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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員連絡会後)

平成27年7月31日(金) 10:32~10:53
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣 禎一幹事長

本日の役員連絡会ですが、高村副総裁からのご挨拶で、平和安全法制の審議について、進むことを期待しているが、政府もしっかり、党の方も遺漏なきよう対応したいというお話でした。
私(谷垣幹事長)からは、平和安全法制について連日、参議院でご審議をいただいて、衆議院と違って参議院の方では与党質問の時間もかなりとって政府側からの答弁もうまく引き出していくというようなことも成果が出ているのではないか。ただ発言には十分注意していこうということを申しました。もう一つは、TPP交渉も大詰めを迎えているので党としても内容を注視していくというようなことを申し上げた次第です。
吉田参議院国対委員長からは、本日の本会議と平和安全特別委員会の日程についてご報告がありました。
岩城参議院副会長からは、溝手参議院議員会長が鳥取県・島根県へ合区の説明・意見交換で出張しているというご報告がありました。
伊達参議院幹事長からは、3日間の審議は充実していたのでこれからも緊張感を持ってやっていきたいということでした。
佐藤国対委員長からは、本日の本会議の日程と、予算委員会の集中審議は8月7日(金)の方向で調整中であるというご報告がありました。
茂木選対委員長は本日、島根県・鳥取県に出張中のためご欠席です。
稲田政務調査会長からは、TPP交渉を注視していきたいというご発言がありました。

