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政策

党女性局長 高階恵美子参議院議員 代表質問

平成28年1月28日

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 自由民主党の高階恵美子でございます。私は自由民主党を代表して、ただいま議題となりました安倍内閣総理大臣の施政方針演説をはじめとする政府四演説について、総理にご質問いたします。

 女性活躍推進が、内閣の最重要課題の一つに掲げられています。そうした中において、私はとくに「女性の健康」という観点が重要、と考えています。
 WHOがオタワ憲章でヘルスプロモーションを提唱し始めてから、今年で30年となります。ひとり一人が自らの健康に関心を持ち適切に対処できるよう、これまで世界中で、様々な取り組みが進められてきました。
 我が国においては、先の国会で女性活躍推進法が成立し、年末に閣議決定された第4次男女共同参画計画では「生涯を通じた女性の健康支援」が盛り込まれました。日本の女性の健康科学は、まさしく新たな段階を迎えています。
 女性の健康は、女性の自己実現と社会経済活動への参加を促進する大切な財産であるとの基本認識に立ち、これからは、人生の各段階で心身社会的に大きく変化する女性の健康特性に着目した対策を、あらゆる分野が協調し、包括的に支援する制度体系を整えることが重要です。
 自由民主党では2013年秋、政務調査会で「女性の健康の包括的支援に関するPT」を立ち上げ、超党派での議員立法提出の準備を進めてまいりました。最初の提出からすでに三度目の通常国会となっていますので、今度こそぜひ成立させたいと思います。関係者一同、鋭意努力してまいりますので、安倍総理をはじめ、皆様方の力強いご支援を、改めてお願いいたします。
 一億総活躍社会を実現するカギとなる「女性活躍」。その前提をなす女性の健康支援策についてのお考えと、取り組み姿勢をお答え下さい。

 今月からマイナンバーの利用が始まり、今般の税制改正大綱ではセルフメディケーションに対する所得控除導入が盛りこまれました。国民の主体的かつ継続的な健康への取り組みを促す制度の整備により、個人及び地域社会においても、健康活動が活性化していくことを期待しています。
 また持続可能な社会保障制度への改革を、一層効果的に進めていく上では、国民が家庭や学校・職場など、身近な場所で健康・安全情報に触れ、自らの健康づくりについて、学ぶ機会を増やすことが大切です。
 去る22日に、第5期科学技術基本計画が閣議決定されました。今後、健康・安全に係る情報提供の社会インフラを整備・推進していくためには、科学技術の振興が、極めて重要と考えます。
 具体的には、ICTを活用した健康情報管理技術の一層の開発支援や情報提供体制整備、技術者・研究者の育成・確保などに着目しておりますが、総理のご所見を伺います。

 生産年齢人口が減少していく中で、引き続き経済成長を続けるには、長時間勤務などの労働慣行を改めるとともに、働き手の特性やライフスタイルに適した柔軟な働き方を取り入れ、労働生産性の向上を図ることが必要です。
 OECDでは日本の女性就業について、「医療福祉分野以外は不充分で、とくに政治・経済・学術研究・行政分野での就業が少ない」とし、「女性の高学歴化が進んでいるにもかかわらず、就業は低くとどまっている」と指摘しています。
 もとより、医療福祉分野で働く看護・介護・保育などの職種は、国家資格に基づいて、社会保障を実現する役割を持ち、支援を必要とする人々の尊い命を守る貴重な存在です。これらの分野については、これからの需要増大に対応するため、従来の人材確保策に加えて、その労働特性に適した、より効果的な定着促進策を講じなければなりません。
 同時に、医療福祉以外のあらゆる分野についての検討も進め、労働生産性を上げ人材不足を克服することが、次代に対応する道と考えます。
 そのためには、各産業分野において、付加価値を高める工夫が重要です。例えば、ものづくり分野では日本ブランドを強力に発信する、サービス流通分野では、日本の礼儀作法や美しい伝統文化を世界標準の枠組みに押し上げるなど、国家として戦略的に、世界観を持って取り組むことで、新たなクールジャパンが形づくられると思います。
 生産年齢人口の減少を克服する労働生産性向上への取り組み方針を、お答え下さい。

 世界に目を転じますと、昨年11月のパリ同時多発テロ以降、エジプト、トルコ、インドネシアなど観光やビジネス面でも日本人に馴染みの深い地域でテロが相次ぎました。
 ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、これから日本には、観光やビジネスの他にも試合の準備や練習など様々な目的で、たくさんの外国人が滞在するようになると見込まれます。
 このこと事態は歓迎すべきことであります。しかし一方で、言語や習慣の違いによるトラブルや騒音・ゴミ処理、病気や事故などの緊急対応についても、十分な備えが必要となります。
 また、有益ではない目的を持って入国する人が紛れる可能性も、否定はできません。とりわけ5月には、伊勢志摩サミット開催地に、世界の要人が集まります。治安大国の日本ですから、この会議を狙ったテロを起こさせてはなりません。
 >政府は先月、内閣官房に「国際テロ情報集約室」を、外務省に「国際テロ情報収集ユニット」を設置しました。こうした組織も活用し、政府が一体となって、あらゆる事態を想定し、総力を挙げてテロ対策にあたっていただきたいと思います。
 総理のご決意をお聞かせ下さい。

