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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員連絡会・政府与党連絡会議後)

平成26年12月26日(金)12:46~13:23
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣 禎一幹事長

まず今朝の役員連絡会ですが、高村副総裁からは、民主党の代表選がこれからあるわけだが、民主党としてもしっかり再建していただきたい。「それでもやはり自民党だ」と言われるような仕事をしていきましょうということをおっしゃっていました。
私(谷垣幹事長)からは、三日間の特別国会も今日で終わりとなり、来年の通常国会までは税制や予算編成作業等々、あるいはさらに選挙のお礼等、多忙な日が続くと思いますが、これだけ議席をいただいた与党として、国民は我々の言動を常に注視しているので、与党議員である使命感と責任感を持って、脇を締めて活動していただくよう、よろしくお願いするというのが、私から申し上げた第一点です。
それから、佐賀県知事選挙はやや保守分裂という状況になっているわけですが、勝利を目指していきたいということを申し上げました。
もう一つは、党則79条機関の安全保障法制整備推進本部長ですが、今までは中谷元衆議院議員がやられていましたが、防衛大臣になられまして、江渡聡徳衆議院議員にご就任をいただくことになる。よろしくお願いするということを申し上げました。
また、今年の役員連絡会は今日で終わりだが、来年は1月6日(火)10時から仕事始め、それから役員会、役員連絡会となるのでよろしくお願いするということを申し上げました。
あとは国会日程等いろいろご報告がございましたが、林議運委員長から、選挙制度調査会は、解散になって新しい国会となったが継続の手続きを議運でするというご報告がありました。
次に政府与党連絡会議ですが、総理と山口公明党代表のご挨拶についてはメディアが入っていたところです。あとは私から、与党で絶対安定多数以上の議席を獲得することができたのは、ご一同のご協力の結果で、心から感謝したい。ただ選挙結果に驕ることなく、引き続き政府・与党協力して、謙虚で丁寧な政権運営を進めていきたい。また年末年始にかけては、経済対策や税制大綱や予算編成の作業があるわけですが、選挙の間にいろいろお約束したこと、あるいは有権者と対話されたことを踏まえて、期待にたがわぬような仕事をしていきたいということを申しました。
井上公明党幹事長からは、総選挙については自公の選挙協力は非常にうまくいった。統一地方選挙にもしっかり取り組んでいきたい。それから復興にもしっかり取り組みたいというお話があったところです。
私からは以上ですが、これで会見をさせていただくのも今年はおそらく最後になるのだろうと思います。大変この一年皆様にご協力をいただきました。特に9月に幹事長に就任してから、大変お世話になりましたことを心から御礼申し上げたいと思います。ただまだ予算編成等続きますので、引き続きいろいろご厄介をかけると思いますが、どうぞよいお年をお迎えになるように心からお祈りをしたいと思っております。いろいろとありがとうございました。

質疑応答

共同通信の比嘉です。先ほどお話がありました佐賀県知事選についてうかがいます。幹事長以外のどなたかから発言があればご紹介いただけますか。
茂木選対委員長からももう少し私の発言より詳細な発言がございました。いろいろな問題があるが勝利を目指して頑張ろうということですね。
共同通信の比嘉です。佐賀県知事選は、保守分裂の理由として農協改革への反発があると思いますが、そのあたりはどのようにお考えですか。
その辺の議論が若干あるように思います。
毎日新聞の影山です。官邸で政府与党連絡会議に入られる前に総理と対話されていたと思いますが、どのようなやりとりをされたのでしょうか。
大きく言えば今年一年の総括というか、特に私が幹事長を拝命して以来、特に大きな案件としては選挙があったわけですが、いろいろその選挙をめぐって分析もこれから本格的に進めなければいけないのですが、今感じていることを意見交換したということですね。
時事通信の大沼です。昨年総理が靖国神社を参拝されてからちょうど今年で一年になりますが、先ほどの総理との対談で靖国神社参拝についての発言は何かありましたか。
いえ、特にそういうお話はしておりません。
読売新聞の天野です。24日の首班指名の後のインタビューで、統一地方選について「これに勝って初めて完成するのだ」という発言があったと思いますが、このあたりをもう少し詳しくお聞かせいただいて、改めて統一地方選への思いをお願いします。
