自民党政策集 J-ファイル2010(マニフェスト)

外交を立て直し、世界の平和を築きます
国民の生命・財産を守ることは、国の第一の責務です。
国を守る体制を固め、世界の平和を築きます。
日米の信頼関係を早急に回復し、わが国外交の基軸である日米同盟体制を堅持・深化することにより、アジア太平洋地域の平和を守ります。

187 強固な日米同盟の再構築

 日米同盟はわが国の外交の基軸であるのみならず、アジア太平洋地域の平和と安定の礎です。民主党政権による外交の迷走により、日米の信頼関係が大きく損なわれています。これ以上の同盟弱体化を防ぎ、わが国防衛力の実効性を更に高める努力を不断に行い、抑止力の維持を図るとともに、沖縄をはじめとする地元の負担軽減を実現する在日米軍再編を着実に進めます。その上で、安全保障、政治、経済はもちろん、防災、医療・保健、教育、環境問題等、地球規模の諸課題などの幅広い分野において、協調と協力を進め、日米同盟の一層の深化を図ります。

188 自由で豊かで安定したアジアの実現

 豊かで安定したアジアの実現に向けて、近隣諸国との友好協力関係の増進に努めます。中国・韓国・ロシア・ASEAN諸国とは、それぞれ二国間にとどまらず、アジアと世界の平和、安定、発展にともに貢献する幅広い協力関係を築いていきます。
 アジアの経済力を中長期的視点から強化し、その潜在力を引き出すため、広域開発の推進(ヒト、モノ、カネの流れをスムーズにする)やアジアの内需拡大に向けた施策・貢献策を、着実に実施していきます。

189 拉致問題の解決

 拉致は国家による重大犯罪です。拉致被害者全員の帰国、真相究明、実行犯引渡しを基本方針とし、そのために「人」の往来の全面禁止や送金の全面停止などの制裁強化、国際連携、政府認定以外の特定失踪者の調査などを徹底します。「拉致問題解決に向け、具体的進展なき限り、北朝鮮への一切の経済支援は行わない」を前提とし、拉致問題の全面的な調査のやり直しを北朝鮮に強く要求するとともに、国家の威信をかけて拉致被害者全員の帰国を実現します。

190 北朝鮮の核開発の阻止

 拉致・核・ミサイル問題の包括的解決が基本です。北朝鮮による核実験、ミサイル発射はわが国の安全保障に対する重大な脅威であり、対北朝鮮措置の継続とともに、国連安保理決議に基づく行動を関係諸国と一致して取り組みます。

191 領土問題の解決に努力

 わが国固有の領土であるにもかかわらず現在、不法に占拠されたままである北方領土と竹島の問題の平和的解決に向けて、今後とも、精力的かつ強い意志をもって、粘り強い交渉を行います。また尖閣諸島には、領土問題は存在しませんが、東シナ海問題が存在するため、今後とも毅然とした姿勢で対処し、東シナ海を「真の友好の海」とすることに努めます。その前提として、国民運動を進め、領土問題に対する意識の普及・啓発に努めます。

192 海洋資源の開発、海洋権益の確保

 わが党が策定した「海洋基本法」に基づき、エネルギー資源等の海洋資源の開発・利用促進及び排他的経済水域の開発や大陸棚の延長など、わが国の海洋権益を確保します。また、環境保全と調和を図りつつ、積極的な開発・利用を進め、真の海洋立国を目指して海洋産業を振興させます。

193 海賊対策の強化

 わが国にとって、航行の安全や海上の安全確保は国家の存立と繁栄に直結します。日本国民の生命及び財産の保護の観点から、海賊対策はまさに火急の課題です。これまでも、沿岸国の海上取締り能力の強化と人材育成への協力を通じ、海賊対策に取り組んできましたが、引き続き、国際社会と連携しつつ、ソマリア沖・アデン湾での海賊対策に積極的に取り組んでいきます。

194 テロとの闘いの継続

 インド洋における補給支援活動は、アフガン復興支援とともに、国際社会が一致して取り組む「テロとの闘い」の車の両輪です。わが国が実施した補給支援活動は、インド洋における国際的な海上阻止活動の重要な基盤であり、各国からも高い評価を受けてきました。また、この活動は国際協力というだけではなく、日本と中東を結ぶ重要なシーレーンの安全確保にも資するという、わが国の国益そのものにつながる活動でもありました。わが党は、「小切手外交」に反対します。国際社会の一員として、インド洋上での補給支援活動を早急に再開すべく、「補給支援特措法」の成立を目指します。

