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コラム

世界最先端のIT国家を創造

サイバーセキュリティ基本法案を制定
高まるサイバー脅威に対処 国の主導的な役割を明確化

平井たくや党IT 戦略特命委員長に聞く

機関紙「自由民主」第2602号(平成26年5月20日)1面-2面1部に掲載

わが党のIT政策を牽引している平井たくや党IT戦略特命委員長

わが党のIT政策を牽引している平井たくや党IT戦略特命委員長

 

 ITの利活用による生産性の向上や新規ビジネスの創出は、安倍政権が推進する成長戦略の鍵を握る。その一方、国家や重要インフラを脅かすサイバー攻撃もITの目覚ましい進展に伴って急増している上、これまでの対策では防ぎきれないほど高度化や多様化が進んでおり、セキュリティの確保が新たな課題として浮かび上がっている。これを受け、党IT戦略特命委員会(委員長・平井たくや衆院議員)はサイバーセキュリティ基本法案(仮称)を議員立法で今国会に提出する。平井委員長に法案の目的やポイントなどを聞いた。

 

――法案を提出する背景は。

 

平井たくや党IT戦略特命委員長 現在の日本はコンピューターとネットワークによる「第三次産業革命」の真っ最中にあると言えます。これまでの産業革命が新陳代謝と成長を促し、社会をバージョンアップさせてきたように、デジタル化やグローバル化の流れはもはや不可逆であり、加速度をつけて世の中は変わってきています。

 平成13年にIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)が制定されましたが、その時点では、これほど急速にブロードバンド基盤の整備やインターネット・携帯端末の普及が進展することは想定されていませんでした。ITによる利便性の高い社会の構築に重きを置く反面、セキュリティの面は重要視されておらず、IT基本法にも「安全」という単語は1箇所しか出てきません。

 しかし、あらゆる産業がインターネットを前提としている社会が到来した今、サイバーセキュリティという新しい概念を法律の中で再定義し、そのために万全の対策を講じることが求められています。よって、IT基本法を補完する特別法とも言うべきサイバーセキュリティ基本法案の制定を急がなければならないと考えました。

 

東京五輪に向けて体制を拡充
健全なインターネット社会を

――東京五輪・パラリンピックの開催に向けても重要とのことだが。

 

平井 平成24年のロンドン五輪では電力インフラを標的にしたサイバー攻撃が2億件以上も行われました。幸いにして、未然に察知し防ぐことができましたが、世界中で何十億人が注目しているオリンピックの開会式で照明が消えるかもしれないというリスクが顕在化したインシデント(事象)でした。同じことが、平成32年に新しい日本のシンボルとも言える新国立競技場で、開会式が盛大に開催される中で起きた場合を想像してみてください。声高く開会宣言があった直後、会場が真っ暗になり、パニックの様子が全世界に中継される。日本の威信は完全に失墜することでしょう。

 IT先進国であるエストニアや韓国でも大規模なサイバー攻撃が発生し、政府機関や銀行などのサーバーがダウンする被害を受けました。わが国でも時間の問題かもしれませんし、サイバー攻撃は今後、さらに巧妙になることも予想されます。

 そもそも、サイバーセキュリティは政府や企業に限ったことではなく、個人や家庭とも切り離せない問題です。リアルな社会と不可分で、国民の皆さん一人ひとりに迫っている危機と言っても過言ではありません。例えば、多くの人が使っているスマートフォンはパソコン同様に、メールやアプリのダウンロードでウィルスに感染してしまうケースが少なくありません。また、「スマートカー」と言われる最近の自家用車に搭載される車載コンピューターは100以上になります。他にも、スマートメーター(次世代電力量計)やネットバンキング、電気、ガス、水道などもインターネットと無関係ではなく、攻撃対象となります。個人情報が盗まれる、電気が止まる、自動車がハンドルと反対の方向に動く――。こうした被害が全ての人に起こり得る時代となりました。決して特別なことではないという認識を醸成することも課題になっています。

 

――法案に盛り込まれる施策は。

 

平井 国自らがリーダーシップを従来以上に発揮できるよう、政府としてサイバーセキュリティ体制を抜本的に強化しなければなりません。

 情報セキュリティに関する重要事項は現在、官房長官を議長とする情報セキュリティ政策会議で決定され、その事務局を内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)が担当しています。これらは17年に設置されて以降、情報セキュリティについての知見を蓄積してきましたが、法的な位置付けを持ちません。よって、各府省を横断する横串的機能が十分に発揮されているとは言えないのが現状です。

 そこで法案では、情報セキュリティ政策会議の権限の明確化を柱の一つに掲げました。法的根拠を与えることで強い指導力を持たせ、官民全体を引っ張ることができるようにします。

 具体的には、IT総合戦略本部との連携の下、基本的な戦略の策定をはじめ、各府省における情報セキュリティ対策に関する統一的な基準の策定・監査、経費見積もり方針の策定などを担います。さらに、これらの権限を有効に発揮させるため、議長が関係行政機関の長に対して勧告できるようにするなど、司令塔としての機能を抜本的に強化します。

 NISCについても法制化を明記しました。政府機関を横断的に監視する組織として、体制の拡充を急ぎます。

 

司令塔機能強化へ今国会の成立目指す
デジタル化の時代に大切な心の"ふれあい"

――法案の早期成立に期待が集まっているが、今後の取り組みは。

 

平井 逆算すると、今国会で成立しないと東京五輪・パラリンピックに間に合いません。公明党とのプロジェクトチームでの協議は大詰めを迎えており、5月中にも法案を提出する予定で作業を進めています。

 少子高齢化の進展によって人口や労働力が減少する中、わが国経済が高い競争力を維持する上で、ITは欠かせないでしょう。インターネット社会を健全に発展させる法案ですから、国家の安全と次世代のために一刻も早い成立を目指します。

 そうは言っても、デジタル化やグローバル化が行き着けば、私たちは本当に幸せになれるのでしょうか。私はむしろ、技術のみが先走る進化には疑問を感じています。デジタルが進歩すればするほど、人間同士の心がふれあう「アナログ」な付き合いがより重要になると言えるのかもしれません。家族や地域コミュニティーにおける人と人との関係が充実し、さらに豊かなものになる。これもデジタルを安全で適切に使うことによって、もたらされることだと思います。

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