もちろん国政を考えるときに、国会でしっかりした安定的な基礎をいただかなければいけないわけですが、この間の首班指名も、我々が政権に戻ったときの首班指名はいわゆる「ねじれ」がまだ残っておりましたので多少時間がかかったわけですが、今回すっきりいったのは、国会の中では衆参ともに安定した過半数をいただくことができた。これは非常にありがたいことです。ただ国政は結局国会だけで国全体を動かしていくことはできませんので、やはり地方選挙、それから地方議会、それぞれの自治体というものも一緒になって活動しなければいけない。そういう意味では、統一地方選挙というもので勝ちをしめて初めて衆参と地方議会で、三位一体というと表現が適切かどうか分かりませんが、安定した政治運営が進めていけるということだと思います。これはどこの党にとっても多かれ少なかれそういうことだろうと思いますが、私はやはり保守主義というのは国会で優秀な人材を抱えて、国会で極めて活発な論戦ができるだけでは保守政党として十分ではないのではないかという気持ちを持っております。国会議員もそうですが地方議員も併せて、地方にどれだけ根を生やし根を下ろしていくか、そして地方の声をどれだけきちんと吸い上げるというか汲み取ってこられるかというのは、保守主義にとって極めて大きな要素だと思っておりますので、統一地方選挙はそういう観点からも重視していきたいと思っております。
テレビ朝日の千々岩です。先ほどお話にもありましたが、野党第一党の民主党が代表選を迎えるということで、岡田民主党代表代行などいろいろな名前が出てきていますが、対する野党第一党にどういう代表選を望むか、そしてどういう党のあり方を望むか、幹事長としてお考えをお聞かせください。
これはどういう代表選を望むかと言われましても、それはまず民主党がお決めになることですから、対立党からあまり差し出がましいことを申し上げるのは控えなければいけないと思います。ただ、民主党も政権を担う経験を積まれて、やはり政権を担う経験というのは決してその党だけのものではないですね。私どもも長い間政権を担わせていただきました。そして政権を担うノウハウとかスキルというのも、担わないとなかなかできないものです。やはり政権を担ったスキルやノウハウは、決してその党だけのものではなくて、その国の政治あるいは国民全体にとって非常に意味深いものだと私は思っておりますので、そういう政権運営の経験を積まれた民主党がどう態勢を立て直してこられるのかというのは、一国の民主制にとって極めて重要な問題だと思っております。非常に関心を持って向こうの選挙戦も見てまいりたいと思っております。
TBSの加納です。幹事長に就任されてから三カ月が経ちました。総理と幹事長はこれまでも節目節目で面会されて、幹事長は様々な役割を果たしてこられたと思いますが、この三カ月の総理と幹事長の関係性ついてうかがいます。「楕円の理論」を幹事長はお話されていますが、まずこの三カ月の総括をお聞かせください。また来年以降安保法制が本格化します。野党側も国会でまず審議をしてほしいということを求めていますが、幹事長は総理に対してどのようなことを求められるか、総理との関係性についてうかがいます。
「楕円の理論」というとえらく堅苦しいわけですが、やはり政党も、自民党も昔に比べて多様性がなくなったというご批判もありますが、人はおのずから一人ひとり個性もあります。ですから、そういう意味ではそれぞれが言いたいことを言う関係というのは必要だと思いますね。ただ最後はまとまらなければ烏合の衆だということになってしまいますので、そういう意味で、総理と幹事長が、やはり人間四角四面に意見を言い合うわけではないがいろいろ話していると相手の考え方とか感じが伝わりますよね。だからそういう回を重ねていくことが大事ではないかと思います。来年は安保国会ということにおそらくなるのだろうと思いますね。今法案も準備をされていっていると思います。これは総理もたびたび言っておられますが、丁寧な説明をしていかなければならない。私も当然のことだろうと思います。特に一国の安全保障というのは、国民がまったく理解をしていない、「こういうことではだめだよね」と多くの国民が思っていたらやはりうまくいかないものだと思います。多くの人が「なるほど、日本の安全保障はこういう方向でいいのだ」と思ってこそ効果が出てくる。したがって当然のことながら国会でしっかり議論をしていくということを避けて通るのは愚策だと思いますね。
日本経済新聞の酒井です。沖縄の予算関係について、振興予算が来年度削減するという報道が出て、今日午前中の官房長官会見でも削減の方向に含みを持たせる発言をされました。背景には知事選、また衆院選小選挙区での自民党全敗というのがあると思いますが、来年度の沖縄の予算について幹事長はどのようにお考えですか。
