自民党政策集 J-ファイル2010(マニフェスト)

成長戦略で日本の未来を切り拓きます
―内需・外需ともに拡大―
この3年間に、金融政策、税・財政政策、成長戦略など、あらゆる政策を総動員し、早期のデフレ脱却と景気回復を図り、名目4%成長を目指します。 仕事を創り、誰もが働く場を得られる社会を実現します。

3 当面の経済財政運営

 デフレ脱却を急ぐため、下限がゼロを超える物価目標(例えば1.5%プラスマイナス1.0%)を定めるなどの金融緩和政策や「日米欧中を中心とした国際マクロ政策協調(平成のプラザ合意)」をはじめ、税・財政政策、成長戦略など、あらゆる政策を総動員し、GDPギャップ解消を進めます。

デフレ デフレーション(deflation)とは、物価が持続的に下落していく経済現象。
GDPギャップ 経済の供給力と現実の需要との間の乖離。

4 法人税率の思い切った引き下げ等、雇用の拡大につながる企業環境の整備

 企業が世界で勝負するためには、国際経済とのイコールフッティングが必要であり、日本を拠点に海外で活動できるだけでなく、海外の企業が日本に進出する環境を整える必要があります。そのため、法人税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに、法人税率を国際標準の20%台に思い切って減税します。なお、中小企業向けの法人税率については、さらに引き下げることを検討します。

5 法人事業税等の優遇措置

 企業の本社機能、工場、データセンターなどの地方への移転を後押しするため、雇用創出・投資規模等に応じて法人事業税の優遇を行います。この他、固定資産税(地方税)などの減免を行います。

6 「国富」を生み出す知財戦略

 資源に乏しいわが国にとって「知的財産」はまさに、「国富」の一つです。巨額な費用と時間をかけて生み出された「財産」を保護し、それを利用してさらなる「国富」を生み出すことは持続発展可能な経済にとっては不可欠なことです。そのため、まずは、研究開発の成果物が迅速に知的財産として保護されるよう「審査の迅速化」を進めます。特に、別の国においても早期に審査が受けられる体制も併せて進めます。
 一方、わが国で確立された最先端の技術が知的財産として保護されることなく流出することは、国益を大きく損ねることになります。技術流出を防止する制度をさらに強化していきます。

7 戦略的国際標準の獲得

 わが国産業が国際市場で有利に戦うためには、工業製品における「国際標準」の獲得が重要であり、「どの分野の工業製品」が「どのような標準」を求めているのかの的確な情報収集を行わなくてはなりません。そのため、政府が率先して、こうした情報収集に努めると同時に、その情報を企業にも伝え、政府と産業がタッグを組んで国際標準の獲得に積極的に取り組む体制を整備します。特に、成長著しいアジアをターゲットとした技術支援を通じ、例えば、アジア標準を国際標準とするような「戦略的標準獲得」にも果敢に取り組みます。

8 不断の規制改革と「グローバルトップ特別区」の創設

 消費者行政とのバランスをとりつつ、各種規制のあり方を不断に見直し、潜在需要を顕在化させて発展的経済活動を支援します。また、新たな立法時における規制の新設についても、国民の安全安心を確保するとともに、自由で活力ある経済活動を阻害しないようにする観点から、引き続き十分な事前審査を行います。各種事業の規制については、事業仕分けの手法を用いた"政策棚卸し"を実施し、見直しを鋭意進め、成長を阻害する規制は直ちに撤廃します。
 さらに、医療研究、サステナブル都市、国際コンテンツ拠点、自治体による国内外の企業や研究施設の誘致促進を可能とするため、財政上の措置も含め「グローバルトップ特別区」を創設します。

サステナブル都市 環境の良さと経済の活力を両立させながら、生活面でも快適に過ごせる持続可能な都市。

9 イノベーション、ベンチャー事業等の創造・活路支援

 産業それ自体を強くする唯一最大の原動力は技術革新(イノベーション)です。既存企業とベンチャーをイノベーションの両輪ととらえ、日本の強みを更に活かした挑戦をエンジェル税制等を含めて積極的に支援します。なお、ベンチャーを創出する大学等において、大学等の研究成果を目利きによって厳格に選定しつつ、技術力・経営力の基盤が強固なベンチャーを継続的に創出するための体制整備等を支援し、効果的な運営・活用を図ります。また、この過程において、優良・有望な開発シーズを選別し、ベンチャー企業の事業を再編するための「目利き人材」の確保も同時に行います。