以上です。

質疑応答

朝日新聞の笹川です。平和安全法制について、「法的安定性は関係ない」とおっしゃる礒崎首相補佐官の委員会招致が3日(月)にありますが、まず国会でどのような説明をされるべきとお考えでしょうか。
それは礒崎首相補佐官に聞かないと分かりませんが、文字起こししたものを見ましたが、「法的安定性は関係ない」というご発言ですが、それは舌足らずであることは事実なのですが、常識的に言って「法的安定性の問題を指摘する人があるが、それは十分意識しながら対応を考えてきたので、法的安定性の問題はいまさら問題になるような問題ではない。クリアしている」という趣旨のことをたぶんおっしゃったのだろうと私は思うのですね。私はだから、そのことをしっかりおっしゃればいいのではないかと思います。ただ、やはり我々がしっかり意識しておかなければならないのは、あることを一生懸命説明したいと思いますと、ややその周辺的なことが舌足らずになったり言葉がおろそかになったりすることがありますので、それはやはり注意していかなければいかんということではないかと思っています。
朝日新聞の笹川です。野党の方からは「礒崎首相補佐官を更迭すべきである」など進退に関わるような声が挙がっていますが、幹事長としてはどのようにお考えですか。
磯崎首相補佐官が本当に「法的安定性なんか政治家が考慮すべき問題ではない」と断言したのなら、それは問題があると私は思いますよ。しかし常識的に考えて、そのようなことをおっしゃるはずがないので、それは、舌足らずはないほうがいいが、また舌が長すぎるのも回転がよすぎてよくないのですよね。そういうことではないでしょうか。
NHKの瀧川です。本日の役員連絡会では、加藤官房副長官の方からお詫びがあったということですが、具体的にどのようなご発言でしたか。
はい。「誠にご迷惑を掛けた」というご発言はございました。
NHKの瀧川です。幹事長の「発言には注意していこう」というご発言も礒崎首相補佐官の発言を念頭に置かれてのものですか。
磯崎さんの発言に限らず、私は今までも、全体何が行われているのか、周囲の状況を見て発言をするという点について、やや舌足らずと申しますか、あるいは舌が長すぎる場合もある。そこはやはり注意すべきことであると感じておりましたので、そういうことを含めて申し上げました。
テレビ朝日の大瀧です。本日、広島県で自民党所属の広島県議が平和安全法制の廃案を求める会見を開くということなのですが、地方の自民党所属の議員からこのような声が挙がってくるということに関して幹事長はどのようにお考えですか。
それは、今まで聞いておりませんでしたので、今、コメントするだけの判断材料がありません。どういう状況なのか少し聞いてみたいと思います。
北海道新聞の徳永です。TPPについて、今、交渉の正念場というか大詰めを迎えていると思いますが、そのなかで今までの交渉への全体的な評価と、仮に妥結した場合の内閣支持率への影響はどのように出るかなど、どのように見ていらっしゃいますか。
今までは相当厳しい交渉だったのですが、甘利経済再生担当大臣を先頭にわが国の国益をしっかり維持するように、そしてもちろん全体はアジア太平洋地域の新しい通商関係を切り開いていこうということで、積極的な意義があるわけですが、それに向かって相当粘り強い努力をされてきたと思います。なかなか今も交渉の状況は最後に向かってかなり厳しいものもまだ残っているようですが、頑張っていただきたいと思っております。それから、支持率にどういう影響を与えるかというのは、結果を見て「こうだったのか」とか「予想していた」とかはあるかもしれませんが、今の段階でコメントするのは差し控えたいと思います。
共同通信の比嘉です。参議院で平和安全法制の審議が始まりましたが、幹事長がおっしゃったように、与党質問が増えて、それと同時に安倍総理や中谷防衛大臣が中国という国名を挙げた具体的な議論が出てきたように見えます。これは衆議院ではなかったような特徴かと思いますが、一方で中国の名前を挙げることで改善している日中関係に影響があるのではないかという声もあるのですが、その点はどのようにお考えですか。
私は、こういう安全保障法制を作るに至った、「すき間のない」ということを政府は今までも説明してきたわけですが、基本的にわが国をめぐる安全保障情勢と申しますか、そういうものの変化が背景にあると思っているわけです。その変化はいろいろな説明の仕方があるのだと思うのですね。人によってどこに重点を置くかというのも違っているかもしれません。私は、やはり今までのいろいろな考え方をずいぶん変えないといけないなと思うことが、いろいろな議論を聞いておりますとたくさんございまして、例えば、サイバーとか、おそらく今、わが国でやっておりますいろいろな、マイナンバーなどいろいろなことをやっております。それから例えば、話は違うかもしれませんが、車なども無人で運転できるような仕組みが、あれは結局、衛星からの情報とか、GPSの情報とか、正確には知りませんが、ああいうものを前提にそういう体系ができるのだと思います。しかし、そういうものをコントロールしているような衛星を仮に破壊されるというようなことが起こったら、一辺に混乱が起こるというようなことがないわけではないのだろうと思うのです。ですから、こういうサイバーとか宇宙空間とか、そういうものを巡る安全保障の環境とか、戦略環境などは大いに変わっていると思います。