これは今まで相当いろいろな配慮があったことも事実です。ただ全体の予算の立て方から言いますとなかなか厳しいところがあるのは事実だろうと私は思います。多分そういうことを踏まえて官房長官のご発言があるのだと思います。要するに全体の財政事情というのも勘案しなければならないということでしょう。ただ全体的にどうだという話ではありませんので、一つ一つきちんと丁寧に見ていくということに尽きるのではないでしょうか。
日本経済新聞の酒井です。辺野古への普天間基地移転について、総理と知事の考え方が違うというのも背景にあると思いますが、そことの関係性はいかがですか。
いや、これはそれが背景にあるということではなくて、今申し上げたように、一つ一つそれが必要なものなのかどうかチェックするのは当たり前のことなので、ばっと「これでどうだ」ということでどんと積み上げるというような話ではおよそ元々ないわけですから、一つ一つ沖縄に必要なものなのかどうかという判断をしていくということではないでしょうかね。
NHKの瀧川です。来年度の予算案についてお聞きします。編成が今回越年になる。成立はあくまで年度内の成立を幹事長としては目指すのか、暫定がやはり必要になってくるとお考えなのか、このあたりの見通しをお聞かせください。
来年度いつ召集してどうなるかまだ完全に固めきったわけではありませんので、今あまり先のことをしっかり申し上げられる準備はないのですが、しかし当然のことながら予算というのは年度内成立を目指すというのは大原則だろうと思います。こういう選挙の関係で若干押せ押せになっていることは事実ですので、相当な努力をしなければいけないと思いますが、目標はやはり年度内成立ということだと思いますね。
NHKの瀧川です。本予算の前に大型とも言える補正予算が控えて現実問題としてスケジュール的に厳しいものがあると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
おっしゃるように、これは相当な努力が必要だと思いますね。のんべんだらりとやっていたらとてもそうはいかないので、きちんとしたタイムスケジュールを立て、野党ともよく話をしながら、そしてまた審議に臨む閣僚等々にも緊張感を持ってやっていただくということがまず大前提ですよね。
時事通信の大沼です。来年度の課題ということで、統一地方選、安保法制というのがありましたが、自民党の総裁選というのも控えていますが、幹事長の総裁選に対する思いというのはいかがですか。
あまり先のことばかり考えていても前のめりになりすぎますからね。まずは予算編成ということではないでしょうか。年度内に予算を仕上げるように頑張る。すべて総裁選とかも、着実な歩みがあっての総裁選とそれがない総裁選とでは全然違いますのでね。まずそういう一歩一歩物事を進めていく努力が必要だということではないでしょうか。
日本テレビの矢岡です。先週の役員連絡会で二階総務会長から無所属議員の入党についてお話があり、幹事長から慎重に検討していかなければいけないというご発言があったと思います。関連して、二階総務会長が衆院選前に自民党の公認候補の対抗馬のところに応援に行かれたということですが、これについてはいかがですか。
総務会長も選挙戦の最中に入っておられるわけではありません。また、この問題はやはり複雑なところがありまして、つまり今制度は小選挙区なのですが、一つは郵政選挙に端を発した、ねじれている状況というのは、今だいぶおさまってきましたが、しかしかつては私の選挙区である京都でもそういう問題がありまして、その捌きが難しいところがあるということが一つありますね。それに一つ一つ捌きが難しくなっている理由はそれぞれ個別ですので、いつまでもこじれているのを放っておいていいというわけではないと私も思います。ですが丁寧にやらなければいけないということではないでしょうか。
日本経済新聞の酒井です。幹事長としてこの一年を振り返って、法務大臣をやられてから途中で幹事長に就任されて、一年間を振り返って、総括としてはどういう一年だったとお考えですか。
どういう一年というほどまだきちんと自分で総括ができているわけではありませんが、やはり我々が三年三カ月の野党を送って、いろいろ古めかしい表現で言えば臥薪嘗胆ということであったわけですが、政権に戻ることができて、この一年間というのは、政権に戻ったことを得た上での一年間だったわけですね。だからある意味で政権に戻って、「あれ、自分たちが政権に就いていない間にこんな風になっていたのか」と思うようなことが最初の一年間は多かったし、あるいは前政権に大変きつい言い方をすれば、「こんなことも処理できていなかったのか」ということもたくさんある一年間だったと思います。そういうのをある程度乗り越えて、二年目になって、「しっかり物事が処理できていかなければいけないね」ということで、一年間前政権のいわば残した課題をある程度仕上げて、わが政権として何をやっていくのかということの模索・努力、そういうことの大きな一環として選挙があった。あえて総括を試みれば、政権に戻って一年間ウォーミングアップをして、いろいろな問題を自分たちなりのスタイルで処理をしていくことが始まった一年間ということではないでしょうかね。
