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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年7月22日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

第1に臨時国会についてですが、予算委員会が開かれるという方向で今、調整が進んできています。鳩山政権から菅政権に代わって、所信表明演説はあったのですが、予算委員会が開かれないままに、参議院選挙に突入していったわけですので、当然やらなければならないことだと思っています。この予算委員会で、私自身も先頭に立って、論戦をきちっと詰めてやってまいりたいと考えています。ここで議論しなければならないことはたくさんありますが、1つは普天間基地移設問題で、これから具体的にどう処理していくのか。8月末に具体的工法等を決定するのとのことですが、これも断念したという報道も見受けられます。それから、来年度の予算編成に向けて、具体的に概算要求基準をどのような考え方でやっていくのかということもきちっと知っておかなければならないことです。菅総理が選挙中に不用意な形で問題提起されたので、混迷してしまった税制改正等についてどのように考えるのか。また財政再建と社会保障のあり方といったことについても議論を詰めていきたいと考えています。
2番目に、参議院選挙の結果を受けて、いろいろ議論が進んでいますが、菅総理は、所信表明に対する質疑の中で、私が申したのに対し、「参議院選挙で国民の信を問う」ということをおっしゃった。しかし、このような結果であったということですから、当然、ご発言を重しとされるのであれば、総辞職をされるか、さもなくば国民に信を問うことが必要です。この予算委員会等の審議を通じて、政治の言葉に対する信頼を、私どもは確保しなければならないという観点から、問題点を追及して、早期解散に追い込んでいきたいと考えています。私どもも、そのような観点から次の衆議院選挙の準備を進めなければなりません。昨日、未だに選挙区支部長つまり衆議院小選挙区の候補者が決まっていないところがあります。公募等を活用して、早急に決めるように指示を出したところです。
3番目に、今回の参議院選挙では、改選第1党という結果を頂いたわけですが、これについては、わが党の地方組織が頑張ってくれたことが極めて大きいと思います。そして、それと同時に、そのことは他党に比べて、わが党がそれぞれの地域で草の根の方々の声を吸い上げていくパイプを持っていることも意味しています。今回の結果、地方組織の健闘を受けて、来年の統一地方選挙の準備を具体的に進めなければなりません。これは中心となるのは、都道府県連がそれぞれの候補者を選んでいくということですが、党本部としても、戦いやすい体制を作るように、全力を挙げたいと考えています。
今回、地方組織が頑張ったということに加えまして、それぞれの草の根の声を吸い上げる力があると申し上げましたが、私をはじめ執行部、執行部以外のいろいろな方々が、ふるさと対話等々で全国に入って、いろいろな方々の声を聞いてきたことも力になったと思っています。今回敗れたところでも、今後このような活動をきちっとやっていかなければいけないと思っています。