これはややちょっと今までにない事態だなと思いますが、昔からのいわば古典的な問題としては、やはり力のバランスが変わっているということだろうと思います。その力のバランスが変わっているということは、今までもいろいろなことが折々起こってきているわけですが、今までずっと見ていますと、やはりこのところで大きかったのは、東西冷戦という構造が終結して次のフェーズに移ったというときがあったと思いますね。そのときにサダム・フセインがクウェートに侵攻したというようなことがありました。現在を見ておりますと、これは長い間続いた傾向ですが、わが国周辺ではやはりかつての1960年代辺りから比べますと、圧倒的な力のあったアメリカが、相対的には今でも大変な超大国ではありますが、かつての圧倒的な力、これは今に始まったわけではありませんが、相対的にやはり力は縮小しているということだと思います。それにやはり拮抗してくるのは、これはアメリカの長い傾向よりはやや最近の傾向ですが、中国の力の増強というのがあると思うのです。そういうバランスの変化を例にとった議論があり得るというのは当然のことだと思いますが、私が強調しておかなければならないのは、そういう力のバランスの変化を挙げるときに、では「例えば中国が仮想敵国である」というような理解をされないように、そういうとられ方のないように注意深く発言をしなければいけないと思っております。要するに、力のバランスの大きな変化が起きるときというのは、過去も、対応を誤るといろいろな紛争なり戦争の原因になっているということは、歴史上、枚挙にいとまがない。そういう大きな力のバランスの変化の過程にある。もちろん軍事技術が違ったりいろいろなことも違ってきておりますが、私はそういうことだと思っております。だから、では具体的に何が起こっているかということを言うと、そういう例をとる場合が多いのですが、あくまで注意をしておかなければならないのは、わが国は中国を仮想敵国としているわけではないし、またそういう取られ方をしてもいけないということではないかと思います。
それからさらにもう一つ申し上げますと、これは度々、あるいはこういうところでも申し上げていると思いますが、私どもの基本的な考えは、抑止による未然の紛争の防止というのを相当重視しているわけですね。抑止というものもある意味では、「抑止のため」といって過剰なものを抑止の準備としますと、相手に警戒心を与えるというようなことが起きてくると思うのですね。逆に全くすき間があっても、あとから「不測の事態だ」と言い繕っては意味がないし、要するに抑止を考えるに際してもバランスというものがあるのだと思います。そのように考えたときに、わが国が考えておかなければならないのは、過剰な抑止というのは警戒感を与えるだろう。しかし適正な抑止力というものを整備していくことが、向こうからも日本との友好関係を作っていった方が得策であるなという刺激というかインセンティブにもなり得る。その辺りを注意深く見守ってやっていくということが、私は大事なのではかと思います。
共同通信の比嘉です。そうしますと、現在行われている参議院の審議をこれまで幹事長がご覧になって、その辺りのバランスについてはどのようにお考えですか。
これはなかなか難しいのですね。つまり、「抽象的な説明で条文を引用しているだけではないか」というご批判もある。「もっと具体的にやれ」と。具体的にやるとなりますと、今のようなバランスの変化でいろいろな議論をしますと、「それは相手に刺激を与えすぎるのではないか」というようなことで、なかなかこれは難しい。そこは苦労されながら答弁をされていると思います。
産経新聞の清宮です。参議院選挙の公認について、公認にあたってどのような基準で選ばれるのか、発表のタイミングはいつになるのか、また合区対象区の候補者調整についてどのようにされるのかについて伺います。
大変難しいご質問で、公認の判断基準は何かという、そういう難しい問題が記者会見で出てくるとは思わなかったのですが、そう言われると答えも構えてしまいまして、やはり人物識見、しっかりした方であることが必要であるのはもちろん当然のことですし、それとやはり、人物識見はしっかりしていてもなかなか選挙的には勝ちにくい、難しいという方もいらっしゃると思いますね。やはり選挙をやる以上は勝てる候補は誰だということに当然なっていくだろうと思います。それと、これは比例代表と選挙区でも違いますが、やはりできるだけこの地域に根付ける方というか、根を生やし根を下ろせる方であってほしいと私は思っています。少し抽象的な答えになりましたが、そういうことです。
産経新聞の清宮です。合区対象区の候補者調整についてはいかがでしょうか。
合区対象区の方々は、これは本日、鳥取県・島根県に茂木選対委員長と溝手参議院議員会長、そして岡田参議院議員が出向いており、明日は私と伊達参議院幹事長と鶴保政審会長で高知県・徳島県に伺いますが、やはりまずそこでいろいろお話を伺うことが第一歩だと思います。ですから、まだお話を伺う前に「あの地域ではどうする」というのは少し早いかなと思います。発表のタイミングとしては、来週に第一次公認を発表することで今、茂木選対委員長が作業を進められていると思います。
東京新聞の宮尾です。報道に圧力をかける発言で幹事長から注意を二度受けた大西衆議院議員が、昨日の党の部会で、「原発に批判的なテレビのコメンテーターのところに出かけていって、各個撃破せよ」と資源エネルギー庁の幹部に要求したということです。役所の方が自らの判断でそういうことをするのはまだ分かりますが、与党の国会議員がそのように役所に働きかけるというのはいかがなものかと思いますが、いかがですか。
これはいろいろなケースがあると思うのですね。従来も、皆さんには失礼ですが、例えば報道ぶりを拝見してあまりにも事実誤認があるとか、制度の趣旨を全く分かっていないなどというような場合には、それはまず誤解を解くという必要がある。これは役所が直接判断していったこともあるかもしれません。私自身も32年やっておりますと、「あんまりちょっと誤解があるぞ。もう少し理解を求める努力をしろ」というようなことを役所に申したこともなかったわけではありません。これはやはりいわゆる思想信条の違いに基づくような場合で判断が分かれるというような場合は、私はあると思います。そういう場合に、思想信条の違う人を「おい、洗脳してこい」というようなことは、私はいかがなものかと思います。しかし、明らかに事実誤認であったり、制度の趣旨を誤解されたりするような場合は、誤解を解くというのは当然あっていい行動ではないかと私は思っています。むしろ放置をするというのはよくないのではないかと思います。ただ誤解や制度に対する理解といっても、これはさまざまありますから、今、理念的に思想信条に基づくものと誤解に基づくもの、線引きは具体的に言うとなかなかデリケートなことはあるかもしれませんが、私はそういう基本的な考えとして、誤解に基づくようなものは誤解を正すということを怯んではいけないとむしろ思っております。