自民党政策集 J-ファイル2010(マニフェスト)

緑の地球と豊かな自然を守ります
美しい地球を次世代の子どもたちに残すことは、いまを生きる私達の責任です。
気候変動枠組条約の国際交渉のこう着状態を打開するため、新しい枠組みづくりに向け、わが国が主導力を発揮します。

158 温室効果ガス削減のための全く新しい国際的枠組みを提唱

 気候変動枠組条約についての国際交渉のこう着状態を打開するため、日本発で新たな温暖化ガス削減の世界的な枠組みづくりを提唱します。
 アフリカの奥地にまで最先端の温暖化ガス削減技術を普及させるため、自然体で導入される技術が導入された場合のコストと、最先端の技術を導入したコストの差額を、新たに世界レベルで設置される基金(地球救済基金(仮称))から補填します。
 基金の財源は、各国間の競争条件に大きな変化を与えない共通炭素税や国際連帯税といった、新たなグローバルな負担システムを構築することで賄います。これにより、途上国等には、最先端技術を導入する強いインセンティブが働くと同時に、技術を出す先進国側にも負担がありません。

159 温暖化ガス排出量を20年までに05年比で15%削減

 「低炭素社会づくり推進基本法」を制定し、全ての主要排出国の参加による衡平で実効的なポスト京都の国際枠組み作りを主導し、主要経済国の参加の下に2050年までの長期目標として温暖化ガス排出量の80%削減、2020年までの中期目標として2005年比15%削減(国内排出量削減分)を
掲げて、世界に誇れるような低炭素社会の実現を目指します。
 なお、過度な規制等が企業の国外追い出しにつながり、大幅な雇用機会が失われることのないよう、新規産業や雇用創出、産業の国際競争力の強化、更にはエネルギー安全保障の確保の観点を踏まえ、新しい文明社会である低炭素社会づくりにまい進します。

ポスト京都 京都議定書の削減対象期間である2008年〜2012年以降の、世界の温室効果ガス削減の枠組みとして議論されている、気候変動枠組条約の「新たなる目標」の通称。

160 再生可能エネルギーを20%まで引き上げ

 2020年を目途に最終エネルギー消費量の20%を再生可能エネルギーとすることを目指します。
 このため、(1)太陽光発電量世界一の座の奪還を目指し、再生可能エネルギーの固定価格買取制度導入や全公共施設への太陽光パネル設置等により太陽光発電を現状の20倍規模に拡大、(2)地熱発電所建設促進のために、自然環境・景観に十分に配慮しつつ国立公園内等に地熱発電所を設置可能とする等の規制緩和、(3)電力系統の高度化の促進、(4)電気事業者による再生可能エネルギーの利用促進等に取り組みます。
 更に廃棄物等を有効活用するようなバイオマスエネルギーの拡大、様々なタイプの風力発電や小水力発電の開発・普及などを図ります。

161 原子力政策の推進

 地球温暖化問題の解決には、地球温暖化ガスを発生させない原子力発電所の活用は不可欠であり、その政策を強力に推進し、わが国のエネルギーセキュリティ(安全保障)、需要及び環境問題に応えるため、その増設も含め、体制を整備します。
 一方、今後のエネルギー需給とわが国原子力技術の国際展開を強力に進めるため、設備利用率の改善等による発電量に占める原子力の比率の向上に向け、整備点検や国の安全審査体制のあり方を再検討し、国際的にも信頼される原子力政策を推進します。また、プルサーマル計画を更に推進するとともに、核燃料サイクルや高レベル放射性廃棄物等の処分に関わる体制を整備するため、国民の理解を得る努力を続けます。

プルサーマル計画 使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランの酸化物を混ぜた「MOX燃料」をふつうの原発で燃やす計画。ウランの有効利用と、核兵器になりうる余剰プルトニウムを持たないという国際公約を果たすとしている。
核燃料サイクル 鉱山からの鉱石の採鉱、精錬、ウランの濃縮、核燃料(燃料集合体)への加工、原子力発電所での発電、原子力発電所から出た使用済み核燃料を、再処理して、核燃料として使用できるようにすること、および放射性廃棄物の処理処分を含む、一連の流れ。
高レベル放射性廃棄物 放射能物質を含む廃棄物の総称。これらは主に、原子力発電所および核燃料製造施設、核兵器関連施設などの、核関連施設または放射性同位体を使用する実験施設や病院の検査部門から出るガンマ線源の廃棄等で排出される。

