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国会

第201回国会における岡田広参院議員副会長代表質問

2020年1月23日

岡田広参院議員副会長

自由民主党の岡田 広です。
私は、自由民主党・国民の声を代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説について質問をいたします。
私は地方の夢を国政に届けるとの思いで、これまで国民、住民の皆様の声を伺って参りました。その中で常に、政治や行政において大切なことは「不」を取り除くことだ、と感じてきました。
世耕幹事長の肝いりで立ち上げた参議院自民党「不安に寄り添う政治のあり方勉強会」でも、国民一人一人が感じている漠然とした不安や懸念を拾い上げるべく様々な方々からお話を伺ってまいりました。そこでも、国民、住民の方々が、不安、不満、不便、不信といった様々な「不」を抱えていることが伝わってまいります。
今の生活や将来への不安を安心に変える。行政への不満を満足に変える。地域の不便を便利に変える。政治への不信を信頼に変えていく。特に、私たち、政治家は、国民から不信を持たれぬようにしっかりと襟を正さなければなりません。国民から信頼を得るに足る行政が行われているか、目を光らせていく必要もあります。
国民の皆様が不安を覚え、不満を感じ、不便に悩んでいることについて、つぶさに光を当てて、政策を前に進めるためにしっかりと審議をし、政治への信頼を高めていかなければならない、と申し上げ、質問に入ります。

令和最初の新年早々、米国とイランとの緊張激化につながるニュースが飛び込みました。
世界各地で対立と分断が深まる中、日本の平和と繁栄を確固たるものにしていくためには、安全保障の基盤を強化するとともに、平和外交をより一層、力強く推進していかなければなりません。新年早々、総理は、中東地域に大きな影響力を持つサウジアラビア、UAE、オマーンを訪問し、話し合いによる対話、自制的な対応を促しました。地球儀を俯瞰する外交として、これまでの総理では例を見ないほど、数多くの国を訪問し、グローバルな規模で相互理解や信頼関係を深めてきたことが大きな外交力となっています。
戦略的な対話なくして外交課題は解決しません。旧朝鮮半島出身労働者の訴訟問題等がある韓国とは昨年末ようやく実現した首脳会談で両国関係改善に向けた意志が互いに示されました。韓国側には国際法違反の解消に向けて動いてほしいと思います。
公船による領海侵入や国内での人権問題等がある中国とは、本年春、二〇〇八年以来となる国家主席の公式訪問があります。
北朝鮮の挑発的行為等が強まる中、弾道ミサイル・核開発の放棄と拉致問題の解決に向けて、各国との連携を強化する一方、総理自身もあらゆるチャンスを逃さないとの決意を示しています。
同時に、日本の平和と繁栄を確固たるものにするには、対話のみならず行動も必要です。過日、防衛省設置法の調査・研究による活動として、海上自衛隊の中東派遣の決定がありました。石油の八割以上を中東諸国からの輸入に頼り、日本に向かうタンカーがこの地域の海域を往来しています。そのわが国が、情報の収集、共有の強化を通じて、中東地域における平和と安定、船舶の安全の確保を図ることは国際社会の一員として当然であり、各国からも支持や理解が示されております。
対話と行動があいまってこそ、日本の平和を現実的に支えていくことができると考えます。
令和最初の新年を迎えても、国際情勢は厳しさを増し、予断を許しません。総理は、国際社会の平和の維持と回復に向けて、対話と行動を軸に据えながら、どのように平和外交を展開されるのか、お伺いいたします。

グローバル化した国際社会・経済の中で、日本だけがよくなることはありません。安全保障環境同様、世界経済の変調はわが国に影響を及ぼします。
世界経済の大きな懸念の一つは、二〇一八年から続く米中の貿易摩擦です。先日、米国と中国の貿易協議において第一段階の合意文書が署名されましたが、引き続き二国間の動向には注意が必要です。
そのような中、わが国は日EU・EPAやTPP11、日米貿易協定の発効など、グローバル経済の自由貿易圏形成の旗手、保護主義の防波堤役としての存在感を高めています。
東アジア地域包括的経済連携・RCEPについては、インドが関税撤廃に慎重姿勢を示したことで、昨年内の合意は見送られましたが、ゴールまであと一歩です。インドの参加は、自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも大きな意義があります。インドを加えた形でのRCEP締結を進めていくべきです。
また、EU離脱に向けて動いている英国、そしてタイもTPPへの参加に関心を示しており、わが国に橋渡しの期待を寄せています。
このような状況を見れば、保護主義への回帰など懸念はあるものの、世界の自由貿易経済圏拡大に向けた機運は広がっていると考えます。
総理は、わが国の成長の基盤となる自由で公正な共通ルールをどのように世界に広げていくお考えか、見解を伺います。

