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コラム

谷垣禎一総裁 代表質問

「契約違反」の状態が続く民主党の矛盾 論戦スタート

平成23年10月31日(月)
自由民主党
衆議院議員 谷垣禎一

一、はじめに

 私は自由民主党・無所属の会を代表して、先般の野田総理の所信表明演説、安住財務大臣の財政演説について質問いたします。

 冒頭、東日本大震災ならびに相次ぐ台風の被害によって、不自由かつ不安な日々をお過ごしの皆様に対し、心からお見舞い申し上げるとともに、地域における復旧・復興に向けて、自民党は引き続き総力を挙げてまいることをここに約束いたします。また、先般のタイ王国大規模洪水およびトルコ共和国大地震災害に対して、政府においては最大限の支援策を講じることを強く求めます。

 さらには、歴史的な円高の影響によって、多くの企業が厳しい経営を強いられています。政府は本日、市場介入を行いましたが、引き続き市場に対して断固たる姿勢を示すよう求めます。

 さて、政権交代よりはや2年の歳月が過ぎ、その間、民主党政権において3代目の総理に至りました。わが自民党も小泉総理で総選挙を行い、その後3人の総理が替わったことは、公平に述べておかねばなりません。しかし、その際に野田総理、あなたは「与党のトップが交代する際には、民意を問うべきである」と言われたことを憶えておられるでしょうか。今もその意見は変わりませんか。

 この2年間、民主党内の絶え間ない内紛、統治能力の欠如によって国政の著しい停滞を招き、内政・外交にわたって多大なる国益の損失をもたらしました。これを「民主主義のコスト」として安易に片付けてしまうことは、到底許されません。国際社会においては、来年の主要国における権力の移行期を控えつつ、欧米諸国の財政リスクが顕在化し、他国を顧みるゆとりもなくひたすら自らの国益を追求して鎬を削りあう情勢にあります。一方、国内に目を向ければ、少子高齢化は急速にその進行の度を深め、経済の高成長、それに拠って立つ財政の分配を期待する経済社会システムはもはや昔日のものとなりました。そのうえに、この大震災がわれわれを襲ったわけです。これらを踏まえれば、民主党の政権担当能力を磨くための授業料を支払う余裕が残されていないことは、国際情勢からも国民の懐具合からも明らかです。

 また、民主党政権におけるマニフェスト施策の実現が進まないどころか後退、違背を繰り返すことによって、国民との契約違反の状態が続いています。野田総理はその不履行の要因として、景気後退による税収減、ねじれ国会、東日本大震災の3つを挙げています。しかし、これらは全て、無駄を排除して財源を確保することで施策を実施するというマニフェストの基本構造に対しては何ら関係がありません。どれが無駄の削減額を左右しえたのでしょうか。震災前の昨年末に野田財務大臣のもとで編成された平成23年度予算において、16.8兆円と言っていたマニフェストの実行額が僅か3.6兆円にとどまっていたことこそ、その構造的欠陥の明らかな証左です。国民は先の総選挙で票という代金を支払ったものの、約束された商品を受け取れないままとなっています。嘘をついて奪い取った政権はそのままに、誠実な履行をすることができないのであれば、根強い政治不信を払拭することもできず、国民はコストをひたすら払い続けるのみです。

 これらの厳然たる事実を、政権運営にあたる野田総理においては十二分に認識すべきと考えますが如何でしょうか。

谷垣禎一総裁

二、平成23年度第3次補正予算案・復興財源確保法案等

 さて、平成23年度第3次補正予算案と東日本大震災に係る復興財源の確保のあり方について、わが党の基本的考え方を申し述べつつ、政府・与党の考え方を質してまいります。

 はじめに明らかにしておきますが、わが自民党は7月8日には総額17兆円の震災対策を公表しており、その財源のうち歳出削減や税外収入で賄えない分について復興債を発行することとし、その信認を担保するために、所得税、法人税等の付加税により償還の道筋を明確にすべきであるといち早く表明しております。わが国財政事情は深刻さを極めており、東日本大震災からの復旧・復興対策経費が巨額に上る中で、いかに財政規律を確保するかという基本的認識において政府・与党と違いはありません。