インド洋における補給支援活動 アメリカ同時多発テロ事件と報復のアフガニスタン攻撃を受けて、2001年(平成13年)から2010年(平成22年)1月15日まで行われていた、海上自衛隊の補給艦と護衛艦の派遣活動。

195 核軍縮の推進

 国際的な軍縮・不拡散体制の強化に向けて主導的に取り組みます。特に核軍縮分野での現実的かつ具体的な取組みを進めます。また、安全保障に懸念を生じさせないため、わが国の「核抑止政策」について、根本的な議論を開始し、基本方針を確立します。

196 国際社会での貢献と国連安保理の改革

 国連の安全保障理事会の常任理事国の構成を今日の国際社会をより正確に反映し、国際社会の平和と安全の維持に主要な役割を果たす意思と能力のある国が常に「安保理」の意思決定に参加することは、「安保理」の代表性と実効性を向上させます。わが国の常任理事国入りを含む「安保理」改革の早期実現に向けて引き続き取り組みます。

197 ODAの充実と、開発途上国の支援

 政府開発援助(ODA)は、外交施策を実現していく上での不可欠かつ主要な手段です。ODAの戦略的な実施に努めつつ、ミレニアム開発目標の達成に向けて先進国たるわが国に課せられた責任も踏まえて、「質」と「量」の双方でODAの拡充を目指します。
 また、民間経済界やNGOとの連携強化に引き続き取り組みます。JICAの投融資機能の再開や円借款の迅速化を図ります。また、わが国企業の海外進出の後押しも行います。海外進出する日本企業の支援を在外公館の本来業務として位置づけ、人脈形成・情報提供など、最大限の支援を行います。

ODA 政府開発援助(ODA)とは、国際貢献のために先進工業国の政府及び政府機関が発展途上国に対して行う援助や出資。

198 対外発信の強化

 ODA卒業国との円滑な関係が維持される仕組みを構築します。イスラム圏やアフリカ等との相互交流を深め、わが国の独自の役割を果たします。
 わが国の優れた法制度や保健医療システムなどの対外発信を高めるとともに、戦略的な日本語普及、知的交流、科学技術外交を推進し、日本のソフトパワーを強化します。併せて、外交政策の対外発信及び国民に対する情報発信を抜本的に強化し、シンクタンク等との人的ネットワークの強化を行うなど、知的交流を強力に推進します。

199 地球規模の課題への取組み強化

 気候変動・地球温暖化や新型インフルエンザ対策・保健システム強化をはじめとする保健分野、水・衛生、国民の生活にも直結する資源・食料問題といった、地球規模の諸課題への取り組みを強化します。

200 資源外交の強化

 ODAを含む外交ツールを活用し、主要な資源供給国との関係強化に努め、供給源の多様化を図るなどの「資源外交」に力を入れます。特にアフリカについては、対アフリカODAの倍増、民間投資の倍増支援という国際的な約束を着実に実行に移しつつ、この地域の経済成長、人間の安全保障の確立、環境問題といった課題にリーダーシップを発揮します。

201 自由貿易への積極的取組み

 現下の経済・金融危機の克服は、わが国を含む国際社会の喫緊の課題です。実体経済の悪化を食い止め、保護主義に断固として反対し、世界経済の安定・回復を確保することが必要です。
 わが国は、経済・金融危機に対しては、国内経済対策を積極的に講じるとともに、国際金融機関の資金基盤強化やODAによるアジア支援策等で国際的なリーダーシップを発揮していきます。また、保護主義回避を各国に呼びかけるとともに、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結、経済連携協定や投資協定等の交渉とその活用に引き続き取り組んでいきます。農業交渉等については、各国の持つ多様な農業の共存や林・水産資源の持続的利用が可能となるルールの確立を目指します。

