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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員会後)

平成27年3月2日(月)17:55~18:15
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

(役員会の内容説明)

本日の役員会ですが、安倍総裁からは、今予算審議中だが身を引き締めて対応したい。また、福島県訪問のご報告がございまして、常磐道開通式、中間貯蔵施設の除染土の搬入が決まったこと、それから福島県の食材をウィリアム王子に食べていただいたというようなお話でございました。それから、8日(日)の党大会は、統一地方選挙に向けて弾みをつける大会としたいということでした。
高村副総裁からは、安保法制に関する与党協議について、できるだけ早く決着できるようにしたいというお話がございました。
私(谷垣幹事長)からは、予算審議で今安倍総理はじめ閣僚にご苦労をいただいているが、政府におかれては引き続き丁寧に説明責任を果たしていただきたい。そして、政府・与党連携しながら一日も早い衆院通過、年度内成立を目指して頑張ろう。また、今まで我が党はコンプライアンス等の制度をいろいろ工夫してまいりましたが、こういったものの活用をこの際もう少し徹底しようというようなことを私は申し上げました。それから、8日(日)は自民党大会だが、統一地方選挙に向けて必勝を期すための大会だが、知事選あるいは政令市長選と対決型の厳しい選挙もあるので、自公連携して勝利を目指していきたいということを申しました。
佐藤国対委員長からは、予算委員会の日程、また9日(月)に地方公聴会を行うことが決定されたこと、年度内成立に向けて引き続き努力していきたいということでした。
二階総務会長からは、地方選の取りこぼしがないようにやっていこうというようなお話がありました。