 しかし、今回の政府・与党の3次補正予算案と復興財源確保法案は、わが党の取りまとめから3ヶ月半以上遅れているうえ、その間、内容についてよほど詰めが進んでいるのかと思いきや、国民の皆様に負担を求めるにしては、随分粗っぽいいい加減な案を出してきたとの印象です。国民の皆様に負担を求めるためには、丁寧な説明と合理的な制度設計が必要です。政府・与党の案は、その双方の要素に欠けており、運び方も案の内容も稚拙そのものです。このような政府・与党が、今後、消費税で更に大きな国民負担をお願いすることに取り組むというのであれば、その資質からして大いに疑問を抱かざるを得ません。このことを、質問を通じて明らかにしてまいる所存です。

 わが党は第1に、現在の政府・与党案の復興債の償還期間が10年とされているのは、短すぎると考えており、その大幅な延長を求めております。

 理由としてはまず、千年に一度という大震災の復旧・復興経費に係る財源調達を現世代の負担によってのみ賄うとすれば、現世代が前後の世代と比較して大震災があったばかりに過重な負担を強いられることになり、不公平と言わざるを得ません。特に復興による受益を後世代が享受することを踏まえれば、世代をまたいで負担を分かち合う必要があります。しかも、復旧・復興経費の内容を見れば、3次補正で計上されている全国防災対策費などは全国で行われるハード事業であり、中身において通常の建設公債発行対象経費と明確に区別が可能なものとは到底思えず、復興債及びその償還財源としての税制措置で賄わなければならない理由が分かりません。

 また、われわれは、単に長く償還期間を延ばせと申し上げているつもりはありません。わが国財政に対する市場の信認を高めるうえで大事なことは、償還の道筋をしっかりと付けることであって、償還期間を徒に短くすることではありません。政府・与党はこの点を混同しています。さらには、わが国財政の今後の課題を見据えれば、徒に短く設定することには疑義があります。わが国は基礎的財政収支の黒字化などの財政健全化目標を設定しており、その達成に向けて消費税を含む税制抜本改革は避けられません。目先の性急な復興財源確保のみに囚われず、マクロの財政健全化の取組みとの関係にも配意し、償還期間を長くとることでその負担を薄いものにしておく必要があります。

 そこで総理に質問いたします。一つ一つお答えください。

 まず、3次補正予算に係る東日本大震災復興経費11兆7,335億円のうち公債発行対象経費とそれ以外は幾らずつか。言いかえれば、この部分について今回のような異例の対応でなく、通常の公債の追加発行による対応をとった場合、建設公債、特例公債はそれぞれ幾らとなったのか、伺います。

 そのうえで、それらについて建設公債等によらず、あえて復興債及びその償還財源の確保のための税制措置というスキームに依ることとした理由を改めて伺います。

 次いで、政府・与党案では、復興債の償還期間は通常の60年償還ルールに対して10年と大幅な短縮がなされたことについて、如何なる理由付けがなされているのかお答えください。

 更には、そこまで償還期間に差を設けるからには、債券の発行で賄われる事業の性質についても明確な差が認められるのでしょうか。例えば、全国防災対策経費の定義は何か、単なる公共事業が紛れていることはないのか、両者を区別する基準は何でしょうか。

 さらに伺いますが、消費税の取扱いなどを含めて今後の財政健全化への取組みが具体的に固まっていない中で、短い償還期間を設定して単年度あたりの国民負担を大きなものにしてしまうことが、今後の取組みへの足枷となるのではないでしょうか。

 これらに対する答弁を踏まえたうえで、改めて償還期間の大幅延長を求めているわが党の見解に対するお答えをいただきたいと存じます。

 第2に、わが党は23年度予算における子ども手当の減額措置に伴って特例公債を減額することを求めています。これは、民主党のマニフェスト施策を目の敵にして、その歳出削減に見合う特例公債減額を立てることであえて辱めに遭わせようとしているわけではありません。子ども手当の見直しの要因を震災に求めることが筋違いだと申し上げているわけです。