質疑応答

Q
民主党の樽床国対委員長は、政府提出法案について、野党側と積極的に修正協議する考えを示しましたが、自民党はどのように対応されますか。
A
まず、国会の議論のあり方ですが、前国会は極めて乱暴な国会運営が与党によって行われたということがあります。特に参議院においては、最終日、議長に対する不信任案も上程しない、あるいは問責決議案も上程しないまま、本会議を開かずに、握りつぶしたような格好で終わってしまった。極めて異常なことが起こったわけですので、樽床国対委員長の話は、そういうことに対して、当然、国会運営のあり方そのものについて、見直していく、反省していくということが前提になければならないのは、はっきりしていると思います。
それからもう1つは、修正審議等を積極的に行っていくということですが、我々ももちろん国民生活に必要なこと、今までも例えば口蹄疫の問題に関しては、特別措置法を出して、それを基礎として、新法ができたということもありました。こういうことを随時やっていくのは当然のことでありますが、ものの考え方として、当初は政権の側も高揚感から、マニフェストは国民との契約である。したがって、ここに書かれていることは、神の言葉のごとき神聖なものであると言わんばかりに、現地の方々との合意形成も図らずに、例えば八ッ場ダムを中止するという挙に出るような、マニフェストの理解をしておられたと思っています。ところが、今回の参議院選挙で、与党と野党の数が逆転したことに伴って、盛んになってきた議論は、国会というところは合意形成のプロセスであるという議論がしばしば聞かれるようになってきました。私自身は、国会は合意形成のプロセスだという議論は、昔から正しいと思っています。しかしそういう考え方は、マニフェストは国民との契約だから、合意形成も無視して、それをやっていくという考え方と相反するものだと思います。樽床国対委員長がこのようなことをおっしゃる前提として、マニフェストをどうしていくのか、もう少し虚心坦懐なお話がなければいけないと思っています。
Q
普天間基地移設問題で、日米両政府が8月末までに滑走路の建設工法などを決定するという合意を事実上断念するということで調整に入っていますが、このことについて、総裁のお考えをお聞かせください。
A
これは日米2国間の合意で8月末となって、文書もできているわけです。それができないということになると、極めて日米関係は深刻な問題が生ずる。このことを恐れます。それと同時に、8月末の合意を事実上断念したとすれば、その背景にあるのは、現地沖縄の方の合意をなかなか形成できないということがあると思います。昨年の名護市長選挙も、結局沖縄の民意という美名の陰で、国政としての責任を放棄した態度が見られました。どう沖縄の民意を作っていくかということを正面から見据えて、真剣に考えていただけなければならないことだと思います。それをどう具体的に進めていくのかというが見えない中で、このような迷走は厳しく糾弾されなければならないと思います。
Q
金賢姫(キムヒョンヒ)元死刑囚が来日し、鳩山前総理の別荘に滞在し、政治利用しているのではないかという批判もありますが、総裁のご所見をお聞かせください。
A
まず、金賢姫元死刑囚の訪日は、極めて疑問が多いと思っています。拉致被害者のご家族の心情から考えますと、少しでも情報がほしいという気持ちはよく理解できますし、またこのことによって、拉致問題への関心が高まるとすれば、その限りにおいては評価できる点がないとは言えないと思います。しかし、もう1度考えなければならないのは、大韓航空機事件では、115名の方が亡くなった、そのテロ事件の実行犯です。こういうテロ事件の実行犯を日本に迎える時、言葉が適切かどうかわかりませんが、VIP待遇で前総理の別荘に泊めるとか、報道によると富士山を見たいとも聞かれますが、これはパフォーマンスとしか言いようがないし、国際的にも日本はテロをどのように考えているのか、理解が得られないのではないかと私は思っています。このことによって、新しい情報が得られたのか、何らかの進展があるのか、きちっと本人の取り調べに捜査の専門家があたっているのか、いろいろなことを考えますと、何ら新しい進展はないという話もあります。私は、パフォーマンスのためにした、極めて疑問の多いことであると申し上げざるを得ません。
Q
参議院議長人事について、臨時国会が行われるにあたって、改めて現在の総裁のお考えをお聞かせください。
A
参議院議長については、1つありますのは、先程も申し上げたことですが、前国会の参議院の締めくくり方は極めて異常なものでした。議長本人の不信任案、それから菅総理問責決議案を上程しないで、最終日必ず本会議を開いて会期末処理をするということもせずに終えてしまった。このことの責任をまず問わなければなりません。そうしますと、そういうことを担当してきた与党の方々の議長を認めるのはおかしいのではないかと思います。もちろん野党で議長をとっていくということも、野党の連携ができないといけません。わが党の鈴木参院国対委員長は、野党会談をして、野党で議長を取るという問題を提起していると聞いているので、そういう方向で野党協議を進めていただきたいと思います。
Q
本日、消費税を含めた税制について、党の税調幹部と石破政調会長が議論を行いましたが、いつ頃までにまとめていきたいとお考えですか。
A
選挙戦の最中、菅さんが取り上げられたことによって、また菅さんの発言自体が迷走したので、議論の構造自体が非常に混乱しているというのが現状だと思います。今回、税調の方で議論をしていただく。当然、新しい当選者の方もいますので、もう1回、全体の方向性をしっかりと議論をしていただいて、問題点を整理していく。こういうことがなければいけないという考え方で、政調会長と税調幹部で相談をされたのだと思います。
具体的なスケジュールについては、どういう整理をするかはよく聞いていませんが、いずれにしても我々としては、この消費税だけではなく、来年度、どういう税制を考えていくかという結論をまとめなければいけませんので、そういうことを睨んで幅広く議論していただければと思います。
Q
本日告示された長野県知事選挙の位置付けについてお聞かせください。
A
今まで長野県副知事を務められた、腰原愛正氏を自民党長野県連が支援をするということで、今日からスタートしました。わが党としても、県連の支援ということではありますが、参院選が終わっての最初の地方選挙ですので、先ほど申し上げたように、わが党も地方組織は大変頑張ってくれた参院選でしたので、長野県連も今度の参院選の結果を受けて気合いが入っていますので、ぜひとも勝利していただきたいと思っています。
Q
消費税の議論について、参院選では当面10%ということを掲げて戦いましたが、次期衆院選の公約にも書き込むという認識でよろしいですか。その場合、どれくらい踏み込んだ形で明記するとお考えですか。
A
参院選で書き込んだものを、次期衆院選に向けてそれをどのようにしていくかは、まだ具体的にイメージしているわけではありません。これからです。今回の参院選の自民党の公約の中でも、当面10%というのは柱のひとつですので、最後の表現はこれから議論しないといけない面もあるかもしれませんが、基本線は変えるわけにはいかないと考えています。
Q
次期参院会長について、複数候補を立てて選挙を行うべきとの声もあるようですが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
このことは、参院の構成をどうするかということも関係があります。まず私は参院に申し上げているのは、院の構成を考えると、先ほどの考え方に基づけば、野党の連携が必要ですねと。その点はしっかりとやってください。もうひとつは、わが党の参院人事は規約の中でしっかりと選挙で決めると書いていますので、公明正大にしっかりとやってくださいということです。