◆教育基本法改正

「世界から尊敬される日本人」育成
 河村建夫文教制度調査会長に聞く

教育基本法改正の意義と論点
 わが党は今国会の重要課題として、教育基本法案の成立に向け、全力で取り組んでいます。昭和22年に制定された現在の教育基本法は施行以来、一度も改正されることなく現在に至っています。その間、社会状況は大きく変化し、教育に関するさまざまな問題が浮かび上がっています。こうしたなか、同法の全面的な改正がどのような意義を持つのか。また、わが党は、これからの国会論戦にどのように挑むのか。長年にわたり、教育基本法改正に取り組んできた河村建夫党文教制度調査会長に聞きました。

これ以上看過できぬ教育の荒廃
 ――今、なぜ、教育基本法改正なのですか。
 河村建夫党文教制度調査会長 現行の教育基本法は、昭和22年にできた法律です。この約60年間に、日本を取り巻く状況や社会情勢は大きく変わりました。現在では、教育の荒廃が深刻化し、夢を持たない若者の増加や不登校児童の増加、学級崩壊といった学校教育の問題、地域・家庭の教育力の低下が大きな問題となっています。
 これに対し、現在の教育が十分に対応しきれておらず、21世紀の日本の教育の柱を立てる必要に迫られています。これ以上、看過できない状況にあり、あらゆる教育法規の根本法である教育基本法の改正は早急に実現しなくてはならない課題といえます。
 橋本内閣時代、「教育改革」が6大改革の中に入り、教育改革本部を設置し、その下に教育基本法検討委員会が発足しました。その初めての会議で、中曽根康弘元総理が講演し、「この教育基本法は世界のどこに持っていっても通用するが、日本の匂いがしない。日本人はこうあるべきだというのが教育の理念に入ってしかるべきだ」という話を聞いて、みんな目から鱗(うろこ)が落ちる思いをしました。それから約十年。ようやく国会提出を果たすことができました。ぜひとも早期に成立させたいと考えています。

「愛国心」「情操教育」十分配慮
 ――「愛国心」「不当な支配」「宗教的情操の涵養(かんよう)」といった面で十分な内容になっていないとの意見がありますが。
 河村 そのことについては心配していません。愛国心が明確ではないと言われるけれど、実は、学習指導要領には、すでに「国を愛する心を養成することは必要だ」と謳(うた)っています。しかし、その法的根拠が現行基本法になく、教育現場で愛国心を教えることを避けてきました。
 しかし、今回の改正案では、「わが国と郷土を愛する」という条文が盛り込まれましたので、この問題は解決します。
 また、現行法の第10条の「国民全体に対し直接に責任を負う」という条文を、「教員が全ての教育に責任を持つ」と曲解し、行政機関や校長などの命令や指導を「不当な支配だ」と主張している現状があります。
 改正案ではこの条文を削除し、誤解が生じないようにするとともに、一方、やはり、特定勢力が不法・不当に教育を支配することを排除し、教育の不偏不党性を確保しなければならないので「不当な支配に服することなく」という表現は残したのです。
 宗教教育については、諸外国でも一般教養しか教えておらず、学校教育で特定の宗教には踏み込みません。宗教教育による情操の涵養を条文に書き込むべきとの意見もありましたが、特定の宗教が入り込む懸念は払拭できないと判断しました。しかし、法案全体を読んでいただければ、情操を育む教育の重要性は十分ににじみ出ていることがお分かりいただけると思います。

イデオロギー論争は避けるべき
 ――どのような国会論戦を期待しますか。
 河村 民主党をはじめとする野党は、不毛なイデオロギー論争をしないようにしてほしいですね。子供の教育のために、国会議員が本当に真剣になって、「教育の目標」で掲げられた「公共の精神」「伝統と文化を尊重」「わが国と郷土を愛する」「生命を尊び、自然を大切にする」など、本当に子供のために大切なことをいかに実現していくかを真剣に議論し、国民と一緒になって考えていきたいと思います。そして、何よりも、倫理観や道徳心を根底にした、「世界から尊敬される日本人」をどう育てていくかについて、国民共通の理解が広まっていくような論議をしたいと考えています。
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