東京新聞の生島です。日中の与党交流協議会について、現在の調整状況がどうなっているかということと、安倍政権ではなかなかまだ中国や韓国と関係改善が進んでいないということがありますが、その中で与党外交が果たす役割についてどのようにお考えでしょうか。
皆さんがご関心をお持ちになるのは当然といえば当然なのかもしれませんが、ことさらこのことになると、ちょっと一言言うと私が考えている以上にわっと皆さんの筆が流れるように文章をお書きになるので、極めて抑制的にものを言う必要があるのではないかと思っています。もう一回今まであった与党間交流を始めようという意味では、日中あるいは自公の間でも基本的に考え方は一致しております。それから特に去年の段階ですと、皆さんのご関心は首脳会談もなかなかできないからどうなるのだろうというじりじり感があったと思います。一応総理と習近平国家主席との会談が今年はできたわけですから、それを踏まえて幅広い意見交換をしていくということは当然必要だと思いますのでね。ちょっとそういうのは、明確に決まったわけではないですが、できるだけ早い段階で日程ができればいいなという段階ですね。
NHKの瀧川です。総理との会談について、総括をしたというお話でしたが、総理からはどのような総括があったのか、あるいは今後に向けてどのような発言が総理からあったのでしょうか。
総括というか感想というか、総理はこうおっしゃったとか言う立場ではありませんが、この結果は非常に満足すべき結果ではあったのですが、最後少し緩みとか揺り戻しなどがあったなということは総理もお感じになっているようですね。私も若干そういう感覚は持っております。それから私はかねがね言っていることですが、今までの選挙では新人の歩留まり率が極めて悪いのがこのところの状態だった。数字を挙げれば、郵政選挙の時の新人は二回目の再選率が12%強、それから民主党が政権を取られた時の新人は二年前の選挙では再選率が6%弱であったが、それがほぼ今回9割近くいったというのは、異例の成果が収められたわけですね。ただこの異例の成果を収めたのが常態だと思ってしまうといけないわけで、いくつかやはり問題点が我が党にはあると思います。つまり人口ピラミッドというのは、国民の人口ピラミッドもそうですが、できるだけ座りのいい形であった方が組織というものは健全な姿を持ちうると思いますが、今度を見ますと二年生はたくさんいるが一年生は極めて少数の形になっている。その一年生もほとんどは純粋比例代表で当選した方の数が多いわけですね。そういうものが一体我が党の将来にどういう影響を与えていくのかなどといったことが、若い議員に教育というか、いろいろ今後政治生活を順調に歩んでいくためにどういうことを先輩として伝えて、問題点を克服して育ってもらうかというようなことをいろいろ意見交換したということです。
共同通信の比嘉です。本日安倍政権は発足し、自民党に政権交代してからちょうど二年になります。この間安倍政権として、経済政策をデフレ脱却を目指して実施し、いろいろよい数字も出てきたと思いますが、一方で安保法制に関する政策や特定秘密保護法など、国民の間でも意見が割れるような議論を強引に進めてきたという印象もあります。法務大臣、また幹事長として、閣内や党で要職に就かれていて、二年間安倍政権全体の歩みを見たときに、もし何かご感想などあればお聞かせください。
先ほど私がこの一年間何だったのかと申し上げたのは、まさに安倍政権全体あるいは与党としての自民党にとっても、最初の一年間は前の政権のプラスマイナス遺産があったと思いますが、どう整理していくかということであり、この一年間はむしろ自民党としてどう推し進めていくかということであったと思うのですね。安保政策は非常に国民の間で議論が分かれる、特定秘密保護法もそうだという議論が一方でございますが、他方でやはり自民党としての安全保障政策などの継続を引きずっている面も非常にあるのだと思います。私はかねがね申し上げているのですが、やはり国際社会に出ますと、いろいろ国際的な問題の解決に日本は非常に平和的な手法で、しかも国際的なルールというものをきちんと踏まえて問題解決を提示してくるという点に関しては、極めて高い評価が日本にはあるのだろうと思います。だからしばしばある国が非常に経済力をつけ、あるいは国力を増進してくるときに、周りの国とのいろいろな軋轢が戦争の原因になるという指摘が過去にもしばしばされました。