162 エネルギーセキュリティ(安全保障)政策の実現

 わが国で消費されるエネルギーは、ほとんどが輸入に依存しています。当然、わが国経済は、原油価格等、世界のエネルギー動向に大きな影響を受けます。一昨年の世界的な原油価格の高騰はわが国経済に暗い影を落としたことも記憶に新しいところです。資源小国の日本にとって、エネルギーセキュリティ(安全保障)は大きな課題の一つです。
 そのため、エネルギー自給率(現在18%;原子力含む)を改善し、2030年には30〜40%程度を目指すと同時に、再生可能エネルギーを含めたゼロ・エミッション電源の比率を現在の34%から2020年で50%、2030年以降は70%程度まで高めます。

再生可能エネルギー 自然界に存在し繰り返される現象であるエネルギー流に由来し、かつ自然界の営みによってこれを利用するのと同等以上の速度で再生されるエネルギー源(またはそこから発生するエネルギーそのもの)。

163 石油・石炭・天然ガス等基幹エネルギーの確保

 石油をはじめとした石炭、天然ガス等基幹的なエネルギーを安定的に確保するため、わが国の先端技術を通じた支援等により戦略的な資源外交を展開するとともに、こうした資源の乱高下に対応できる体制を早期に整備します。そして、「低炭素社会」の実現には、化石燃料の確保に戦略的に取り組むだけでなく、わが国の卓越した先端的環境エネルギー技術を発揮して産業部門や運輸部門、民生部門等でのエネルギー需給の効率化と燃料転換を図ります。天然ガスとともにCO2排出量の少ないガス体エネルギーとして低炭素社会の実現に貢献できるLPガスについては、その普及・促進を図るため、高効率ガス機器やLPG車の導入・普及の後押しと燃料転換を進めます。

164 フロン類対策の推進

 地球温暖化の原因ともなるフロン類の適正かつ確実な回収・破壊、生産・使用の抑制に資する代替物質の開発並びに使用可能な代替物質を用いた製品の普及により、その排出量削減を促進します。

165 エコカー世界最速普及とモーダルシフト

 環境にやさしいエコカーについて、補助制度により買い換えを進めます。自動車グリーン税制と併せ、1年間で100万台程度の需要を増やし、2020年までに新車販売のうち2台に1台の割合で普及を図ります。
 更に、開発競争をリードし、電気自動車の量販・量産を開始するなど、地球温暖化対策に貢献するとともに、わが国経済の発展につなげることを目指し、電気自動車やハイブリッドカーなどのエコカーの世界最速普及を進めます。
 また、鉄道、船舶等による物資の流通の促進、公共交通機関の利用者の利便性の増進、歩道及び自転車道の整備等により、モーダルシフト(自動車から温室効果ガス排出量がより少ない交通手段への転換)を促進します。

166 エコハウス化の加速

 2030年までに新築公共建築物でのエコハウス化の実現を目指し、建築物のゼロ・エミッション化を加速するとともに、断熱住宅を新築住宅の80%にするなど住宅等の省エネ化(エコハウス化)を加速します。

エコハウス(化) 環境への負荷を低減した住宅。環境共生住宅、環境負荷低減住宅、エコロジー住宅などともいわれる。

167 国全体を低炭素化へ動かす仕組みの検討

 低炭素の社会経済のあり方を目指し、あらゆる部門の排出削減を進めるため、経済的支援や規制的措置を講じます。排出量取引については、国内における温室効果ガスの排出量取引に係る試行的実施の状況の評価を踏まえ、その対応についての方針を決定し、当該方針に基づき、必要な措置を講じます。
 また、低炭素化を促進する観点から、国民経済及び産業の国際競争力に与える影響等を踏まえつつ、経済社会及び国民の生活行動の変化を招来するよう、環境税の検討を含め税制全般を横断的に見直し、税制全体の一層のグリーン化を推進します。

168 環境ビジネスの推進

 優れた環境技術・ビジネスを、地球環境保全に貢献しつつ、わが国の経済成長の原動力とするため、新技術の開発支援と海外も視野に入れた普及、環境ビジネスへの投融資等を通じた環境金融の普及を積極的に推進します。特に温室効果ガス排出量削減等に役立つ新事業の創出を促進します。
 さらに、マーケットにおいて環境性能に高い価値が与えられるよう、エコポイントの一層の普及や製品・サービス毎の環境情報の「見える化」を進めます。
 また、新しい環境ビジネスモデルとして、国民や事業者が自らのCO2排出をクレジットの購入により相殺する「カーボン・オフセット」制度の普及を図ります。