以上です。

質疑応答

NHKの瀧川です。コンプライアンスの制度を活用しようというのは、当然政治資金の問題が相次いで指摘されていることを受けての対応なのでしょうか。
これは私がかねがね言っておりますように、今起こっている問題は、昔のように裏金で賄賂と思しきカネが動いたというような問題、昔はそういうことがしばしば問題になったわけですが、今は、かなり制度はできてきて、いろいろそれから政治資金報告書というようなものも公開が義務づけられるというような形になっているわけですね。ですから、大分昔とは局面が違うので、そういう問題になっているのも報告書を公開したものの分析等々からそういう問題が起きてきていることが多い。そうすると、やはり報告書を提出するにも、法律の知識、この制度の知識が不十分のままに一知半解でやるといろいろ問題が起きてくる。そういう現象があるのだろうと思います。したがってそういう面は、疑問を感じた場合はコンプライアンス室を活用してもらう。それから既にここでも申し上げたことがあると思いますが、こういう政治資金報告書等々、提出してもらえば党の方でチェックする態勢を整えてある。こういうのをやはり活用してもらいたいし、特に若い議員の方には今から政治資金規正法等々、先生方自身がということももちろんありますが、事務所態勢としてもそういう政治資金規正法等によく留意していただいて、レベルを高めるというか理解度を深めていただくようなことをいろいろなところでやっていく必要があるのではないかということですね。そういうことを今考えております。
NHKの瀧川です。昨年の段階で秘書さんを対象にした研修会を行うという計画があったと思うのですが、これについてはいかがですか。
昨年解散になりましたので、選挙法規等については若干、「よく気をつけるように」ということを申しましたが、この政治資金関係については必ずしも十分できているわけではありませんので、もう一回いろいろな形で、先ほど申し上げたようなものの利用というか活用を検討してもらいたいということをいろいろな機会に言っていきたい、周知していきたいと思っております。
NHKの瀧川です。秘書さんの研修も改めて機会を設けるということですか。
まだ秘書さんの研修まではすぐに考えているわけではありませんが、さしあたって当選年次の低い方々にどうするかというのは何か考えていこうと思っております。
TBSの加納です。自民党の船田憲法改正推進本部長が、TBSの番組で自民党の憲法草案が「ほとんどズタズタになる」というお話をされました。これに対して民主党の議員から、改正することがまず目的なのではないかという趣旨の発言があったのですが、これに対して幹事長はどのようにお考えですか。
「改正することが目的」というのはどういう意味でしょうか。
TBSの加納です。「憲法改正したいだけで中身はどうでもいいのではないか」という趣旨の発言があったのですが、この発言に対してはどのようにお考えですか。
「中身がどうでもいい」というのはいささか乱暴なご議論をされているなと思います。憲法改正するのに「中身がどうでもいい」などということはあり得ないですね。ただ、私どもが考えているのは、やはり皆が今の憲法は少し「この点は欠けているね」とか「この点は少し表現上から見ても必ずしも現状と違うのではないか」と思うようなところがあって、実際議論してみると自民党だけでなく多くの方が「その辺は考える必要がある」と思っているところがかなりあると思います。ですから、まずそういうところから手掛けてみるというのが一つの考え方であって、決して「中身がどうでもいい」という話ではありません。
   少し脱線をしますと、昔私が司法試験受験生のときに「こういうところが憲法の問題で出されたらどのように書こうか」というような難しいものがいくつもございました。「何が」というといけませんが、例えば憲法の条文だけを見て「私学助成がなぜできるのか」というもの。答案ですからそれほど長い時間かけて大論文を書くわけではありませんが、すとんと通る答案を書くというのはなかなか簡単ではなかった。私が一生懸命ノート・メモを作っていたら、私は何度も落第したのですが、あるぱっと受かった友人が「お前、そんなの出るわけがないだろう」と言われた。「なるほど、頭のいい人はそうなのか」と思ってびっくりした思い出があります。要するに、憲法上から私学助成を認めるというのは、美しく言えば、論理の文を尽くさなければ、華麗な論理を展開しなければなかなかできないわけです。つまりそういうところはなかなか正直にぱっと条文を見ると、今の憲法ではなかなか問題をこなしにくくなって相当いわゆる法律技術を尽くして制度を作っているという面があります。もう少しすとんと、そのような法律技術の粋を尽くさなくても、骨太の論理ですとんと通るような方がいいに決まっているのだと私は思います。これについてもいろいろな考えはあると思いますが、私は多くの方がそういうように感じているような、別に今そこのところを特定して言っているわけではありませんが、こういうところがやはりいくつかあるのは事実だと思います。
NHKの瀧川です。本日の役員会の中で、総理の「身を引き締めて」というご発言や幹事長の「丁寧に説明責任を」というご発言などは、何か特定の問題を指してのご発言なのでしょうか。
特定の問題というか、そこはつまびらかな議論をしたわけではないのですが、当然のことながら今政治とカネの問題が起こっているとき、やはり説明責任ということも求められていると思いますので、そういうような総理のご言及もあったと思いますし、私も「説明責任を尽くせ」ということを申し上げたわけでございます。
東京新聞の宮尾です。川崎市の中学生殺害事件に絡めて、少年法の改正を議論すべきだという意見が出ていますが、それについて法務大臣もご経験された幹事長は何かアイデアをお持ちでしょうか。
少年法の改正について、私は今特段の熟した考えを持っているわけではありません。私は、実は昔「酒鬼薔薇聖斗事件」というのがありましたときに、私が提案者になって少年法の改正をやったことがあります。それに今何を少年法としてやるべきなのかまだ私自身の頭の中で整理ができているわけではありませんので、おそらく議論は煮詰めていただいたらいいと思いますが、事柄はなかなかそう簡単ではないのだろうと思います。通常の法体系ですと、個人の生活に立ち入っていくということは抑制的であり、場合によってはそういうことには令状などを要求するような体制になっているわけですが、今回の問題は、犠牲になったお子さんの助けを求める声に大人がその耳に届いていたのかというようなことが、まだ全貌はよく分かりませんが、そういうようなことがいろいろ今議論されつつあるのだろうと思います。事柄が少年法の問題だけなのかどうか私もまだ論点を整理できていませんが、なかなかここらは、要するに通常であれば令状等を要求してある意味で縛りをかけている分野が、少年事件等々の場合にはなかなそういうことでは本当に助けを求めている子供たちに対して手が届くのかといえば、なかなか仕組みの上でも難しい問題もあるのだろうと思います。ですから、少年法はどちらかといえば司法的な手法、一般の刑事事件とはやはり違いますが、司法的手法だけでうまくいくのか、もう少しいろいろな行政的な多様な仕組みを合わせていかなければいけないのか、問題は制度なのかどうなのかなど、いろいろなことを考えなければならないので、長々と申しましたがまだ私の頭の中では十分整理ができていないというところでございます。
東京新聞の宮尾です。国民投票の投票権の年齢が18歳に引き下げられましたが、それとの関係で、少年法の成人年齢との整合性についてはいかがお考えですか。
どちらかというと18歳という国際的基準に合わせて投票権を与えろという議論が今までリードしてきているわけですね。しかし、皆対象にしたがって一律に決めなければならないということは必ずしもないのですが、事柄がやはり国民生活等々についての決定権に参画するということになると、大人としての扱いを刑法・刑事の分野でもする必要があるのではないか、特に、選挙犯罪みたいなことになると、そういう必要があるのではないかという議論は当然あり得ると思います。ただ他方、現実問題やはり少年の人格の可塑性ということで少年法はできている。これは、投票権を与えるということとある意味では矛盾する面かもしれませんが、現実に日本の18歳から20歳までの若い方たちが十分に人格を完成させているかというか、やはり可塑性ということでまだこれからの将来の成長に期すべき部分があるとすると、ここは極めてある意味では整合性を取るのは結構難しくて、極めて判断は難しいところだと思います。私の考えはどちらかというと、直ちに刑事司法の年齢を一律に18歳に引き下げてしまうことは現実的かというと、私はそうとは言えないのではないかと思います。さらに言うならば、投票権を18歳に引き下げるのを決めたとき、私はややリラクタントであったわけです。しかしそういう決定で前に進んでいるわけですから今さらリラクタントだとこの点では申しませんが、刑事法との関係では難しい問題が残っていると思います。