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政策

第187回国会における代表質問 谷垣 禎一 幹事長

平成26年9月30日

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自由民主党を代表して、安倍内閣総理大臣の所信に対し質問いたします。

 

1.災害対策

9月27日午前11時52分頃、御嶽山で噴火が発生しました。現時点で、行方不明者等の正確な人数は把握できていない状況ですが、一人でも多くの方の生存を心よりお祈り申し上げますとともに、犠牲となられた方に、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。また、危険な状況の中、今も捜索救助活動を行っている警察、消防、自衛隊その他の方々に、心より敬意を表したいと思います。

今年の夏は、全国各地で記録的な豪雨による災害が起きました。
7月の長野県南木曽町の土石流災害、8月の京都府福知山市や兵庫県丹波市の豪雨災害、そして広島市の土砂災害等があり、多くの方が犠牲となられました。謹んでご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
特に、広島市の土砂災害において、美しい自然に囲まれ、笑顔があふれていた家々が、一瞬にして土砂にのまれ、愛する人の命が奪われていったその光景は、筆舌に尽くしがたい惨劇でありました。避難生活も長期化しており、一日も早い復旧、生活再建のために全力を挙げることを政府に強く求めます。

今年に限らず、近年わが国では、台風、集中豪雨、竜巻、地震等の自然災害が多発しています。そして今後も「数十年に一度」や「今まで経験したことのない」というような、以前は見られなかった大規模な災害が多発する可能性もあります。こうした状況を鑑みれば、既存の法律では対応できない、災害に関する法整備が急務であることは明白です。

災害対策にはスピ-ドが不可欠でありますが、今般、総理は、災害対策基本法の改正案の提出や土砂災害対策の制度見直しを明言されました。安倍内閣として、国民の命とくらしを守るためにどのような方策を講じ、災害防止に備えていくのか、総理のお考えを伺います。

 

2.震災復興

東日本大震災から3年半を迎えました。
総理が毎月のように被災地を訪問し、復興への取り組みの陣頭に立たれている姿を見る度に、安倍内閣が、どれだけ震災復興を重視しているか、を示していると感じます。
与党としても、政府に対して度々提言を行う等、政府と一体となって取り組んできたところであります。
実際、住宅再建や農地・漁港の整備、災害公営住宅の整備等は、着実に進みつつあると理解しています。
しかし、復興はこれからです。とりわけ、避難者数は25万人弱まで減少したものの、いまだ、これだけ多くの方々が避難されている状況を、我々は直視しなければなりません。
そこで、総理に、復興のスピードアップに向けた決意を伺います。

さらに、福島については、まだ復旧が始まったばかりです。福島にとっての復興とは、原子力事故災害の克服であり、それは取りも直さず日本の再生への道でもあると考えます。
先般、佐藤・福島県知事が中間貯蔵施設建設を受け入れ、大熊、双葉両町長が知事の判断を重く受け止め、地権者への説明を了承するという、関係者による苦渋の決断がなされました。政府は、この決断の重大さを踏まえ、住民の方々の声を真摯に受け止め、取り組んでいかなければなりません。
福島復興への取組みについて、総理の決意を伺います。

 

3.経済再生、財政

政権交代後1年9か月が経過しましたが、安倍内閣は、安定的かつ着実に政策を実行してきました。特に、アベノミクスによって、雇用の改善を果たし、賃金の上昇をもたらしつつあることは、数々の経済指標を見ても明らかであります。株価は1万6千円前後となり、行き過ぎた円高は是正され、景気の好循環が生まれ始め、経済の再生に向けて一歩ずつ前進しています。
わが国のマクロ経済の状況ですが、4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動等により、4月から6月の経済成長率がマイナス7.1%となりました。とはいえ、1月から6月まででならしてみれば、成長率は昨年に比べ、プラス1.3%であり、全体的にはゆるやかな回復基調が続いていると考えます。

ただ、この夏の天候不順や、急激な円安によりエネルギーや食糧といった輸入価格が上がり、企業や家計の負担が今後増えていく可能性もあり、こうした動向にも注視して経済運営を行っていかなければなりません。
そこで、総理に、経済再生と景気回復に向けた決意を伺います。