一人当たりのGDPの世界ランキング推移、世界のGDPに占めるシェアの推移

10 「世界一の科学技術立国」を目指す「カネ」「ヒト」の確保

 科学技術予算の十分な確保及び分野を「選択」することで、その分野に対して人材・財政の投資を「集中」させ、その分野において「世界一」を目指します。さらに、研究開発に「カネ」が集まりやすくする「寄付環境」(税制等)も整備します。その際、必要な人材については、特に、将来の研究開発人材の育成を重視する観点から初等教育からの「理科系教育」の充実、大学・大学院改革を通じた「高度研究開発人材」の育成強化を行います。
 また、「出入国管理のポイント制(学歴・職歴、資格、語学などを基準に在留資格の優遇を与える制度)」を導入し、高度な専門的能力を有する外国人の受け入れを拡大させ、新たなイノベーションと活力を育みます。

11 未来の成長の担い手づくり

 豊かな人間性と正しい倫理観を涵養する教育を実践することを前提とし、多方面で活躍できる汎用型の教育を進めるとともに、複線型教育についても柔軟に対応できるようにし、ベンチャービジネス等を含めて成長の担い手づくりに向け、人材育成の社会的な仕組みを整備します。その際、国内での英語教育を抜本強化し、英語を母語とする教員を3年以内に2倍に増やし、10年以内に全ての小・中・高校に配置する「スーパーJET5万人計画」を着実に実施します。

12 前向きな生産性の向上

 経済成長の大きな目標は、企業が国内外で活発に活動を行い、「富」を獲得し、国民がその恩恵を受けることにあります。そして、経済成長の源泉は「創意工夫」であり、新たな需要の創出には生産性の向上が不可欠です。生産性の向上は、一人当たりのGDPを増加させる近道ですが、リストラや非正規雇用の活用は後ろ向きの生産性回復に過ぎません。前向きな生産性回復として、イノベーションや効率性の追求といった経済規模の拡大・経済集積を進めます。当面、主要先進7カ国中最下位からの脱出を目指します。

13 社会全体のICT化

 ICT化により、様々な分野において事業の効率化、サービスの向上など、国民生活の利便性が飛躍的に伸びました。今後、産業がグローバル化する中、産業界においても、さらなるICT化を進めると同時に、国、地方、企業、個人それぞれがICTの恩恵を受けられるよう「社会全体のICT化」を進めます。例えば、電力供給効率化につながるスマートグリッドの導入、ITSによる交通の円滑化、電子政府の実現など、国民生活の利便性向上と環境への負荷低減に向けたICT利活用を力強く推進します。
 情報サービス・コンテンツ産業としてデータセンター等の設備投資は生産波及効果が2倍と大きく、雇用誘発力も高いことから、これらの分野への投資機会を積極的に増やします。

スマートグリッド 項目170参照 >>

14 ICT産業の成長促進と国際展開を支援

 地場産業をはじめわが国の企業活動の生産性向上を図るためには、あらゆる社会経済活動の基盤であるICT産業の国際競争力を強化することが不可欠です。日本企業の「ガラパゴス化」からの脱却、グローバル展開に向け、地上デジタル放送など重点技術の国際展開支援、クラウドコンピューティングなど新技術・新分野に対する集中的な投資を行い、標準化強化、人材育成、ベンチャー支援などを通じ、ICT産業の競争力を強化、現在約100兆円のICT産業の市場規模を倍増させます。

ガラパゴス化 生物の世界でいうガラパゴス諸島における現象のように、技術やサービスなどが日本市場で独自の進化を遂げて世界標準から掛け離れてしまう現象。
クラウドコンピューティング 256項目参照 >>

15 必要な産業競争力の基盤強化

 世界経済が米国一極集中から多極化へ向かっている中、日本は依然として、多数のプレイヤーが国内で消耗戦を繰り広げる構図です。そのため、企業規模の拡大など企業を強化する過程において、現行の企業結合審査を迅速化し、併せてその透明性・予見可能性を確保します。各種業界の統廃合を妨げないような環境を整え、わが国がグローバルな競争に勝ち残っていくために必要な産業競争力の基盤を強化します。

