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記者会見

石破茂政務調査会長 定例記者会見

平成22年10月20日

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言】

政策会議を正午から開きました。閣法として「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案」と「航空法の一部を改正する法律案」を承認致しました。問題のない閣法なのでシャドウ・キャビネットを通さずにそのまま総務会に上げます。議員立法として「茶業振興法案」の説明があり、これを了承致しました。昨今、低迷しておりますお茶の振興について、色々な施策を定めたもので、これは多くの県におきまして極めて重要な意味合いをもつものでありますので、この法案はシャドウ・キャビネットに上げます。以上、法律案3本を了承致しました。次に、「司法修習生の修習資金貸与制の実施を延期する法案」がございますが、これを委員長提案ということで、延期にし、貸与にしないのだということですが、本日の法務部会では相当の異論が出ておりました。賛否両論です。問題は、閣法で決まっているものを委員長提案という形で延期をするというものでありますので、民主党も法案に賛成しておきながら、これは何なのだということです。民主党の中でどのように議論が行われ、本当に意思決定がなされているのかが極めて不明確であります。私どもとして、これを委員長提案という形で延期するという民主党の意向が本当に固まっているのかということを見定めなければなりません。その状況をしばらく見守るということで今日は了としたものであります。
統一地方選挙公約作成委員会の第1回を開きました。この状況について委員長の山口筆頭副会長より報告が行われました。また11月10日に全国政調会長会議を開催致します。開催要領等について鴨下代理より報告がありました。齋藤事務局長より現在、精力的に進めております補正予算対応検討会の中間報告を受けたところであります。本日の政策会議の概要は以上です。
また、お手元に1枚紙をお配りしております。「政府の“円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策”についてのわが党の考え方」をお配りしました。
まず、第1弾としてわが党はこのように考えるとお示ししました。補正予算にわが党は反対するのか賛成するのかと、よくお尋ねをいただきますが、出てもいないのに賛成・反対だと言われても困る。私どもは麻生内閣の時に、何度も補正予算を編成し、切れ目のない経済対策をやってきたところでございます。円高の傾向あるいはデフレの傾向が顕著になっており、景気の極めて悪い状況が7月、8月には現出していたところであります。それにもかかわらず、代表選挙をずっとやっていて党内が混乱し、政府として補正予算を早くだす作業が遅れております。10月末に補正予算を出すということですが、本来もっと早くだせたはずであり糾弾しなければならないと思います。雇用空洞化を招くような政府の政策は是正される兆しがみられません。CO2削減、最低賃金1000円の目標、法人税率世界高水準、円高など、このように国内においては企業が疲弊する状況にあり、このような日本にいられるかということになっております。対策を講じないということは、企業いじめであります。雇用が失われ、1回海外に出た会社はもう日本に帰ってくることはありません。今、手を打たなければどうにもなりません。経済対策はもちろん必要ですが、これと同時に空洞化対策を打つというメッセージを発する必要がございます。次に、いわゆる4K、子ども手当、高速道路無償化、戸別所得補償、高校無償化など、いわゆるバラマキ政策が継続されながら、なけなしの財源で補正を組むのはおかしいのではないかと思います。積算根拠は別途お示し致しますが、バラマキの執行停止等で7000億円が出てきます。さらに、私どもはこれから先の財政をどうしていくのか、財政健全化責任法案を可能な限り早く再提出するべく、いま作業を進めているところです。恒久的政策には恒久的財源ということで、財政規律をきちんと実現するという計画を出すべきであり、抜本的税制改正を行うべきであります。そのようなものを柱とする「財政健全化責任法案」について速やかな成立を求めます。さらに、政府が出している緊急総合経済対策についてであります。わが党や公明党の主張をずいぶん取り入れたではないかとよく言われますが、例えて言えば、地方を活性化させるために、政府の提案では3500億円、私どもは1兆5千億円を提案しており、全く違います。現在米価が下落しておりますが、これに対する対応も必要であります。地方の疲弊に対してなんら現場感覚がないので、地域活性化策を強化すべきだと考えております。これを1枚紙にまとめたものですが、さらにビジュアルを重視したものにしていきたいと思っておりまして、経済が非常に厳しい状況下にあるのにもかかわらず、代表選の対策に集中し、まだ補正予算を出していないことや、あるいは、なけなしのお金を経済効果の薄いバラマキ政策に使うのはおかしいのではないかなど、わが党の経済対策に対する考え方をきちんと主張していきたいと思っております。民主党の補正予算案に反対するというのではなく、自民党の補正予算とどちらが正しいかを問うと同時に、一般の方々に自民党はただ反対するだけでなく、「わが党ならこうする」という案を可能な限り、早めに発信していきたいと思っております。数字の裏付けなどについては、政府と情報収集能力が異なりますので、あまりに精緻なものは出せませんが、財源というものを明確にした上で、「どちらの補正予算に皆様方は賛成なさいますか」というような議論の展開をしてまいりたいと思います。以上です。

