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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年9月16日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

民主党の新体制について、一昨日、代表選挙の結論が出たわけですが、新代表が決まりました。それから党役員人事、あるいは内閣改造が検討されているわけですが、いずれにせよ、どのような体制になろうと、内政・外交の課題は山積しておりまして、遅滞は許されない状況になっていると思います。昨日、経団連首脳と会合をしたのですが、その席においても、わが国経済のこれから先の道筋に大変憂慮を示されておりました。これは国民に開かれた形で、どう対応するのか。政治の上で早急に議論しなければいけない。こういうことですから、早期に国会を開会する、今月中に国会を開くことをと強く求めていきたいと考えています。これが第1点です。
2番目は、為替介入が行われました。私どもは従来からやはり日本として毅然とした態度を示すべきだということを言っておりました。遅きに失した嫌いはあるわけです。しかし、この為替介入自体は円高を阻止するのに一定の効果はあったと思います。むしろ問題はこれからでありまして、この問題を根本的に解決するのは、介入だけでできるわけではない。日本国の意思を示すだけでは足らないわけでありまして、国際的にどのような形で、こういう時に為替の切り下げ競争にならずに、国際的な連携を保っていくかということをきちんと議論しなければならないわけです。あらゆる機会をとらえて、政府はそのような対応をすべきでありますし、きちっとG8をはじめ、首脳レベルでこの問題を解決する場を作っていく努力を、政府は当然為すべきであると考えます。国際間の信頼をきちっと作ることが非常に大事ではないかと思います。
3番目に、尖閣諸島沖における衝突事件について、申し上げたいと思います。それは申し上げまでもありません。尖閣諸島はわが国固有の領土であります。政府は毅然とした対応を取らなければならない。当然のことだと思います。今回の中国のこのような対応を取ってきている背景には、日米関係が信頼低下している過程、経過の中で、日本の出方を探っている面があるわけです。また、政治空白という状況も中国は見ていると思います。このような点は、民主党政権が自ら招いたものであるということを十分自覚して対応してもらわなければならないということです。それから北京の日本大使館が在留邦人等に注意喚起しているようですが、邦人保護には万全の対応を取ることが必要である。そのことも改めて指摘しておきます。