一方、経済連携協定等によりわが国の農林水産業の活力が失われてはなりません。農林水産業の元気なくして、地方の活性化はありません。農林水産業が衰えてしまえば国の存立そのものが危うくなります。
わが国の食料自給率は、平成三十年度、カロリーベースで三十七%と過去最低となり、生産額ベースでも六十六%と横ばいにあります。
気候変動関係の国際会議では、今後、干ばつなど気候変動の激化で穀物価格が大きく上がる恐れがあり、食料不足や飢餓のリスクが高まるとの強い警告を発しています。わが国は人口減少社会ですが、途上国を中心とした人口の増加と所得増大により、世界的には食料需要はますます高まります。
スイスにおいては、平成二十九年に国民投票が行われて、農業生産基盤の確保や市場志向型の農業の実現による食料安全保障が憲法に明記されました。先週、ベルリンで開催された世界農相会合においても、食料安全保障の確立に向けて、農業生産基盤の強化、小規模農家の支援などを盛り込んだ共同宣言が採択されました。
安倍政権による改革等により、若手新規就農者数や農林水産物・食品の輸出額、生産農業所得は増加しており、成果は着実に現れ始めています。しかし、肝心の食料自給率がこのような状況では、心もとないところです。
林業新時代を加速させる森林環境税等の創設、資源管理と成長産業化に向けた七十年ぶりの漁業法改正等に続き、新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定のための審議が重ねられています。新計画では、是非とも、食料安全保障が基本に据えられるべきです。
総理は、わが国の食の安全や環境資源を守り、食料自給率の向上を図っていくために、足腰の強い農業、林業、水産業をどのようにつくっていくお考えか、ご所見を伺います。

安倍政権最大の成果の一つは間違いなく雇用の回復です。統計を取り始めて初めて、四十七都道府県すべてで有効求人倍率が一を超えています。数字の上では、親元で職を得ようと思えばそれができる、職を得るために東京へ出る必要がない、という状況です。
しかし、地方から東京圏への大幅な転出超過による人口集中は続いており、その半分以上が十五歳から二十九歳までの若い世代となっています。大学進学ないし大学卒業後就職時の転入が大きなきっかけと考えられます。かつては、東京圏の大学に進学しても、就職時には地元に帰る動きがありましたが、近年ではUターンは減少している上に、地方大学の卒業生が東京圏へ移動する傾向が強まっています。
片や、平成三十年度に東京在住者に対して行われた意向調査をみると、約四割が「移住する予定」又は「今後検討したい」と答えており、特に十代や二十代の若い世代で高い割合となっています。現実と希望の間に生じている差を埋める必要があります。
地方が元気でなければ日本は元気になりません。
どのように仕事も学びの場もコミュニティも揃った持続可能な地方経済活性化を進めていくのか、総理のお考えをお聞かせください。

昨年十一月、十二月と、大学入学共通テストにおける英語民間試験の活用及び記述式問題の導入について方針が転換されました。試験に向けて努力を積み重ねてきた高校生や保護者の皆様には申し訳なく思います。
「読む・聞く・話す・書く」の四技能のバランスが取れた英語能力や日本語による「思考力・判断力・表現力」を身に着けさせたいという目的は分かりますが、受験生の不安を払しょくし、安心して入試に臨めるようにすることが何よりも大切なことです。
大学入試改革に当たっては、受験生を第一に考えた上で、公平性を確保し、万全の体制と十分な準備時間を整えてから進めるべきと考えますが、総理のご見解を伺います。

五十六年ぶりとなる二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック。
開会の日が近づくにつれて、わくわくしてきます。日本に、そして世界に、多くの勇気と感動を与えてくれることは間違いありません。
片や、オリンピック・パラリンピックなどの大イベントはテロリズムとの戦いでもあります。東京大会の成功はテロ対策の成否が前提です。国を挙げてテロを防ぎ抜かなければなりません。
しかし、昨年末、一抹の不安を覚える事件がありました。会社法違反などで起訴され、保釈中であった日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告がプライベートジェットで違法に出国し、レバノンへ逃亡しました。政府は、被告の身柄をわが国に引き渡すよう全力で対処しなければなりません。
そして、今回の違法出国では、テロ対策、とくに水際対策は大丈夫なのかという不安も覚えます。
今回のような事態を招いたのはどのような要因があるのかを徹底的に分析し、水も漏らさぬ、さらには、さすがは日本と評価されるようなスムーズな出入国管理や税関検査等を実現しなければならないと考えます。総理のご見解を伺います。