質疑応答

Q
このペーパーは組み替え動議の土台になるのでしょうか。
A
土台になります。
Q
ペーパーの1番最後に「党利党略による引き延ばしは一切しない」とあるのですが、これの意味するところを教えていただけないでしょうか。
A
色々な考え方があると思います。読んで字の如しであります。単にいたずらに引き延ばすということはしないのだということです。ただ、私どもとして、例えば財政健全化責任法案というものは党利党略ではないと思っております。いたずらに引き延ばすということではなく、例えば財政健全化責任法をきちんと審議するということであれば、それでよいわけであります。しかし、財政健全化責任法案は審議しないけれども、補正予算は通してくれと言われたら、「そうはいきません」と我々は言うことになります。それは党利党略による引き延ばしとは言いません。何の対案も出さずに、単に足を引っ張るだけの条件を付けるのではなくて、この条件というのは何故出しているのかということが、どれだけご理解をいただけるのか。党利党略というふうに判断するかしないかは有権者の方々のご判断であり、「そうではないのだ」ということを示す必要があると思っております。
Q
財政健全化責任法案の件ですが、ここで、「速やかな成立を求める」と書いてありますが、提出はいつ頃になるのでしょうか。29日に政府の補正予算案が提出される予定ですが、その前になるのでしょうか。
A
もちろんそのようになります。手続きを急ぎます。
Q
小沢民主党元代表の証人喚問や尖閣の衝突事件のビデオ映像というものがあると思いますが、これは審議の1つの条件になるのでしょうか。
A
これは、政調会長としてお答えする権限を超えていると思いますが、証人喚問というものは、国会が決めることであります。私どもとして、そうあるべきだと思っておりますし、多くの野党もそのように言っております。したがって、これも1つの条件になるのだろうと思っておりますが、最終的には国対の判断になろうかと思います。また、ビデオ公開も中国もビデオを公開してくれと言っているわけでありますし、多くの国民が、公開をするべきであると言っているわけであります。ここはウヤムヤに最近なっておりますが、私の質疑の中で、仙谷官房長官が実際のところは、起訴猶予による不起訴処分になるであろうと国会で答弁しているわけでありまして、今後公判が開かれるということはございません。資料を公開するかしないかということは、そのことによって人権が守られるかどうかということであります。あるいは、訴訟に何らかの影響を及ぼすかどうかということでございます。教科書風に申し上げれば、公開を阻む、拒むというのは、そういった理由によるものだと承知しております。ですから、中国人の船長も身分が不安定である、法的に不安定であるという状況は継続するべきであるとは思っておりませんので、そのように答弁をしたからには、検察が起訴猶予で不起訴処分ということしかありえないのであれば、そのような決断をするべきであろうと思います。そして、またVTRの公開についても、しないのであれば何故しないのか、人権に関わることでもなく、公判に影響を与えるものでもない。それにも関わらず、公開しないとするならば、公開しないことによって、することよりも大きな公益が守られるということの挙証責任が政府にはあるわけでございまして、そのことはきちんと果たしてもらわなければならないと思います。このことを予算と関連させて考えるべきかどうかは、私が判断するべきことではありませんが、そういったことを一切、先延ばしにしたまま、とにかく何でもかんでも補正をやってくれという態度は非常に不誠実ではないかと思っております。
Q
財政健全化責任法案についてですが、先の国会で出した中身を更に修正する予定があるのかということと、提出した場合、民主党には一切修正を認めないという姿勢で臨むのでしょうか。
A