日本もかつてそういう苦い経験を持ったと言えるでしょうが、少なくとも昭和20年以降の日本の歩みというのは、極めて急速に国力をつけていったという点では、国際的にもあまり例のない成功を遂げたわけですが、その中でいかに周辺諸国との軋轢を回避するかという先人の努力というのは、やはり我々の日本政治史にとって極めて貴重な遺産だろうと思います。そういう中で、最初は戦争に負けた国が経済の力でもって自己主張していくという色彩をかなり強く持ちながら周辺との軋轢を避けてきたわけですが、ある程度国が大きくなってくると、地域の安全とか秩序の維持などということにも当然関心を払ってくれという声は、日本もそういうことをしなければならないと思ったわけですが、国際社会の中にも相当そういうのが出てきているわけで、今度のいわゆる集団的自衛権の見直しというのも、集団的自衛権は何でも行使できるということを言っているわけでは決してなくて、従前の憲法9条解釈とは確かに違う面があることはあるのですが、今まで9条の個別的自衛権の行使で、個別的自衛権なら無制限に使えるなんて解釈は取ってないわけですね。そういう意味では、従前の憲法9条解釈と極めて整合性があるわけで、そういう抑制された日本の安全保障の努力という流れは基本的に変わっているものではないと私は思います。
私がこういうご説明をすると、「なるほど分かった」と言ってくださる方もかなり多いのですね。もちろん反発される方もあります。私は保守主義者ですから、こういう戦後日本の、そして自由民主党の外交や安全保障の努力の基本を維持していく、そういう伝統を踏まえていく。安倍総理もその姿勢にお変わりはないだろうと私は思っています。
産経新聞の豊田です。衆院選の本格的な分析はこれからだとおっしゃいましたが、今回の衆院選では農政については逆風だったという指摘が閣内や党内にあります。選挙期間中に全国を回られた中で、どうお感じになったかお聞かせください。
農政に対しては、逆風だった理由はいくつかあると思います。要するに、私は根本的な原因は、民主党の個別所得補償という考え方にあったと思います。当時から我々は民主党のその考え方には批判的で、やはり本当の担い手を中心に考えて、担い手が産業としての農業をいかにきちんと背負える存在に強く育っていくか。それからもちろん農業というのは、単に産業として強いということではなしに、いわゆる多面的機能というのがありますから、その二本立てでいかなければいけないというのは、自民党はいろいろ議論してきたわけですが、自民党が、民主党が政権を取る前の最大公約数として到達した考え方は、担い手を中心とした産業としての強い農業を考える。そして同時に多面的な機能、中山間地域をどうするかということを考えていかなければいけないということでしたが、いわばそれに対して、本当に担い手を育てるという考え方から、かなり真っ向から対立する考え方を民主党は出してこられたわけです。私はあまり農政に詳しくありませんので、言っていることが妥当かどうか分かりませんし、知ったかぶりをして言うのはいけないと思っておりますが、かなりばらまきであった。では民主党政権の間に、個別所得補償をきちんと法案にするかといえばそれはできなかった。彼らも現実にやってみればこれは難しい、こういうばらまきはなかなかできないと心の中では思っていたからでしょう。だから野党になって急にそういうのを出してきている、しかし現実に個別所得補償で何か出てくればそれはありがたいと思う方がたくさんいらっしゃった。基本にそういうことがあるのではないかと私は思っています。
今後、統一地方選や参院選では農家というか地方への目配りが大事になってくると思いますが、いかがですか。
もちろんそうです。ただそれは、今申し上げたような、産業として担い手を中心に農業の産業としての力をつけていくという側面から考えれば、今議論中ですから幹事長から飛び越えて言うのはいけませんが、たとえばいわゆる構造改革事業というものに対してばらまきだという批判もかつてはありました。しかし水田のフル活用ということを考えたときに、今まで水田を作っていた、しかしこれは飼料米に持っていくか、とかいろいろな議論をしているわけですね。そうすると、いろいろな分析をした結果、水田を作ることもあるかもしれないがいろいろ考えると今度はたとえばニンニクの生産に変えようということになる。そうすると水はけをどうするかとかいろいろな問題が当然あると思います。そのように従来の水田を一番適したものに使えるような構造改革事業というのは、産業として自立していくということを考えると、どのくらいの目配りでやるのかとか、そういうものは当然議論していかなければいけないと思います。それから、これはならし対策とかいろいろなことが言われていますが、工夫しなければならないことがたくさんあるでしょうね。そういう議論は、選挙を踏まえて有権者と対話してきたわけですので、そういうことを踏まえた議論を今やっていただいていると思います。