16 日本版「国際競争力協議会」の設立

 産業界、学界、政府が一体となり、総力を結集して「全米競争力評議会」をモデルとする日本版「国際競争力協議会」(仮称)の設立に向けた法整備を速やかに行い、継続的な検討・提言を行う体制を構築します。

17 国民の英知を結集してのターゲティング・ポリシーの実行

 経済成長には、「民」の活力増大を阻害することのないよう、徹底した規制改革を行うとともに、国が確固たる「成長戦略」の布石を打ちます。その際、政治がある程度、総花的ではなく、国民の英知を結集してのターゲティング・ポリシーで産業分野の取捨選択を行い、官民あげて全面的に支援できる体制を構築します。「未来のインフラ」(燃料電池、電気自動車のインフラ整備、再生可能エネルギーの転換促進等)、「健康・医療」(再生医療等)など、基幹となる産業や技術の中から日本が有利に世界と戦える10分野を戦略的に選び、集中投資します。

ターゲティング・ポリシー 産業政策の一つで、特定の産業分野を政府が戦略的に育成すること。日本では高度先端産業の代表である半導体・コンピューターの育成など。

18 医薬品・医療機器の審査体制の充実・強化

 再生医療、医療・介護ロボットなど、日本発の革新的医薬品・医療機器の研究・開発を促進するために薬事承認の迅速化のための規制改革、ドラッグ・ラグやデバイス・ラグの解消、早期臨床試験(POC)実施体制の整備など、医薬品・医療機器の審査体制を充実・強化します。
 また、先端医療に係る刑事責任の扱いの明確化、医薬品・医療機器等の革新性に対する適切な医療保険での評価、医薬品開発に関わる人材育成体制の整備を充実させます。国際共同による治験を推進し、医薬品の治験・承認を国際標準とするために、日本版FDA(米国食品医薬品局)構想を推進します。

ドラッグ・ラグ 新開発の薬を患者に投与できるまでの時間差、あるいは、海外での新薬を国内承認できるまでの時間差のこと。
デバイス・ラグ 医療機器の最新機種が日本市場でなかなか導入されないというタイムラグ。
治験 医薬品もしくは医療機器の製造販売の承認申請をするために行われる臨床試験。

19 原子力等国家プロジェクト体制の構築

 原子力発電等の先端的環境エネルギー技術や新幹線等の鉄道技術、上下水道で用いられている膜技術、漏水対策や再生水利用技術、電気・ガスなどのライフライン・システム等、わが国の優れたインフラ関連産業やサービス産業、コンテンツ産業の国際展開を強力に支援し、受注競争での"競り負け"を防ぎます。そのため、日本政策投資銀行の国際部門である国際協力銀行(JBIC)が、地球環境保全に加え、資源・エネルギー確保や国際競争力確保等の機能をより発揮できるよう、政策金融機能の強化を図ります。先進国・途上国を問わず技術・ノウハウ・製品が統合されるパッケージとしての国際展開を積極的に支援します。

20 EPA・FTAの促進

 日本経済は外需依存体質と言われつつも、実際の輸出に占める対GDP比は1割強に過ぎません。内需・外需にけん引された力強い経済成長を達成するためにも、国益を最上位とした多角的自由貿易体制を確立し、諸外国の活力をわが国の成長に取り込む必要があります。そのために、わが国が国際的なリーダーシップを発揮して、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結に取り組みます。また、重点国を戦略的に選定し、経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)交渉を積極的に行います。世界的に貿易競争が激化する中で、わが国の貿易が安定的に行われるために、先進国・新興国を含めた諸外国のニーズを踏まえた相互協力関係を構築します。

WTOドーハ・ラウンド 多角的貿易交渉。WTO最初のラウンドで、2001年11月にカタールのドーハで閣僚級会合として実施合意。

21 レアメタル・レアアースの確保

 レアメタルは産出される地域が限定されており、この確保に向け、世界各国がしのぎを削っています。わが国もこの世界の流れに遅れることなく、戦略的なレアメタルの確保に向け、「産出国との外交展開(共同資源探査・技術支援等)」を進めます。同時に、国内に廃棄された精密機器等に眠っているレアメタル(いわゆる都市鉱山)を効率的かつ低費用で回収できる体制を整備します。
 また、わが国周辺には多くのコバルト、ニッケルなどのレアアースや天然ガス、メタンハイドレードが埋蔵されているという報告があります。海洋探査技術の向上など、レアアース等のわが国周辺に存在する資源の産出に向けた施策の展開を行います。