169 参議院選挙で排出する二酸化炭素のオフセットを実施

 まず、隗より始めよ。自民党候補者が選挙活動で排出する二酸化炭素排出量に見合う分量をオフセットします。

170 環境分野における新ターゲティング・ポリシーの展開

 蓄電池・燃料電池、次世代自動車、スマートグリッドなど、開発が先行した場合に莫大な需要が見込まれる技術開発分野をナショナルプロジェクトとして選定します。
 また、日本の強みである省エネルギー技術等をより普及させます。例えば、鉄鋼をはじめとするわが国製造業の卓越したエネルギー効率、最高の水準を示す石炭火力発電の熱効率、ヒートポンプ、電気自動車、蓄電池などの先進技術の普及を図るとともに、CCS(二酸化炭素分離貯留)やスマートグリッド等の新技術を開発して、世界の二酸化炭素削減に貢献します。

スマートグリッド 人工知能や通信機能を搭載した計測機器等を設置して電力需給を自動的に調整する機能を持たせる事により、電力供給を人の手を介さず最適化できるようにした電力網。
CCS(二酸化炭素分離貯留) 気体として大気中に放出された、あるいは放出される直前の二酸化炭素を人為的に集め、地中・水中などに封じ込めること、また、その技術。

171 低炭素社会を進める人づくりと環境教育の推進

 持続可能な開発のための教育(ESD)の10年の取組み等を推進することで、低炭素社会を主役となって支える人づくりを進めます。また、アジアにおける人づくりにも貢献します。
 更に、環境の保全に関する教育及び学習(環境教育)の振興、広報活動の充実等を図るとともに、草の根からの取組みを支援します。特に、家庭、学校、職場、地域その他のあらゆる場における環境教育の充実を図るため、教材の開発、人材の育成、環境に配慮した学校施設及び学習環境の整備等を促進します。
 また、こうした環境教育・環境保全活動の推進の基盤的制度である環境教育・環境保全活動推進法について、学校における環境教育の充実等に資する改正を行います。

172 国民運動の推進

 事業者、国民等の間で、低炭素社会づくりについての関心と理解を深めます。更に、国民一人ひとりの自主的な行動による低炭素社会の構築に向けた国民運動を盛り上げ、毎年7月7日の「クールアース・デー」などを活用した様々な広報・イベント等により、ライフスタイル・ビジネススタイルの転換を訴えていきます。

173 地球温暖化に対する適応策の推進

 地球温暖化に対する適応のための対策を推進するため、生物の多様性の保全、国民の生命及び健康の保持、生活環境の保全、農林漁業の生産力の維持、社会資本の整備、災害による被害の防止、その他の必要な措置を総合的かつ計画的に講じます。
 特に、地球温暖化の影響に関する観測及び監視の体制を強化するとともに、生物多様性の保全、感染症等の予防、農作物の品種改良、洪水、高潮、渇水、干ばつ、土砂災害等による被害防止等、地球温暖化に対する適応のための対策を総合的かつ計画的に推進します。

174 温室効果ガス排出量等の情報開示の促進

 温室効果ガスの排出及び吸収量の状況、低炭素社会づくりのために必要な措置の進捗状況等に関する統計の整備及び充実、集計及びその結果の迅速な公表、その他の必要な措置を講じます。
 また、低炭素社会づくりに配慮した事業活動が経済社会の幅広い主体から評価されるよう、温室効果ガスの排出量、その他の事業活動に伴って排出する温室効果ガスの情報開示を促進します。

175 グリーンICTの利用促進

 情報通信システムの利用により、温室効果ガスの排出量削減を促進するとともに、エネルギーの使用、人の往来及び物資の流通・生産及び消費の合理化等を促進します。

176 COP10に向けた国際的リーダーシップの発揮

 2010年に愛知県名古屋市で開催されるCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)の成功に向けて、国際的なリーダーシップを発揮するとともに、生物多様性確保先進国を目指します。