質疑応答

Q
本日、民主党政権が発足してちょうど1年を迎えましたが、これまでの政権運営の評価をお聞かせください。また今後はどのようにしていくべきとお考えですか。
A
鳩山政権が退陣したときに、鳩山さんご自身がおっしゃったことは、政治とカネの問題、普天間問題で辞めると発言されました。また、外交関係で日本の信頼を作っていくことに失敗している。それから経済の対応もあります。さらには政治主導と言っていますが、まさにこの間に起こったことは政治空白だと思います。基本的な日本の運び方の設計図がしっかりしていないのではないか。そして日本の国を統治していくということに関して、十分な方法論が確立できていないのではないかと思います。一刻も早く解散に追い込まないといけないと申し上げているのは、そういうことを踏まえて申し上げています。
今後はどうかとのことですが、今回の民主党の代表選を見ていまして、その中で菅さんならどういうことでこれから日本を導く、引っ張ろうとしているのかということが明確になれば、それはプラスだと思っていました。しかし、今に至るまで菅さんは、本当は何をしたいのかということが、我々の目にもはっきり見えてきていません。このことは、政権のあり方としては極めて大きな問題だと思っています。
Q
公明党の山口代表が記者会見で、「公明党としては単純に解散一辺倒ではない。国政レベルの民意と地方統一選の民意は違うので、同時に問うのは有権者が戸惑うのではないか」と発言しましたが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
それぞれの党でどう対応していくかというのは、まったく同じというわけではないと思いますが、基本的に一致しているのは、国会において与党としての問題点は、徹底的に追及していかなければならない。この点は、公明党との間で完全な一致があると思います。特に今の経済の状況等々について、国民生活をしっかりと安心なものにしていく手立てをもっと迅速に、もっと真剣に講じるべきだという点では、まったくの一致があると思っています。
Q
自民党が描く早期解散戦略には、公明党とも足並みをそろえてやっていくという認識ですか。
A
私どもの基本的な認識は、政権として政策的にも、あるいは政治倫理のうえでも、政治運営の手法にしても、極めて不安がいっぱいある政権だと思います。この政権がいつまでも続くというのが国益に合致していないと思うので、一刻も早い解散を求めていく方針に変わりはないということです。
Q
国会議員の定数削減について、菅総理は年内にも削減案を取りまとめたいと代表選の公約に掲げました。公明党と社民党は、早急な議論には反対、比例の定数だけを削減するのは反対との姿勢を見せていますが、自民党として、今後どのように対応されますか。
A
我々の参院選公約でも3年以内で1割削減、6年間で3割削減ということを約束していますので、これは当然にやらなければいけないと思っています。そのためにこれはかなり、なかなかでは民主党も削減を言い、他の党でも約束しているところがあるので、我々もすぐにでもできるはずだとおっしゃる方がいます。
しかし、1票の格差という問題から申し上げますと、参院の方でこういう議論をすると、鳥取や島根で改選期に1人の議員を割り振ることが難しくなると思います。そうしますと、この問題は単に定数の問題だけではなくて、選挙制度そのものをどうするかということを掘り下げないと、解がなかなか出てこないのではないかと思っています。
したがって、この度、政治制度改革本部を新たに作りましたので、この選挙問題に詳しい細田博之元幹事長に、選挙制度だけではなくて、単に定数の問題だけではなくて、定数の問題は国会をどう改革していくかということでもありますが、同時に選挙制度まで合わせて考えないと解が出ないということで、党を挙げての議論を行いたいと思っています。
Q
年内は難しいとお考えですか。
A
まだスケジュールは、十分に煮詰めているわけではありませんが、事柄が今のように広がりがあるので、あまり拙速にやるとちゃんとした解が出ないのではないかという気持ちは持っています。
Q
国民新党の亀井代表は、今後の臨時国会の対応について、自公政権で行ったような衆院における再可決を社民党も入れて行ってはどうか。我々がブリッジ役を果たすとの発言をしていますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
政権側でいろいろなことを模索されるというのはあると思います。しかし、一番の基本は、3分の2の多数で再可決すればそれで済むという問題ではなくて、今までしかも十分煮詰められていない案をかなり乱暴な手法で国会に出したことがあります。やはりきちっと国民生活を見据えた案を、十分に党内、与党内できちっと煮詰めた上で、かなり丁寧な国会運営をされるのが第一ではないでしょうか。
Q
国会戦略について、対案路線というよりも提案路線で、主体的に提案していくということだと思いますが、自民党の政策を主体的に提案する中で、攻めの姿勢で政策を実現していく。あるいは、民主党内の矛盾を拡大し、政権交代に持っていくという考え方と理解でよろしいのでしょうか。
A
提案路線とおっしゃったけれども、まず野党の第一の役割は、提案することよりも与党の主張、政策の問題点を徹底的に突いていくということがなければ、いけないと思っています。そうしませんと国政の上で緊張が生じませんし、提案だけして、後はおまかせと言うのでは、なかなか政策の質を上げることができないと思います。まず第一は、与党の問題点を徹底的に突いていくのが、イロハのイだと思います。その上で、国民生活も今は苦しいですから、いろいろ角突き合わせてばかりで良いのかという議論はあるのだと思います。ですから、私どもはそういう問題、与野党ということではなくて、一緒にやらなければならないと言いますか、我々の案を与党としても十分考えるべきではないかということをどんどん提案していかないといけないと思っています。
しかし、問題はやはり先程、与党が何をやりたいのか、菅さんが何をおやりになるのかということがはっきり浮かび上がって来ないと申し上げました。参議院選挙の時は、菅さんも社会保障の財源や財政の健全化に対して覚悟を固められなのかなと思いましたが、参議院選挙の経過を見ていると、必ずしもそうも言えない。もし本当に(覚悟を)お固めになるのだったら、今度の代表選挙でも強い意思表示があったのではないかと思いますが、そういうわけでもなかったと思います。やはり与党として、何をやりたいのかということに関して、鮮明な議論をきちっとなさって、与党の中で、ある程度の合意を作るということがなければ、これは簡単にご相談というわけにはいかないと思っています。
Q
民主党の人事について、菅さんは今日明日で決めたいようですが、肝心の幹事長がまだ固まったという話も聞きません。それは代表選挙の激しさを象徴していると思いますが、総裁のお考えをお聞かせください。先に、党役員人事を行った立場として、アドバイスなどがあればお聞かせください。
A
アドバイスする立場ではありませんが、今、与党が人事を進めておられるときに、この人だったら良いとか、この人なら良くないとか言うことは、党が違いますから、申し上げるべきではないと思います。今、おっしゃったように相当激しい選挙が行われました。党員やサポーターの票では、菅さんがお勝ちになったけれども、国会議員の支持数はほぼ互角と言っても良い状況でしたので、それは相当厳しい党内での亀裂と言いますか、対立があったと思います。それだけに人事はなかなか簡単ではないのだろうなという思いで見ています。