合的な戦略を立てていくには、経済財政諮問会議みたいなものを実質的に復活させる必要があるとか、そういうふうに、菅内閣の問題点は、意識はされていると思います。しかし、今更意思決定の仕方を模索しているようでは、物事はなかなか進んでいかない。しかも、物事を決めるときには求心力が必要ですから、鉢呂氏がお辞めになったことは緊張感、求心力があるかが問われなければいけないということではないかと思います。

Q
4日間という会期が、自民党他野党が反対する中、議決されましたが、今後の与野党協議に水を差す結果になるとお考えですか。
A

それはこういう状況で国会を閉める中で、協議はできません。

Q
与党側には、予算委員会の閉会中審査が念頭にあるようですが。
A

国会というところは、長い間我々の先輩たちが努力して、すべては良い慣習だったかは別として、その時その時で知恵を出し合って、最善のルールを作ろうと、先例とは、国会運営、議会主義には極めて重要です。今まで、新しい政権ができて、予算委員会もやらずにあっという間に閉じてしまおうとすることは、ほとんど例がありません。ところが菅政権の時にもそういうことをなさった。それは、参議院選挙が間近にあるということだったですが、それに続いてまたそういうことをなさる。こういうことを議会政治の無視と言わず、他に適切な表現はありません。

Q
民主党の輿石幹事長は、代議士会で、情報管理を徹底したいと発言されました。それについて、どのようにお考えですか。
A

情報管理を徹底するということも結構なことでしょう。悪いことではないかもしれません。しかし、閣僚一人一人の心構え、やる気、それを束ねる総理大臣の求心力がなければ、情報管理だけ徹底しても何の意味もありません。

Q
昨日は、テレビ局の幹部を呼びつけたりしているようですが。
A

私は、再三再四申し上げているように、極めて低レベルの問題だと思っています。あまり目くじらを立てて、青筋立てて、あげつらうつもりはありません。そんな必要もないと思います。