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第25回参議院議員選挙の結果を受けて 安倍総裁記者会見 全文

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(はじめに)

ここ数日の、西日本を中心とした大雨では、各地で被害も発生しており、被災された方々には、心よりお見舞いを申し上げます。国民の皆様には、今後とも、自治体の避難情報などに、十分、警戒をしていただくとともに、政府としても、万全の対応を整えてまいります。

今回の参議院選挙は、全国的に雨の日が続き、地域によっては大雨による災害も懸念される中での、選挙戦となりましたが、そうした中でも、多くの皆さんが投票所へと足を運んで下さいました。まず冒頭、心より感謝申し上げます。

この選挙、最大の争点は「政治の安定」でありました。

参議院選挙は、政権選択の選挙ではありません。しかし、政治の安定に直結しています。

12年前、参院選の大敗によって、国会に「ねじれ」が生じ、混乱の中で、あの民主党政権が誕生した。そして、決められない政治のもと、経済は低迷しました。

令和という新しい時代を迎え、あの混迷の時代には、絶対に逆戻りさせてはならない。「安定か、混迷か」との私たちの訴えに、街頭で、多くの皆さんが足を止め、耳を傾けて下さいました。

そして、連立与党で71議席。改選議席の過半数を大きく上回る議席を頂きました。

「安定した政治基盤の上に、新しい令和の時代の、国づくりをしっかりと進めよ!」と、国民の皆様からの力強い信任を頂いたことに、厚く、厚く御礼を申し上げます。

わが党としても、前回、3年前の参議院選挙を上回る議席を頂きました。参議院選挙で、3回連続、これだけの議席を得ることができたのは、大平・中曽根総裁以来のことであります。

そして、衆議院も併せれば、6回連続、国政選挙において、国民の皆様から、自民党への強いご支持を頂くことができた。本当に身の引き締まる思いであります。

自民党の総力を結集し、党一丸となって、令和・日本の新たな国づくりを力強く進めていかなければならない。その確固たる決意を、今、ここにいる同僚議員とともに、新たにしております。

(全世代型社会保障)

最大の課題は、少子高齢化への対応です。

令和初の国政選挙であった、今回の選挙では、街頭において、高校生の皆さんや、小さいお子さんを連れたご家族が、これまで以上に多く、私たちの主張に、真剣に、耳を傾けてくださいました。

そして、10代、20代、30代。まさに令和の時代を担う、若い世代の皆さんから、私たち自民党は強い支持を頂くことができました。

10月から、消費税を財源として、3歳から5歳まで、すべての子どもたちの幼児教育・保育を無償化いたします。来年4月からは、真に必要な子どもたちへの高等教育も無償化します。

戦後、日本国憲法によって実現した小・中学校9年間の無償化以来、70年ぶりの改革です。

お約束したとおり、実行に移してまいります。

子育て世代の負担を軽減し、未来を担う子ども達に大胆に投資することで、家庭の経済事情に関係なく、子ども達の誰もが、自らの夢に向かって頑張ることができる。そういう社会を創り上げてまいります。

高齢者の皆さんの安心も、しっかりと確保します。

特に、厳しい状況に置かれている方々にこそ、光を当てていく。これは、政治の責任です。10月から、低年金の皆様に対しては、最大年6万円を支給します。介護保険料の負担も3分の2に軽減します。

同時に、意欲ある皆さんには、70歳までの就業機会を確保する。働く意欲を削ぐことのないよう、在職老齢年金の在り方も見直します。年金の受給開始時期を遅らせ、その分、月々の年金額を最大40%以上増やすことができる。そうした選択肢を更に拡大いたします。

少子高齢化の進展は、ピンチではありますが、他方で、人生100年時代の到来は、大きなチャンスでもあります。

お年寄りも若者も、女性も男性も、障害や難病のある方も、誰もが生きがいを感じることができる。一億総活躍社会の実現に向けた取組を一層強化していきます。

そのためにも、子ども達から、子育て世代、現役世代、高齢者の皆様まで、すべての世代が安心できるものへと、社会保障全般にわたる改革を進めていく。国民の皆様の声によく耳を傾けながら、今後、更に具体的な議論を加速してまいります。

(アベノミクス)

この6年間、生産年齢人口が500万人減る中にあっても、三本の矢の経済政策によって、雇用は逆に380万人増えました。社会保障の支え手が、しっかりと厚みを増したことで、今年の4月、年金額を増やすことができました。

安心できる社会保障の基盤。それは、強い経済であります。

10月からの消費税率引上げに対しては、教育の無償化に加え、思い切ったポイント還元、プレミアム商品券の発行、そして、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十二分の対策を講じることで、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えしてまいります。

貿易摩擦、英国のEUからの離脱など、世界経済の先行きには不透明感がありますが、景気の下振れリスクには、躊躇することなく、機動的かつ万全の対策を講じていく考えです。

これからも、経済最優先。

今回の選挙で得られた安定的な政治基盤の上に、安倍内閣は、これまで以上に積極果敢な経済政策に取り組んでまいります。

(憲法改正)

この選挙では、憲法改正も、大きな争点となりました。

憲法改正を最終的に決めるのは、国民投票。すなわち国民の皆様です。そして、その案を議論するのは、私たち国会議員の責任です。

しかし、その改正原案を審査すべき憲法審査会は、野党の協力が得られず、この1年間、衆議院ではわずか2時間余り、参議院ではたった3分しか開かれていません。

街頭演説のたび、議論を前に進める政党を選ぶのか、それとも、議論すら拒否する政党を選ぶのか?今回の参議院選挙は、それを問う選挙だと、私は、繰り返し申し上げてきました。

少なくとも「議論は行うべきである」。これが国民の審判であります。野党の皆様には、この民意を正面から受け止めていただきたい。今後は、憲法審査会において、与野党の枠を超えて、真剣な議論が行われるものと確信しています。

わが党はすでに、自衛隊の明記、教育無償化など4項目について、憲法改正のたたき台を提示しています。

立憲民主党をはじめ、野党の皆さんにも、是非、それぞれの案を持ち寄っていただきたい。そして、憲法審査会の場で、憲法のあるべき姿について、是非、活発な議論をさせて頂きたいと考えます。

衆参両院で3分の2というハードルは極めて高いものでありますが、そうした議論を深める中で、与野党の枠を超えて、3分の2の賛同が得られる改正案を練り上げていきたい。

私たちのたたき台は、最善と考えるものを提案させて頂いていますが、この案だけにとらわれることなく、柔軟な議論を行っていく考えです。

令和の時代にふさわしい、憲法改正案の策定に向かって、衆参両院の第一党として、わが党は、今後、強いリーダーシップを発揮していく決意であります。

(おわりに)

10月には、今上陛下の「即位の礼」が執り行われます。世界中の首脳たちを日本にお迎えします。

そして日本で初めてのラグビー・ワールドカップも開会は9月20日。その次には、2020年のオリンピック・パラリンピック。いよいよ、あと1年となりました。そして、2025年には、大阪・関西万博が開催されます。

まさに世界の真ん中にあって、国民の皆様とともに、新しい令和の時代の国づくりを力強く進めていく。そのことが、この参議院選挙で頂いた、国民の皆様からの負託に応える道であると確信しております。

安倍内閣の更なるチャレンジに、国民の皆様の御理解と御支援を賜りますよう、心からお願いいたします。

私からは、以上です。