それは、もう少し内容を厳しくしたいというようなことがございまして、政府が果たすべき責任をもう少し明確にしたほうがよいのではないかという議論が現在、党内にはございます。法案修正はそれ程、難しいことではないので、そこは修正するべきではないかと考えております。一切修正を認めないというものではありません。それについての議論は国会の場で行われるべきものでありまして、私どもとして本当にこれは譲れない部分というものもあります。例えば税制の改正でありますとか、それは譲れません。ペイ・アズ・ユー・ゴーの原則も譲るわけにはいきません。ただ、かなり多くの条文がございますので、それはまったく譲歩する余地なしと言うつもりはありません。委員会における審議において、より良い一致点が見出されれば、修正することもあると思います。
Q
人事院勧告についてですが、政府は勧告を上回る発言を行わないという方針のようですけれども、菅総理が以前言っていたこととの整合性や、みんなの党がそれを上回る法案を出すというような話もありますが、どのように考えますか。
A
このことにおいて、みんなの党と一致したということは、私は少なくとも承知しておりません。出所はどこか分かりませんが。私どもの党として、更に深堀りをするべきではないかという議論もございます。ここにおいて、更に深く切り込むべきではないかというのが、今の情勢判断でございますが、わが党として最終的な対応はまだ決しておりません。
Q
仙谷官房長官のここ最近の言動についてですが、今週の参議院決算委員会で自民党の丸山議員の質問に対して、「健忘症」という言葉を使って逃げたり、先週も含めて、色々な問題発言が多いかと思うのですが、仙谷官房長官のそういった姿勢についてどう思うかということと、民主党が高校無償化の関係で、朝鮮学校を認める方針を決めたことになっておりますが、それに対する考え方について、教えて下さい。
A
仙谷長官につきましては、民主党の前田委員長も呼ばれて厳重注意をされたということであります。わが党のみならず、議会の運営上、政府の一員として、発言をするには、かなり慎重であらねばならないと思います。そこは、仙谷長官のキャラクターもあろうかと思いますが、厳重注意を受けて、陳謝をすると聞いております。政府の一員として、審議が円滑に進むようにということは内閣の一員として、当然心せねばならないことではないかと思っております。また、朝鮮高校の無償化についてですが、わが国の公の支配が及ばない学校について、これを無償化するということは、法的にも問題があるのではないかと思っております。やはり、ただ、日本国民の税金を使って、無償化するということであれば、日本国民として、果たすべき色々な責任があるはずでございます。そういうことを教えていないとするならば、そのような教育を日本国民の税金によって支えるということは国家のあり方として私は正しいとは思っておりません。
Q
尖閣問題に関して、領有権を明確にするための決議をするべきだという意見がありますが、どのように考えますか。
A
領有権は明確なわけです。ただ、実効支配、日米安全保障条約で言えば「施政下にある地域」というような条件を完全に満たしているかと言えば、なお満たしていないところがあるのではないかと私は個人的に考えておりまして、この実効支配、領有権を明確にするということではなくて、実効支配を更に明確化するべく様々な施策はあるのだろうと思っております。これは領土に関する特命委員会で鋭意検討中であります。更には、海上保安庁の体制というものがなお脆弱であります。保安官達が本当に献身的な努力をしているということとは別に、海上保安庁の体制がなお充分ではありません。それから、領域・領海というものに関する法律というものが、なお未整備であるという認識をもっております。これは、海上保安庁法と自衛隊法上の問題がございますが、この法的な整備というものを国際法に準拠するかたちで、更に整備する必要があると思っておりまして、法的な面、あるいはハードな実効支配というものを明確にするやり方や警備の態勢といったもので、実効支配というものを更に明確にするということが、必要なのだと思っております。党として、なるべく早くその考え方をまとめるべく作業中であります。