177 豊かな自然環境を取り戻す仕組みづくり

 時代の流れを先取りし、戦後の開発推進の過程で失われた鎮守の森や里山の復活や生物多様性の確保など、人口減少の状況を踏まえつつ、豊かな自然環境を取り戻していく壮大な仕組みづくりに挑戦します。
 今後のわが国の街づくり・インフラ整備・地域開発においては、人口減少時代を踏まえつつ、より環境に配慮した取組みが求められます。コンパクトで人や環境に優しいまちづくり、地域づくりを進めるとともに、市街地を取り巻く鎮守の森や里山を復活・活性化させ、生物多様性の確保等を行います。これらにより、都市機能と豊かな自然環境が共存する21世紀型の持続可能な都市・生活空間をつくります。

178 生物多様性の恵みを実感できる国立公園等の実現

 美しい国・日本を代表する自然を有する国立公園等をより魅力あるものとするため、平成21年5月に成立した改正自然公園法等を踏まえ、国立公園等における生態系の維持回復や海域保全等を推進します。
 また、自然とのふれあいの場の整備、エコツーリズムの推進、温泉資源の保護等を通じ、自然環境を守りながらその活用を図るとともに、レンジャー(自然保護官)の活動や自然を守るNPO活動を盛り立てていきます。

179 希少な動植物の保護と管理

 農業や生態系等への被害が深刻な野生鳥獣の保護管理対策を強化するため、県を越える広域的対応の推進、人材育成等に取り組みます。また、トキなどの希少種の野生復帰や外来生物による生態系への被害の防止を図ります。

180 愛護動物と共生する社会の実現

 「動物愛護管理法」を改正し「犬猫の大量殺処分」を無くすとともに、ドッグラン施設等の整備に力を入れ、愛護動物と共生できる社会をつくります。

181 地域の特性を活かした循環型社会づくり

 わが国において先進的な循環型社会の構築を一層進めるため、「もったいない」の心を活かし、廃棄物の発生抑制(リデュース)・再使用(リユース)・再生利用(リサイクル)の「3R」の取組みを広げていくほか、国と市町村等が協力して、廃棄物エネルギー利用やバイオマス利活用を進めるとともに、地域内外のネットワークによる連携を後押しすることなどを通じ、地域の特性に即した低炭素の循環型社会づくりを加速します。

182 生活排水対策の推進と不法投棄の撲滅

 効率的な生活排水対策を進めるため、市町村等や国民の理解を得つつ、合併浄化槽の普及促進と管理の適正化に向けた体制整備を進めます。
 また、産業廃棄物の適正処理を確保するとともに、わが国の美しい国土を守るためにも、ごみ不法投棄撲滅に向けた未然防止・早期対応の取組みを推進していきます。

183 子どもの健康と環境

 国民が安心して暮らせる安全で豊かな環境を保全することは、政府としての基本的な務めです。そのため、次世代を担う子どもたちが健やかに育つ環境の実現に向け、環境中の化学物質が子どもの発育に与える影響の解明に取り組みます。また、国際潮流を踏まえつつ、すべての化学物質を視野に入れた安全性評価・管理等を推進します。

184 大気・水・土壌等の安全・安心な環境の保全

 水や大気などの環境保全については、新たな課題である微小粒子状物質(PM2.5)や漸増・広域化の傾向にある光化学オキシダント、湖沼及び内湾の底層の貧酸素化などへの対応が求められており、これらの課題に取り組みます。特に自然の恵み豊かな沿岸域(いわゆる「里海」)の創生やそれぞれの湖沼の特色に応じた豊かな湖沼環境の再生を図ります。また、「海岸漂着物処理推進法」に基づく取組みを推進するとともに、重点的な地区における対策を進め、海洋環境の保全を図ります。更に、工場跡地等の土壌汚染について、「改正土壌汚染対策法」に基づき対策を着実に進めます。

185 公害健康被害対策等の着実な実施

 水俣病問題の解決、アスベスト被害者の救済やアスベスト対策に取り組むなど、公害健康被害対策を着実に実施します。
 また、国内における毒ガス弾問題について、環境調査など必要な対策を引き続き推進します。

186 民有地の緑化推進と「緑化版エコポイント制度」の創設

 都市公園に加えて民有地等の緑化(民有地等における植栽、芝生化、屋上・壁面緑化等)を推進するため、植栽樹木の種類、樹齢、樹形等の条件に応じてエコポイントを付与するとともに、植栽後においても緑被率に応じて毎年ポイントを付与または電気等の公共料金をポイント分減免するなどの「緑化版エコポイント制度」を創設します。

ページトップへ