 国際化のメリットについても触れたいと思います。なかでも私が強調したいのは、観光振興による地域活性化です。
 比例代表議員という立場上、私は一年を通して全国を回る機会に恵まれています。昨年はとくに、北陸新幹線開通以降の金沢のまちの賑わいが印象に残りました。実際に、石川県を訪れた観光客は、前年より15%増の約2,500万人。兼六園の入場者数は、1.5倍に増えたとのことです。
 交通網の整備が人々の動きを変え、観光振興に直結することを実感しています。他方、国内の均衡ある発展という視点に立つと、とくに東北地方が、こうした流れから取り残されている感を否めません。東北を訪れる外国人観光客の数は、震災から5年となる今日でも、震災前の水準すら回復していない状況です。この3月には函館まで新幹線が通りますので、タイミングを捉えて、北海道・東北地方の観光が大いに活性化されるよう、支援したいと考えています。
 北国の厳しい気候条件に育まれた季節毎の彩りの変化や独特の食文化を体験できます。縦軸を高速で移動するのみならず、時間をかけて周遊いただけるよう、内陸部から海への横軸をつなぐ、通年通行の道路網を併せて拡幅・整備し、復興と観光振興の両面を、一気に加速させる取り組みを進めてはどうかと考えます。
 また東北以外にも、外国人観光客誘致の光の当たらない地域が散見されています。地域の魅力を発掘し、ハードとソフトを融合させ、それらをアピールすることで、均衡のとれた観光戦略を、国家規模で進めることが重要です。政府は昨年6月、観光立国推進基本法に基づく基本計画に加え「観光立国実現に向けたアクションプログラム2015」を策定しました。
 これからの全体的な観光振興の方針と、東北地方への一層の観光振興支援に対する考えを伺います。

 さらに観光戦略を推進するにあたっては、2020オリンピック・パラリンピック東京大会の開催までと、それ以降の期間を段階的に区分したうえで、所定の地域単位で、観光振興計画を策定することが肝要と考えます。
 東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う相乗的な観光高揚の時期と、その後の観光の安定的な発展について、国と地方が協働して年次計画を立て、ともに行動していく体制づくりに向けた展望を、お聞きします。

 豊富な食材をいかした郷土料理や日本食の良さを強調する一方で、食本来の目的にも着目したいと思います。
 先日来、廃棄食品の不正転売問題が取り沙汰されていますが、こうした、食の信頼を脅かす悪質な事件が続いていることは、誠に遺憾です。政府におかれては、国民を再び不安に陥れることのないよう、これまでの廃棄物処理対策を総点検し、必要な見直しを行うとともに、さらなる再発防止の徹底につとめていただくよう求めます。
 食べることは日々の活力源を得ることであり、食卓を囲むことで食文化や食習慣を身につけ、人とのコミュニケーションも学びます。食材から命をいただくという点では、その恵みに感謝する心を育む側面もあります。こうした食育を一層充実させるとともに、食の安全について、正しい知識を普及し適切に対処する社会環境を醸成することが重要と考えます。
 さらに食に関する教育においては、スポーツやリラクゼーションとの関わりを学ばせることが必要です。食習慣にあわせて、幼少期から身体を動かす習慣を身につけ、心身の健康の維持向上に関わる一連の健康行動を習得することが、一層の体力の向上につながります。こうした点から、学校教育における食の安全と栄養教育を充実し、さらにはトップアスリート等による特別授業を導入するなど、個々の能力を伸ばせる機会を増やしてはどうかと考えます。
 健康と食に関する総合的な教育の実施について、総理の見解を伺います。

 最後に、65歳からの人生を充実する政策の推進について、伺います。平均寿命が男女ともに80歳を超え、女性の高齢期は20年以上に達しています。
 延伸した期間を、ひとり一人の高齢者が、その経験や人脈を活かしてハッピーに暮らすために、政府はいかなる支援策を講じていくのか、これは今や若い世代にも共通する国民の大きな関心事です。
 私は、その重要なキーワードのひとつとして「世代間交流」を促すべきと考えています。
 子育て世代や悩みを抱える若者と高齢者との関わりだけでなく、同世代での相互支援についても、考える余地があると思います。こうした観点を盛り込んだ新たな政策として、昨年9月に、政務官レベルで「ハッピープラチナモデルの実現」に向けた国民運動の展開を、お示しさせていただきました。
 総理は、一億総活躍社会の実現に向け、こうした世代間交流の促進や、65歳からの活躍支援について、どのような姿勢で臨んでいくのか、お答え下さい。

 以上、ヘルスプロモーションを軸に、社会の生きる力を創り出す政策について、おたずねさせていただきました。
 日本の伝統文化を守り、直面する人口構成の劇的な変化に対応して、国民ひとり一人が笑顔で暮らすことのできる成熟社会を実現していくために、いま何が必要か、なにをすべきか。私たちひとり一人が、その責任において冷静に考え、行動していくことが重要です。
 総理のますますのリーダシップをご期待し、その政策を推進するにあたっては、私も微力ながら、精一杯の努力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。