前回の一九六四年東京大会では、東海道新幹線や高速道路などわが国の経済産業活動の基盤となったインフラが次々と整備され、その後の高度経済成長を支えることとなりました。しかし、大会終了直後は、反動により景気後退が見られ、当時、倒産企業数は大会前後で三倍に急増しています。
当時と比べるとわが国全体の経済規模と大会のための予算総額の割合はまったく異なることから、当時と同様の経済状態になるとは考えられませんが、米中貿易摩擦など世界経済を覆う不透明感もあります。二〇二〇年大会の後の経済が腰折れとならぬよう先手、先手で万全の策を講ずるべきです。
このような観点から、参議院自民党では大会終了後の景気減速への不安、世界経済への懸念等に十分対処すべきと政府に申し上げてきました。今国会に提出された令和元年度補正予算案と令和二年度予算案が、東京大会終了後の不安を払しょくするための先んじた経済対策ともなっているのかを、総理から、国民の皆様にご説明をお願いいたします。

二〇一九年の日本人の国内出生数は、一八九九年の統計開始以来、初めて九十万人を割り込む見込みです。国難ともいえる少子化の加速への対応は待ったなしです。昨年十月からは幼児教育・保育の無償化などが始まり、子育て世帯の家計負担の軽減が図られました。統計によれば、理想の子どもの数を持たない理由として、最も多く挙げられているのが、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」ということです。三十五歳未満に限ってみれば八割が理由に挙げています。無償化は助かるという子育て世代の声も数多く伺います。
一方、待機児童の解消には保育士の確保が不可欠ですが、地域レベルでみるとそう簡単ではありません。抜本的には、保育士の処遇を更に改善しなければなりません。子ども・子育て支援のために、消費税財源以外の追加で必要となる〇・三兆円超の財源を確保して処遇の向上など「質の向上」に充てることとなっていますが、子育て中の方々の声や要望に耳を傾けながら、少子化対策、子育て支援対策として、さらには、成長戦略の一環として、更なる幼児教育・保育の無償化と充実を図るべきと考えます。総理のご見解を伺います。

平均寿命は平成三十年には男性八十一歳、女性八十七歳となり、昭和三十五年との比較で、男性で十六歳、女性で十七歳ほど伸びています。また、今の七十歳はかつての六十歳と歩く速度が同程度で、体力や運動能力の上で若返っているといわれています。ライフスタイルも多様です。世論調査では七十歳を超えても働きたいという意向が多くなっています。
日本では六十五歳以上を高齢者とするWHOの定義が今でも使われていますが、寿命も体力も意欲も変わった今、年齢だけで年金や医療、介護などの社会保障制度を考えることはできません。
昨年、公表された年金の財政検証は、少子高齢化・人口減少が進む中、厳しい結果を予想した方が多かったと思われます。しかし、実際には、アベノミクスによって支え手が約五百万人増えた結果、将来の年金給付に係る所得代替率は改善しました。このことは、国民年金や厚生年金のあり方なども含めて、今後の年金制度を考えるに当たり、経済成長の確保と働き方の多様化なども一体とした発想が必要であることを示しています。
全ての世代が安心できる「全世代型社会保障制度」を目指し、生涯現役、多様な選択など経済社会の変化を踏まえた政策を一体的に推進することにより、令和の時代の年金制度を考えていくべきと思います。総理のご所見を伺います。

同時に、誰もが安心して医療や介護を受けられる制度を将来にわたって維持していくためには、社会や人口構成などの変化に合わせて、所得に応じた負担を高齢者の方々にもお願いしながら、現役世代への過重な負担を抑えていかなければなりません。一括りに年齢で高齢者、支えられる側としてしまうのは実態に合っていないのではないでしょうか。
さらには、日頃から健康づくり・体力づくりに取り組んでいるところやコミュニティでの相互支援に熱心なところは、健康も維持され、かつ医療や介護にかかる経費が抑えられるともいわれており、予防的な発想も大切です。
医師の偏在や介護現場の人手不足という状況もある中、医療や介護分野のサービスの提供と負担のあり方をどのように考えていくのか、総理のご所見を伺います。

第二次安倍政権がスタートしてから八年目。この間、政権は、「経済再生なくして財政健全化なし」との思いで、アベノミクスを強力に推し進めてきました。
その結果、GDPは名目、実質ともに過去最大規模となり、内需を中心に景気も緩やかな回復基調を続けています。六年連続で今世紀最高水準の賃上げ、さらには景況感の地域間のばらつきも小さくなっています。税収は過去最高の水準が続き、安倍内閣発足以来、国債発行額は八年連続で減額され、公債依存度も改善傾向にあります。経済再生を最優先に考えた政策こそが財政再建に向けて進むべき道であったことは明らかです。
他方、社会保障給付費は、高齢化に伴って急激な増加が見込まれます。団塊の世代全員が七十五歳以上となる二〇二五年、二十歳から六十四歳の現役世代が大幅に減少する二〇四〇年に向けて、特に医療・介護分野の給付はGDPの伸びを大きく上回って増加していきます。
このような状況が予想される中、今後、どのようにして経済再生と財政再建を両立していくお考えか、総理のご所見をお伺いします。