(消費税10%引き上げ)

さらに、総理は、消費税率10%への引き上げを行うかどうかの判断を年内に行うとの考えを示しています。また、総理は、7-9月の経済指標等を総合的に勘案して判断すると表明しています。
デフレ脱却と経済成長を柱とする日本経済の再生と、持続可能な社会保障制度の確立等のための財政健全化は、いずれも喫緊かつ非常に重要な課題です。
そこで、これらを踏まえた上で、消費税率引き上げに関して、改めて総理のお考えを伺います。

 

4.地方創生

今国会の最重要課題として、総理は「地方創生」を掲げられました。
地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服する。そのために、国民が安心して働き、家庭を築き、子育てができ、将来に夢や希望を持つことができるような、魅力あふれる地方を創生し、地方への人の流れをつくる。
これこそ、まさに日本再生の中核だと言っても過言ではないでしょう。
この地方創生は3つの基本的視点に立っています。若い世代の就労・子育て等の希望の実現、東京一極集中への歯止め、地域の特性に即した地域課題の解決です。
これらを具体化するためには、地方における魅力ある就業機会の創出、出産や子育てに希望が持てる環境の整備、市町村相互間の広域的な連携協力体制の構築等が不可欠です。
総理は、「まち・ひと・しごと創生本部」の初会合で、「各省の縦割りやバラマキ型の対応を断固排除し、異次元の施策に取り組んでいただきたい」との方針も明確に示しています。地方のやる気を引き出し、各地の資源や魅力を生かした活性化への取り組みに対して、政府全体で強力に支援する姿勢をしっかりと創っていくことが必要です。
改めて、地方創生に向けた決意と今後の取り組みについて、総理に伺います。

 

5.女性が輝く社会と子育て支援

総理は今回の改造内閣のもう一つの課題として、女性が輝く社会の実現を掲げられました。「社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上にする」との目標です。今、日本は高齢化と労働人口の減少に直面し、いかに労働生産性を上げていくかが大きな課題です。そのためにも女性の活躍に真剣に取り組んでいかなければなりません。
総理は今回の内閣改造で、女性活躍担当大臣を新設し任命されました。また安倍政権になって、16年振りの女性事務次官や女性初の総理秘書官も任命されています。さらに政府の動きに呼応して、経済界でも女性の登用が進んでいます。能力も意欲もある女性が社会の高いポジションで働いていただくことは、女性の活躍を象徴するとともに、社会や企業文化にも良い影響を与えるものと考えます。

総理は、先般、ヒラリー・クリントン・米国・前国務長官と会談し、女性の社会進出について熱心に議論されたと伺っております。ヒラリー・クリントン氏から何を受け止められ、その経験を日本にどのように活かすべきとお考えでしょうか。総理の忌憚のないご意見を伺いたいと思います。

さて、性別や家族の形態を問わず、仕事をしながら子育てを行うのは、決して容易なことではありません。
この仕事と子育ての両立のためには、家族や職場の理解と支援、さらには政府や自治体の手厚い子育て支援が不可欠です。そのためにも、これまであまり子育てに参加してこなかったと言われる男性も、企業も、そして政治も、意識改革が必要です。
さらには、労働時間自体を短くするための様々な取り組みが必要であることは言うまでもありません。その上で、多様かつ柔軟な働き方ができる経済社会を構築していく必要があります。
仕事と子育ての両立のための支援、特に働きながら子育ても担う女性をサポートしていく仕組みについて、総理のお考えを伺います。

 

6.外交

(地球儀を俯瞰する外交)