レアメタル 非鉄金属のうち、様々な理由から産業界での流通量・使用量が少なく稀少な金属。
レアアース 希土類元素は、スカンジウム、イットリウム、ランタンからルテチウムまでの17元素からなるグループ。希土類・希土とは、希土類元素の酸化物で、水素吸蔵合金、二次電池原料、光学ガラス、強力な希土類磁石、蛍光体、研磨材などの材料。

22 世界へ向けた情報発信力の強化、デジタルコンテンツ市場の拡大

 文化・伝統などわが国の持つ魅力(ソフトパワー)を積極的に海外に発信します。特に、世界に広がりをみせる放送コンテンツの海外展開や電子書籍・電子雑誌の流通促進、電子看板(デジタルサイネージ)の推進などにより、デジタルコンテンツ市場の拡大を支援、地域を含めたわが国社会経済の活力を増大させます。国をあげて、アニメ・マンガ・ゲームなどのコンテンツ作成だけではなく、「イベント創造」「営業方法」など、利益を生むトータルでのシステム構築を支援します。

23 G空間(地理空間情報)プロジェクトの推進

 わが国独自の衛星測位システム(準天頂衛星「みちびき」日本版GPS)の開発と全国一律の基盤地図整備を「地理空間情報活用推進基本法」に基づいて促進することで、世界最先端の地理空間情報を高度に活用できる社会を実現し、「国民の安全と安心を守る社会」「新たな産業・新サービスの創出と地域の活性化」「行政の効率化と高度化」等を促進します。
 また、この様なシステムをパッケージとして海外展開することで、途上国支援等の国際貢献や産業の活性化も図ります。

準天頂衛星 公転周期が惑星の自転周期(地球なら23時間56分)に等しい対地同期軌道のうち、適切な軌道傾斜角と軌道離心率を持たせることで、特定の1地域の上空に長時間とどまる準天頂軌道を取る人工衛星。
地理空間情報 高精度の地図、高精度でリアルタイムな位置と時刻情報

24 G空間による海洋探査の推進

 わが国は世界第6位と言われる排他的経済水域を持つ国土大国であり、「海洋基本法」、「宇宙基本法」と「地理空間情報活用推進基本法」を連携推進することで、わが国近海の大陸棚や深海に眠る資源の発掘、水産資源の確保等に努めます。また、海底プレートの移動をセンチメートル単位で常時監視するシステムを開発することで、地震予知や津波予知技術の高度化等も図ります。

排他的経済水域 国連海洋法条約に基づいて設定される経済的な主権がおよぶ水域。

25 中小企業など既存基幹・在来産業の底上げ

 国内の生産拠点の減少や国全体の購買力の減退による産業の空洞化は、内需に依存している中小企業にとって死活問題です。オンリーワンな中小企業もさることながら、企業群を連携・組織化することで経営資源を補います。製造業や流通業といった在来産業の底上げも併せて行います。また、エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)については、その普及が進んでいない現状を踏まえて抜本的強化が必要ですが、その際、町おこし・村おこしに向けて取り組む企業等も対象に加える等の検討を行い、使い勝手の良いものとします。

エンジェル税制 ベンチャー企業への投資を促進するためにベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度。

26 わが国の成長に資する社会資本の整備

 羽田空港の拡張や羽田・東京・成田間を結ぶ環状リニアの導入など首都圏空港機能の強化、整備新幹線の整備促進、災害に強いインフラ整備(多人数施設の耐震化、豪雨対策)、首都圏外環道をはじめとした高速道路等のこま切れ状態(ミッシングリンク)の解消、アジアの需要を取り込む港湾・空港といったナショナルプロジェクトを重点的に整備します。同様に、地域活性化につながるローカルプロジェクトも検討します。なお実施にあたっては、経済波及効果や経済合理性に加え、各地域における優先順位(新規事業もさることながら、既存事業の前倒し執行・完成等)を忠実に反映させます。