 そもそも、特例公債発行額を極力圧縮するというのが財政運営の基本ルールであり、特例公債の発行によって全体の予算が賄われている以上、歳出の削減を行う一方で建設公債発行対象経費の増額が行われた場合、特例公債を減額して建設公債に振り替えるのが補正予算の通例であるはずです。なぜ今般はそのような対応をとらないのでしょうか。政府・与党が、マニフェスト政策については特例公債に頼らず財源をきちんと確保したという建前と、復興債と建設公債を同時発行しないことにこだわるあまりに、特例公債発行の減額に努めるという財政運営の基本ルールを蔑ろにしてしまっているのが今回の対応ではないかと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

 そして、このような対応を今後も踏襲していくとなると、24年度以降の当初予算についても、復興財源となる歳出削減分について、その見合いとなる復興経費に幾ら公債発行対象経費があっても、特例公債発行額を減額しない措置をとり続けるにことになりかねませんが、それで宜しいのでしょうか。本来圧縮できるはずの相当規模の特例公債発行額が毎年度圧縮できないということになってしまいますが、そのことは財政運営として妥当なのか、あわせてご回答願います。

 以上を踏まえたうえで、改めて今般の3次補正予算、さらには24年度予算以降における子ども手当の歳出削減分を特例公債減額に充てることを求めます。

 第3に、われわれは復旧・復興経費を管理する特別会計の創設を求めています。

 今回の政府・与党の復興財源確保のスキームがあまりにいい加減で、国民にとって受益と負担の対応関係が見えにくいものであることを踏まえると、特別会計の創設はいよいよ必要となります。それにより、復興経費は新たな特別会計で管理されることとなるため、その他の経費との差別化が進み、単なる通常の公共事業関係費が全国防災対策費として復興経費に紛れ込んでくるようなことも防がれていくと考えられ、B型肝炎対策との区分も明確になります。税財源が確保されている復興事業の進捗度合いが明確になり、今後、国民からも更なる税制上の措置が必要な状況にあるのかどうかということが見えやすくなります。復興を名目に講じられた税制措置による増収分が他の事業に費消されることなく、必ず被災地向け歳出に充てられることが明確になることで、国民の納税意識も高まるものと考えます。政府・与党は今回の復興財源確保のスキームについてよくよく居住まいを正したうえで、国民に増税の理解を求めていくべきです。

 特別会計設置に関する野田総理の見解を改めて伺います。

 復興財源としての税外収入・歳出削減を巡っては、前原政調会長と政府側とで、増税額を巡って行ったり来たりのやり取りが続くという混迷振りを見せつけましたが、相変わらず取扱いがすっきりしません。関連してお尋ねしますが、国家公務員給与特例法案による国家公務員給与の引下げ分は復興財源にカウントされている一方、24年度予算などで連動して行われる地方公務員給与に係る地財措置、更には義務教育国庫負担金や独立行政法人運営費交付金の見直しなどによって生み出される財源については、復興財源に使うのではなく財政再建に使うとの報道もあり、現段階では復興財源としてはカウントされていないようです。しかし、やはり公的部門全体で捻出する復興財源として整理することが適切であり、今後復興経費の増加が確実な中で、これ以上税負担を増やさないために用いるべきと考えますが如何でしょうか。

三、社会保障・税一体改革

 社会保障・税一体改革について伺います。

 先般、五十嵐財務副大臣が2015年度までの消費税率の10%への引上げは2段階に分けて行い、その第1段階目は再来年秋の衆院任期満了後に行う旨を示唆しましたが、本来、財政や経済の状況を踏まえ決せられるべき消費税率の引上げのタイミングがそれらとはおよそ関係ない政治日程との関係で決まるというのはいかにもナンセンスであり、いかにマニフェストとの関係で民主党が消費増税の検討を行うことが破綻を来しているかの表れです。そもそも、あなた方が法案提出の拠り所としている、消費税を含む税制抜本改革の規定を含む平成21年度税制改正法に、民主党は反対されたのではありませんか。先の総選挙におけるマニフェストには、消費税について一言の言及もありませんでした。当時の鳩山代表は「消費税は20年間上げない」ことを公然と述べておられました。社会保障・税一体改革は必要な政策ではありますが、ここでもまた国民に対して言行不一致な行動をとろうとするあなた方は、票を投じた有権者にどう説明するのでしょうか。