次に、安倍政権の国際社会における日本の地位向上と信頼の確立をめざした「地球儀俯瞰外交」について質問いたします。
安倍総理は、多忙を極める国会日程の最中(さなか)、驚異的ともいうべきペースで外遊日程をこなし、すでに49カ国を訪問されました。国内においてもオバマ米国大統領やエルドアン・トルコ首相、アキノ・フィリピン大統領、モディ・インド首相等、精力的な首脳外交を展開し、国際社会におけるわが国の存在を不動のものとするとともに、「積極的平和主義」を始めとする、わが国の主張に強い共感と支持を集めたのであります。安倍総理の外交は、その積極性はもとより、充実した内容と意義において高く評価されるべきものであります。
総理は昨年、日本版NSCである国家安全保障会議の創設、及び国家安全保障戦略策定等、国内態勢の整備を行い、本年1月、オマーン、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアの中東・アフリカ4カ国訪問を皮切りに、「地球儀俯瞰外交」を加速させました。
同じ1月にはスイス・ダボス会議に出席し、日本の総理大臣として初めてオープニング・セッションで基調講演を行い、アベノミクス等について参加者の幅広い理解を得ました。引き続き、インドを訪問、経済交流や女性の活躍について協力拡大の道筋をつけたのであります。
2月にはロシア・ソチオリンピック開会式に出席し、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会成功への協力をとりつけたほか、プーチン大統領との首脳会談に臨みました。
続く3月にはオランダの核セキュリティサミットに出席、オバマ大統領が「サミットの最大の成果」とする、核物質削減に関する日米共同声明を発表した他、G7首脳会合に臨み、ロシアによるクリミア併合や中国の東シナ海、南シナ海での海洋進出を念頭に、民主主義と法の支配という価値観を共有する国々のリーダーとの間で、「力を背景とした現状の変更は断じて許さない」との認識を一つにしたのであります。
さらに、4月末からのゴールデンウィーク期間には、ドイツ、英国、ポルトガル、スペイン、フランス、ベルギーを訪問、各国との首脳会談やパリでのOECD閣僚理事会出席を通じて、「地球儀俯瞰外交」の強力なパートナーである欧州各国首脳との間でわが国の経済政策や安全保障政策への理解と支援をとりつけました。
5月末に、英国の国際戦略研究所の主催により、シンガポールで開催された「アジア安全保障会議」、いわゆる「シャングリラ・ダイアローグ」において、安倍総理が行った「アジアの平和と繁栄よ、永遠(とこしえ)なれ」とする基調講演は、国際法に基づいて主張し、力や威圧を用いず、平和的に解決すべきである、との法の支配の重視を訴え、わが国の安全保障法制の再構築に関する取り組みと併せて、各国に感銘を与え、共感を呼び起こしました。
続く6月には、ベルギーとイタリア、バチカンを訪問し、ベルギーでは自由と民主主義、基本的人権、法の支配という、価値観を共有する先進諸国の首脳が集うG7サミットにおいて、「力による現状変更は許さない」との強いメッセージの表出をリードしました。
7月のニュージーランド、オーストラリア、パプア・ニューギニアの3カ国訪問では、オーストラリアのアボット首相から、「日本は今日の行動で判断されるべきだ。70年前の行動で判断されるべきではない」と、戦後、平和の道を歩み、国際貢献に努力し続けてきたわが国に対する最大級の賛辞が表明されたのであります。
7月末から8月にかけては、メキシコ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、チリ、ブラジルと、成長著しい中南米・カリブ海の5カ国を訪問、貿易・投資の一層の拡大はじめ関係強化に成果を上げました。
そしてこの9月、総理はバングラデシュとスリランカを訪問し、バングラデシュでは安保理非常任理事国選挙への立候補取り下げと、日本への支持が表明されました。また、スリランカで総理が行った、サンフランシスコ講和会議で、スリランカがわが国の主権を擁護してくれたことへの感謝を表明したスピーチは、聴衆に感銘を与え、両国の関係と絆を強固にしたのであります。

総理は先日、ニューヨークの国連総会から帰国されたばかりであります。今回の国連総会出席は、総理にとってこれまでの「地球儀俯瞰外交」を集大成する、大きな節目であったと思います。
総理がどのような思いで国連総会に臨まれ、何を訴えられたのか、「地球儀俯瞰外交」、そして「積極的平和主義」について、改めて総理の思いを伺います。

(安全保障法制整備)