27 将来の経済成長の芽となる内需拡大基盤の利活用

 公共事業が全て否定されるわけではなく、即効性ある有効需要創出として将来の経済成長の芽となる内需拡大基盤づくりや地方における雇用の創出・維持にも資する真に必要な社会資本の前倒しによる「未来への投資」を実施します。
 しかし、整備だけでなく利活用を進めるべく、高速道路や鉄道、空港・港湾等を個々の利用という視点に加え、全体としての包括的・一体的な運用を目指します。高速道路料金や空港・港湾利用料を引き下げ、利用者を増大させます。

28 アジアNo.1の金融・資本市場の構築

 日本をアジアの金融・運用の中心地にするべく、企業の活力ある経済行動と国民資産を適切に運用できる公正な競争条件の確保かつ十分競争できる活発な金融資本市場を構築します。まずは金融セクターの対GDP比を英国並みの8%台に(現在5.8%)押し上げ、「業」としての金融を育成します。
 そのために、「貯蓄から投資へ」の流れを促進する簡素で分かりやすい証券税制への見直しや東証「グローバル30社」インデックスの創設、「日本総合取引所」の創設など、民間金融機関・証券市場の活性化や資産運用マーケットの強化を行います。その際、国民にとって健全な経済と成長に結びつく企業法制と資本市場法制を統合したガバナンス構築を目指します。

29 郵政民営化の推進

 郵政民営化を推進し、郵便局ネットワークや郵便・貯金・保険の三事業のサービス水準が維持され、住民の生活や利便性が向上するよう、民営化後の状況について利用者の視点から十分に検証し、地域の様々な要請に応える事業の展開を支援し、民間資金の効率的、生産的な運用を図ります。

30 個人の自助努力を補助する雇用対策

 国民が後年の憂いなく、前を向くためにはセーフティーネットの再構築が欠かせません。「受動的な安全網」との考え方から転換し、個人ごとの自助努力を補助する「能動的な雇用対策」を自治体・企業・NGOと連携してきめ細かく展開します。企業における雇用機会が大きく変化する中で、仮に失業しても、給与水準を維持しながら、着実かつ速やかに、再就職することが可能な「トランポリン型社会」を構築します。

31 就職、転職をしやすい環境の整備

 職能別検定制度の充実とジョブカードの円滑な活用を通じ、職業訓練や職業能力開発などを活かし、就業につながるマッチングシステムを確立します。
 また、労働者派遣制度の活用によるスキルアップやキャリア形成を行うなど再就職、転職支援の制度や仕組みを設けることにより、再チャレンジや成長産業への円滑な人材シフトを促進し、正規雇用の維持、拡大を図ります。 
 労働者保護に主眼をおいて、非正規労働者の処遇を改善します。

32 雇用力強化労働法制の充実

 「雇用」は国民生活の基盤であり、その安定確保は国の最重要課題であります。一方、派遣切りなど、解雇が行われた際、全ての責任を企業に負わせることも問題であり、政府と企業が一体となった労働環境を整備しなければなりません。特に、「解雇規制」を緩和すると同時に、企業における「柔軟な経営」を行える環境を整備するなど、企業の持続による「雇用の安定」につなげます。また、国としては、「同一労働・同一賃金」「社会保障の充実」「労働環境の法整備」を前提に、失業対策として、生活の安定が保証される「手厚い失業給付」「充実した職業訓練プログラム」の再構築など、強力なセーフティーネットを構築します。

33 雇用対策の抜本的強化

 雇用の防衛に向け、雇用対策を抜本的に強化するべく、雇用調整助成金の要件緩和のみならず、雇用創出に向けての地域発の実証事業や雇用拡大型制度改革に着手し、就労動機付けの強化、トライアル雇用の拡充(雇用「創出」助成金)、能力開発を行う派遣会社の支援等、必要な調整費用を支出します。さらに、職業訓練(研修)後のスムーズな就業のための再就職バウチャーや「企業内職業訓練支援制度」(仮称)を導入します。

34 新卒者就職対策の実施

 新卒者の就職状況が厳しい中、新卒者の100%就職を目指して、新卒者をトライアル雇用する企業へ3年間補助金を支給するトライアル雇用制度の創設など、新卒者の雇用の受け皿の整備を促進します。

35 今後10年間で雇用者所得の5割増を実現

 持続可能な安定した社会保障を維持し、活力ある社会をつくるために、あらゆる成長戦略を実行して、今後10年間で雇用者所得の5割増を実現します。

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