 また、平成21年度税制改正法附則第104条との関係で今年度内に具体的な法案提出ということになれば、年内にはその概要を固める必要がありますが、議論の時間があまりに不足しています。6月に「成案」をとりまとめて以降、社会保障機能強化の進め方等、具体的な検討が進んでいるようには聞こえてきません。複数税率など逆進性対策をどうするのかといった受益と負担の関係もまったく見えないまま、年末までの2ヶ月ですべてを決めてしまうことには相当無理が伴います。

 このように無理に無理を重ね、国民に言ったことと違う政策を押し通そうとするあなた方の社会保障・税一体改革への取組みの前途は多難と考えますが、野田総理としては、この窮屈な日程の中で具体的なスケジュールをどのように進めていこうとされているのか具体的にお示しいただくとともに、改めてご決意を伺います。

四、TPP

 過去2代にわたる民主党政権によってわが国の外交の基盤は大きく揺らぎ、今やその失地回復にのみ汲々とせざるをえないのが現状です。普天間基地移設問題についても、その迷走によって米国との信頼関係を大きく損ねたために、政府・与党はそのツケをなりふり構わず返そうとしているかのように見受けられます。TPP交渉への参加をめぐっても同様です。そもそも、日米関係において日々の情報交換や意見調整等が円滑になされていれば、このような切迫した事態に陥ってはいなかったはずです。また、国益に関わる重要事項にも関わらず、政府が情報を提供しないため、参加の可否を判断するための国民的議論が全く熟しておりません。それに加え、藤村官房長官や前原政調会長は、交渉途中の離脱の可能性を明言されていますが、入口から逃げ腰の国を相手に、他の参加予定国が真剣に向き合うことはありえません。これまでの経緯から昨今の騒動まで、極めて稚拙な取り運びとなっていることについて、民主党ならびに野田政権の責任は極めて重いものと考えますが、その点について総理の見解を伺います。

 いずれにせよ、わが国は世界にモノを売って自国で賄いきれないエネルギーや資源を買って成り立っている以上、自由貿易体制を志向せざるをえず、その中で国内産業にも十分な目配りをする。その際、不断の外交努力で自らの国益を主張し、他国の譲歩を可能な限り引き出すとともに、国内産業に対しては、不安と弊害を払拭すべく、財源に裏付けられた対策を適切に講じていくことが、わが国の基本戦略ではないでしょうか。前者は先ほど指摘しましたが、後者についてもその対策が不十分なものと考えます。民主党政権は農家の戸別所得補償制度を推進していますが、これは基本的には価格差補填の仕組みです。従って、関税障壁が除かれて市場価格が払底しても、これより高い生産価格との価格差を補填することでTPPへの一定の対応策にはなります。しかし、価格差が拡大していけば、それを埋めていくための巨額の財源を要します。TPPで輸出企業に、戸別所得補償で農家にもいい顔をし、その結果財源はないとなれば、まさにあの詐欺マニフェストと同じことです。そもそも、財源が限られた中では、頑張って競争力を発揮できる農家には担い手として支援するとともに、農業の多面的機能の観点からも直接支払いを中心として支えていくといった政策目的に応じた農業政策こそが求められるものと考えます。その見極めもないままばらまくのみでは、財源は枯渇して結局は農業を守ることもできず、民主党が50%とまで掲げた食料自給率はみるみる低下し、農村は荒廃し過疎化が進む一方となります。政府においては積極的に情報を開示し、今後の確たる展望を示すことで国民の議論に供するよう強く求めます。APECも差し迫っていますが、TPPがもたらすメリット、デメリットは具体的に何か、TPP交渉に参加するのか否か、野田総理の明確な答弁を求めます。

五、国家公務員給与特例法案

 野田総理が早期成立の意欲を示している国家公務員給与特例法案について伺います。わが党は、国家公務員の給与引下げ自体に反対しているわけではありません。協約締結権とセットであることを問題視するとともに、人事院勧告を実施したうえで、さらに深掘りすべきと考えています。これによって地方公務員等を含め、より大きな削減が実現できるわけです。