政府は7月1日、新たな安全保障法制整備のための基本方針を閣議決定しました。
わが国周辺をめぐる情勢が大きく変化する中、どのような事態にあっても国民の生命と財産を守り抜くため、現行憲法下で何が許されるのか、議論を広く、丁寧に尽くしたうえでの閣議決定であり、切れ目のない安全保障法制を整備し、抑止力を強めることによってわが国の安全保障をより盤石にし、日米同盟と信頼関係をさらに強固にする、政府の強い決意を示したものと評価いたします。
ただ、新たな閣議決定については、「集団的自衛権」の言葉だけが先行し、国民の間には、戦後、平和国家としての道を一貫して歩んできたわが国が、その方向を大きく変えるのではないか、といった誤解や漠然とした不安があることも否定できません。
今回の閣議決定の柱は、第一には、離島等で武装集団の上陸があった場合や米軍部隊の武器等防護など「武力攻撃に至らない侵害への対処」、第二は、わが国による他国軍隊への支援活動や、PKOでの任務遂行やいわゆる「駆け付け警護」に伴う武器使用、並びに在外邦人救出等における領域国の同意に基づく警察的活動の実施です。
そして、第三が、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使する」という内容であります。これは、国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合がありますが、一方、憲法上は、「あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるもの」であります。
この第三の点について、非常に厳しい歯止めがかかっており、およそ平和国家としてのわが国の性格を変えるようなものではあり得ません。にもかかわらず、こうした点も十分に国民に理解されていないのではないでしょうか。
政府は今後、関連法制の整備を進めることになります。そのためには、より国民に対する丁寧な説明が不可欠です。
新たな閣議決定と今後の関連法制の整備によって何が変わるのか、自衛隊が湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘に参加するようなことはないのか、外国の戦争に日本が巻き込まれることはないのか、こうした国民の不安や誤解を払拭できるよう、総理の言葉による丁寧な説明を求めたいと思います。

(日米関係)

日米同盟がわが国外交の基軸であることは、改めて申し上げるまでもありません。総理の「地球儀俯瞰外交」は、日米両国が共有する価値観外交のグロ-バルな展開であり、限定的な集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈の再整理は、日米同盟と信頼をより強固にする、総理の新たな日米パートナーシップ構築へのチャレンジであると思います。
いま、日本や米国、欧州の属する、自由と平等を中心とする基本的人権、民主主義、法の支配等を尊重する社会は、いくつかの国の拡張主義や、中東等におけるテロ勢力の脅威拡大といった、極めて困難な問題に直面しています。
自由や民主主義等の価値観を共有する諸国家が手を携え結束して、これらの問題に対処していくため、米国の友人として日本が果たすべき役割は大きいと思います。
今後の日米関係のあり方について、総理の見解を伺います。

(中国、韓国、ロシア)

わが国を取り巻く外交において、やはり国民や諸外国が注視するのは、中国、韓国との関係改善です。安倍総理の就任以来、総理が「対話のドアは常にオープン」と言い続けてきたにもかかわらず、これまで首脳会談の実現に至りませんでした。しかし、ようやくその実現に向けた機運が出始めています。
そもそも、総理が8年前に第1次政権を発足された時に、最初に訪問した外国は中国、韓国でありました。このことを見ても、総理が、いかに隣国との関係を重視しているかは明らかです。
今後10月のイタリアでのASEM、11月の中国でのAPEC、ミャンマーでのASEAN関連首脳会合、豪州でのG20と多国間の首脳会議が続きます。こうした機会を通じて、会談の実現に向けてお互いが努力していくことが必要でありますし、与党の議員を通じたチャンネルを活かしていくこともまた重要であります。
改めて、中国・韓国との関係改善に向けた総理の決意を伺います。
また、総理は、ロシアのプ-チン大統領とも電話で協議し、対話を続けていくことを確認していますが、今後の日ロ関係についても、総理の見解を伺います。

(北朝鮮)