昨年も自然災害により、全国各地で大きな被害が発生しました。改めて、度重なる自然災害によって、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げ、被災された方々にお見舞い申し上げます。
わが国は台風ルートや大陸地殻の境界付近に位置しており、常に台風や南海トラフ地震などの大地震に見舞われる環境にあります。これまで蓄積してきた経験やデータでは対応できない強さやパターンでわが国を襲う自然災害にも耐えうるようにしなければ、尊い命や日々の生活を守ることはできません。
災害復旧も考え方を変えるべきです。堤防の決壊や道路路肩の崩壊などの場合、原形復旧だけでは同じ程度の災害を防止できないおそれがある時には、改良復旧として今まで以上に災害に強い施設をつくることができます。しかし、昨年、台風により茨城県や他の県にもビニールハウス等の損壊などが多発しましたが、このような農業用施設は原状復旧が原則です。これでは、同レベルの自然災害が起これば、また被害を受けてしまいます。
これまでにないレベルやパターンの台風や地震等が続く時代となった今、さらに強い自然災害でも耐えるインフラや施設、まちづくりなど、これまでとは違う考え方で国土強靱化や災害復旧・復興を進めるべきと考えますが、総理のご所見を伺います。

地球温暖化をくい止めるためのエネルギー政策に関して伺います。
昨年十二月、マドリードでの気候変動に関する会議、COP25の開幕が迫る中、国連事務総長は「気候変動」ではなく、もはや「気候危機」に直面していると訴えました。昨年は、台風十五号や十九号などの一連の自然災害のほか、COP25では、十六歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんの発言や環境団体による日本への化石賞など、温暖化対策の実行に加えて、対外発信力の大切さも注目された年でもあります。平和外交を訴え、さらに温暖化防止に貢献できる科学技術力を持つわが国だからこそ、より一層CO2対策に取り組み、世界に存在感を示さなければなりません。
その前提として、パリ協定の目的達成のために掲げた「二〇三〇年度の温室効果ガスの排出を、二〇一三年度の水準から二十六%削減する」という中期目標をクリアしなければなりません。併せて、電力等の安定的な供給も重要です。一昨年の北海道胆振東部地震によるブラックアウト、昨年の台風十五号や十九号による千葉県での大規模停電、電力の途絶は生活や産業に大きな影響を与えました。
そこで、原発の安全性の確保を大前提にしつつ、経済や生活への影響も考慮しながら、超々臨界圧発電や再生可能エネルギーの活用などエネルギーのベストミックスを実行していくことで、地球温暖化対策を進めていかなければならないと考えますが、梶山経済産業大臣のご所見を伺います。

日本、最初の成文法である聖徳太子の十七条の憲法、第一条は「和をもって貴しとなす」です。
日本の文化、風土の中で、令和の「和」、平和の「和」、である「和」がいかに大切に考えられてきたかということだろうと思います。
憲法についても、それぞれが思うところを持ち寄って、令和の時代にふさわしい、さすがは参議院といわれるような議論をすべきだと考えます。
すでに、戦後七十年以上となり、社会も経済も国際情勢も大きく変わっています。今の憲法が制定された時代には、携帯やスマホもなく、セクシュアル・ハラスメントという言葉も社会的には認知されていませんでした。東京圏への人口の集中はなく、環境問題も意識されていませんでした。
世界各国、時代が変われば、それに応じた憲法に改正しています。第二次世界大戦後、ドイツは六十三回、フランス二十七回、イタリア十五回、中国十回、韓国九回、米国六回などです。日本はゼロ回です。一度も改正されてないから改正するというわけではありません。本当に今の時代に合っている憲法なのかどうかも議論しないというのは、正しい国会のあり方でしょうか。
今の時代に鑑みて、どこを改正すればいいのか、削除する項目はないのか、新しく加える項目はないのか、いろいろな考えがあるはずです。それをそれぞれが持ち寄り、憲法審査会で議論し、憲法改正の判断を下す国民の皆様の前に議論の過程を明らかにしていくことが重要です。
昨今の世論調査を見ても、国民の憲法改正の議論への関心は高く、今すぐに、議論を前に進めるべき時であると考えます。
安倍総理に、憲法改正の議論について参議院に期待するところをお伺いして、私の質問を終わります。

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