 さて、本法律案は、その策定過程で自治労、日教組が大宗を占める職員団体と交渉を行った結果まとまったものと承知しており、官が身を切るという一見改革的でありながら組合配慮ありきの法律案であるとすれば、働きアリの税金に白アリがたかる構図が総理の足元で始まっているということとなりかねません。

 その点に関してまずは協約締結権の付与を行う国家公務員制度改革関連4法案との関係を確認します。給与特例法案が仮に協約締結権の付与と交換条件になっているとしたら、本法案は組合天国への誘い水であるということになり、論外です。連合などはホームページで10月11日の政府とのトップ会談における「国家公務員制度改革関連法案と国家公務員給与特例法案を同時期に成立をめざすという基本姿勢は変わっていない。」という関係閣僚の答弁を成果として喧伝していますが、これは事実でしょうか。4法案とのセットを組合と取引しているとすれば、復興財源捻出を装いながら、実際は協約締結権の取得対価としての手垢にまみれた引下げ法案であることになり、われわれとしては審議にも値しないということになります。この答弁をした閣僚を明らかにしていただくとともに、事実であるとすれば撤回を求めます。事実でないとすれば、この答弁を否定し、4法案の処理とは完全に切り離す旨をこの場で明言してください。

 重ねてお尋ねします。政府は、閣議決定において国家公務員給与特例法案は人事院勧告の趣旨を内包しているとして人事院勧告不実施を決めましたが、人勧の趣旨は労働基本権の制約の代償に尽きるといっても過言ではありません。給与特例法案は、人勧どおりの▲0.23%ではなく▲7.8%にまで労働者の給与を一段と大幅に引き下げるわけですが、これのどこがどうしてその趣旨を含むことになるのでしょうか。含んでいないとすれば虚偽の閣議決定であったということになりますし、人勧無視の憲法違反ということになります。含んでいることになれば、それこそ4法案とは連動しないものであることが明らかになるので、4法案の棚上げを求めます。この点の確認をお願いします。

 なお、内包しているという閣議決定がそのとおりであれば、独立行政法人、義務教育国庫負担金を始め、国家公務員給与の改定に伴う公的部門の人件費に関する扱いは、人勧の際とまったく同様でなければ閣議決定が偽りとなることを申し添えます。

 いずれにしても、内包云々という苦しい説明をしていますが、政府には、人勧を実施したうえで給与特例法案も成立させる選択肢もあったのに、わざわざダイレクトに人勧を不実施にする理由がどこにあったのでしょう、是非ご教示ください。人勧不実施を高らかに謳う背景に、よもや人勧制度の廃止、協約締結権の付与に向けて、人勧不実施の実績を作りたいという何らかの政治的思惑はなかったのか、あわせて伺います。

 国民の皆様には、各種の組合が政府に対して人勧不実施を申し入れているという事実を申し添え、組合依存という民主党の実態をよく見極めていただくとともに、保守政治家を自認する野田総理におかれては、是非、組合との取引によって国政が壟断されることがないよう衷心からご忠告申し上げます。何かおっしゃりたいことがあれば反論していただいて結構です。

六、選挙制度改革・1票の格差是正

 次に、選挙制度改革と1票の格差是正について伺います。

 先般、衆議院の選挙制度について各党の協議会がスタートしました。わが党も具体的な提案を行い、積極的に参画してまいります。私は、既に衆議院議員の任期が2年を切っており、まずは当面の対応として、衆議院の小選挙区における1票の格差が憲法違反と判断されている状態を一刻も早く解消すべきと考えます。そのためには、現在、最高裁判決を受けてストップしているいわゆる「区割審」の審議を早急に再開することが、不可欠の第一歩となります。今国会でその前提となる条件をクリアする必要があると考えますが、野田総理は、どのような条件が整えば審議を再開できると理解しているのか伺います。また、区割審が直ちに調査審議を進めたとしても、来年2月25日の期限までに審議を終えて勧告を行うことが困難な場合、勧告期限の延長期間は必要最小限のものとすべきです。早期の解散を避ける意図を持って、わざと長く延長しているといった疑念を国民に抱かれるようなことがあってはなりません。延長は最小限の期間とし、勧告が出たら速やかに区割を改定する法律を成立させる。かつ、その公布から施行までの間、すなわち周知期間は10年前と同様の1ヶ月とすべきであると考えます。この点についての野田総理の見解を確認します。