保護主義 輸入の制限や関税などによって自国の産業を保護しようとすること。また、その考えや立場。

202 外交の体制強化

 刻々と変化する国際社会において、わが国の国益を踏まえつつ、平和と繁栄を確保するためには、総合的な外交力を一層強化することが必要です。そのため、わが党で取りまとめた「総合的な外交力強化へのアクション・プラン10」(外交の礎となる人材の育成、150大使館体制の実現等)、「5つの重点分野への具体的な取組み」(中型の政府専用機導入の検討、在外公館の施設整備と現地職員の確保等)を実施します。また、引き続き邦人保護の強化を図ります。

203 議員外交の積極展開

 議員外交を積極展開し、わが国の国際関係に幅と厚みを持たせます。

204 変化する安全保障環境に適応する人員・予算の強化

 北朝鮮の核実験・ミサイル発射、中国の軍事力増強、ロシアの軍事的復調など、わが国を取り巻く安全保障環境は大きく変化しています。このような中、07大綱策定以降縮減されている防衛力を、今後の新しい安全保障環境に適応させるため、「質」「量」ともに必要な水準を早急に見直し、適切な人員と予算の強化を図るべく、新たな防衛計画の大綱、次期中期防策定に対し、提言していきます。特に総人件費改革等により、充足率が約90%前後に抑制され、部隊での「実員」不足が常態化していることを踏まえて、行政改革推進法の自衛官への適用を見直すとともに、自衛官の処遇等を改善し、併せて自衛官が敬意と感謝の念を持たれるよう努めます。

205 技術立国日本の未来のための防衛技術、生産基盤の維持・強化

 国の防衛政策上の観点から国内の防衛産業の技術、生産基盤を維持・強化するため、自主的な技術研究・開発の推進と日米共同開発・生産の例外化や防衛省が開発した装備品等の民間・他省庁への転用等の抜本的改革を進めます。
 また武器輸出3原則については、テロ支援国、国連決議対象国、国際紛争当事国、輸出貿易管理の不十分な国を輸出禁止対象国として、それ以外の国・地域を対象とする武器輸出については、許可に係る判断基準「武器及び武器関連技術に関する輸出管理の指針」を定め、厳正に武器等の輸出を管理した上で、個別に輸出の可否を決定する仕組みを構築します。

206 基地周辺住民への負担軽減の推進

 基地周辺住民の方々に様々な負担をかけていることを踏まえつつ、沖縄における米軍基地の整理・統合・縮小をはじめ、基地周辺住民の方々の負担軽減や生活環境の整備などの諸施策を推進します。特に、新たな負担を被る関係自治体には特別な配慮・施策を講じます。

207 安全保障基本法の制定

 集団的自衛権に正面から取り組み、平和主義、法治主義、文民統制に基づく「安全保障基本法」を制定します。それにより、自衛隊の意義付け、武器使用に関する法的基盤や防衛政策の基本の見直し等を安全保障の基盤として的確に意義付けます。

208 情報に強い官邸

 外交と安全保障に関する官邸の司令塔機能を強化するため、「国家安全保障会議」を内閣に設置します。国家の情報収集・分析能力の強化及び情報保全態勢の強化を図り、的確な情報を活用して国民の安全を守ります。

209 新たな脅威からの日本防衛

 必要な水準の防衛力を基盤として、即応性や実効性の高い弾道ミサイル防衛システムの配備を進め、大規模なテロ・ゲリラへの対策、NBC(核、生物・化学)兵器、新型インフルエンザ対策、サイバー攻撃対策等を強化します。

サイバー攻撃 サイバー攻撃とは、ネットワークを対象に行われるテロリズム。

210 国際平和協力法の制定

 世界の平和構築に資する自衛隊の国際平和協力活動の推進のため、補給支援特措法やイラク人道復興支援特措法といった特措法ではなく、自衛隊の海外派遣が迅速に対応可能となるような「国際平和協力法」の制定を目指します。また、災害時などの国際緊急援助隊の活動の経験と教訓を踏まえ、より柔軟で実効性のある派遣が可能となるように、関係法を整理します。国連のPKO、ソマリア沖・アデン湾での海賊対策等、自衛隊の海外派遣は、今後とも国益と国際協調を考えて実施します。

211 在外邦人の避難措置に関する自衛隊法の改正

 外国における緊急事態に際して、在外邦人等の避難や輸送を行えるように、「自衛隊法」を改正します。

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