北朝鮮による拉致問題について、今年5月にストックホルムで開催された日朝政府間局長級協議において、北朝鮮による拉致被害者を含む全ての日本人について調査するという約束が取り交わされました。このような交渉結果を獲得したことは、拉致問題解決へ向けた大きな一歩であり、高く評価いたします。
しかしながら、今月18日に北朝鮮側から伝えられた連絡は、我々をひどく失望させるものでしかありませんでした。「現時点では初期段階を超える説明はできない」、これは、事実上の先送りであります。我々はこうした北朝鮮の不誠実な対応に、幾度となく翻弄させられてきました。もう同じ失敗を繰り返してはなりません。我々は、こうした北朝鮮の対応に断固とした態度を取っていかねばならないのであります。
そこで、拉致問題について、総理の決意を伺います。

(普天間基地移設問題)

仲井眞・沖縄県知事が、名護市辺野古の公有水面埋め立てについて、法律に則って承認をされたことで、民主党政権で迷走した普天間基地の移設は、仲井眞知事、沖縄県民等の多くの皆様のご理解とご協力により、再び一歩前に進むこととなりました。普天間基地の危険性を一日も早く除去することを、我々は形にしていかなければなりません。
総理は今回、新たに沖縄基地負担軽減担当大臣を設け、目に見える形での負担軽減に、不退転で取り組む決意を示されました。
仲井眞知事からは、普天間基地の5年以内の運用停止と早期返還、オスプレイの本土への分散や日米地位協定の条項の追加等、4項目の要望が出されており、官房長官は普天間基地の2019年までの運用停止を目指すことを表明されております。
改めて、沖縄の基地負担軽減実現に向けた総理の決意を伺います。

 

7.エネルギー政策

(原発再稼働)

次に原発の再稼働について伺います。
原子力規制委員会は9月10日、九州電力川内原子力発電所1、2号機について、安全対策が新規制基準を満たしているとの審査書を正式に了承しました。原発再稼働に向けた安全審査の合格第1号であり、政府としても地元自治体の同意を得、一日も早く再稼働できるよう、あらゆる努力を尽くしていただきたいと思います。
わが国のエネルギーをめぐる非常に厳しい事情、さらには、年間3.6兆円に上る化石燃料の輸入増による貿易赤字の急速な拡大と、国民の富の海外への流出を1日も早く食い止めるべきこと、電力コストの上昇による国民生活や経済活動への大きな圧迫を考慮すれば、まずは原子力規制委員会の厳格な安全基準に沿った、既存原発の再稼働を着実に進めるとの総理の考えは、当然であります。
原発再稼働には反対もあります。不安に思う人もいます。現実に被災された方々が心情的に受け入れがたいのは当然です。しかし、政治は、つらい現実、厳しい現実を直視しつつも、今のわが国にとってなすべきことはなにか、時には苦渋の中で決断し、国民に正面から訴えかけていかなければなりません。
原発再稼働について、総理のご所見を伺います。

一方、総理は今年1月の年頭会見で、原発の新増設については「現在のところまったく想定していない」と明言し、まずは、既存原発の再稼働の判断に集中し、エネルギー源の多様化を図りつつ、原発依存度を可能な限り低減していくとの考えを示されました。
このためにも、代替エネルギーの開発に官民挙げて英知を振り絞ることも含め、様々な方策によって、エネルギーの安定供給確保に全力を尽くす必要があります。
同時に、第二世代の原子炉の廃炉解体や、使用済み燃料の再利用と安全な処分を長期的な視野をもって進めることも必要です。これらによって、世界最高水準の技術の開発・獲得・集積を成し遂げ、この分野においても世界に貢献していくことも期待できるのではないでしょうか。
これらの点について、総理のご所見を伺います。

 

8.むすび

多くの政策課題について、政府・与党内で徹底的に議論し、そのうえで最後は一つにまとまる。そして国民のために働いていく態勢を作っていくことが求められています。
政府と与党、自民党と公明党、政府与党と野党、それぞれが適度な緊張関係を保ちつつ均衡点を見いだしていくことが、政治を安定させ、政策を強力に推進していくものであると確信しています。
そのような関係をしっかりと構築し、国民から信頼される政治を進めていくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。