 1票の格差是正のための区割の改定は、先ほど述べた手順で行けば、次期通常国会のうちに実現し、憲法に違反しない制度で国民に信を問うことが可能となります。なお、それまでの間においても、今の民主党政権の状態では、即刻解散総選挙を行う以外に日本を救う道がないという状況を迎えることも十分考えられます。その場合には、私は、現行制度の下での解散総選挙も必要だと考えています。区割審の審議や法改正の途上である場合でも、解散権は常に制約されないと理解しておりますが、この解散権の解釈について、野田総理の見解をここで明確にお示しください。

 なお、最高裁判決から1年を経過しても国会が法改正の道筋をつけられないことは、国会の権威にかかわる重大問題であると重ねて申し上げておきます。

七、政治資金問題

 本日は多々政策課題について伺いましたが、政策を実現するにあたっては何よりその主体となる為政者の資質が問われます。「クリーンな政治」を標榜する民主党において、野田総理をはじめ鳩山元総理、菅前総理、小沢元代表、前原政調会長などの幹部が、相次いで政治資金問題を引き起こしているまま、その説明責任も十分に果たされてきていないことは、その資質の欠如の表れと言えます。われわれはこの問題を徒に復旧・復興の議論の妨げとするつもりはありませんが、政党間の信頼関係を構築し、議論を円滑に進めるための環境整備に意を砕くことは与党の務めです。これに関して二つ伺います。

 まず、野田総理ご自身の外国人及び脱税関係企業からの献金問題について、今国会において説明責任を必ず果たしていただくよう求めます。9月3日に「調査する。結果が出たら報告する。」と述べてから途中経過の報告も公表のメドも示さないままに2ヶ月が経ちます。また、小沢元代表に対し、国民から選ばれた公人として証人喚問に応じ、国会においてその説明責任を果たすよう民主党代表として指導力を発揮するのかどうか、総理は誠実かつ明確にお答えください。

八、おわりに

 先の臨時国会において私は野田総理に対し保守政治家としての理念を問い、民主党の理念のあらわれである綱領の有無について伺いましたが、いずれも明確な回答を得られませんでした。政権発足後しばらくは野田三原則、「余計なことは言わない・やらない、派手なことをしない、突出しない」との安全運転等のおかげか、大きな混乱はもたらされませんでした。しかし、これは何の政策も進められなかったわけであり、言わば停滞です。結局は、理念なき総理、綱領なき政党において、大局的な政策判断のものさしを欠く以上、内政・外交にわたる重要課題を乗り越えていくことはできません。

 それに加え何より、マニフェストの破綻とかつて自らが批判した信を受けないままの総理たらい回しによって、この政権には、主権者たる国民に対して正統性を欠いていることは明らかです。被災地で延期されていた地方選挙も11月20日には全て実施されるとともに、復旧・復興の補正予算も3次を数えるに至りました。にもかかわらず、復興を理由に被災地を含む全国民との契約違反の状態は、放置されたままにあります。国民との契約違反の十字架を背負い、国民からの信という権威の裏付けもないがゆえに、確たる政策体系は構築できず、その場を取り繕うことのみが、野田政権に許されたことなのではありませんか。従って、今後一気に押し寄せるであろう政治的かつ政策的な矛盾によって、これまで同様もしくはそれ以上の政治的混乱がもたらされることは不可避であり、早晩行き詰ることは必至です。

 この混乱を回避し、国政の停滞を打開するためには、解散総選挙によって国民との再契約を行って信を受け、大事にあたるための政権の基礎体力を回復することが求められます。それを欠いたままで、マニフェスト違反の消費税や普天間問題、TPPや選挙制度改革といった重要課題を全て乗り越えられるとお考えでしょうか。これらの課題を総合的に組み立て、実現していくためには、「政治の力」を要するわけであり、各省が行政の発想で描く絵のとおりには決して事は進みません。

 何を為すこともなかった2代にわたる「亡国の宰相」の轍を踏まない為にも、賢明なる回答を野田総理に心から期待し、私の質問を終わります。

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