The Liberal Democratic Party of Japan.
自由民主党 総裁選挙



小泉 純一郎候補演説全文
【平成15年9月9日】 14:00〜
候補者所見発表演説会
 まず、所信を表明する前に、2年数ヵ月前、総裁に就任し、総理大臣として職務を遂行するにあたり、自民党の国会議員、党員・党友の皆さま方、温かい力強いご指導・ご支援を賜りましたことに対しまして、厚く御礼を申し上げたいと思います(拍手)。そして今回、2年数ヵ月にわたりまして微力ながら日本国の内閣総理大臣として全力を尽くして職務に精励してまいりました、このような実績を見ていただきまして、私の再選に向けてご推薦をいただきました自民党国会議員各位のご厚情に対しまして衷心より厚く御礼を申し上げたいと思います。皆さま方のご支援に応えるべく一生懸命頑張っていきたいと思いますので、今後ともよろしくご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げます(拍手)。
 限られた時間でありますが、私は外交と内政、この二点におきまして私の基本的な考えを申し述べまして皆さま方のご理解とご協力を得たいと思っております。
 外交についてでございますが、戦後、日本は一貫して日米同盟と国際協調、この両立を図るべく全力を尽くしてまいりました。この基本方針については、過去も現在も将来、日本の平和の内に繁栄を考えるということを考えるなら、欠かせない外交政策の基本方針でなくてはならないと考えております。私は今後とも日米同盟の重要性と国際協調の重要性を両立させるべく懸命に外交の諸問題に対応するべく、この方針を貫いていきたいと思います。特に北朝鮮問題、イラク復興人道支援、テロ対策等、日本だけでは対応できない問題が山積しております。最近の北朝鮮問題を見るにつけ、北朝鮮側は当初、六ヵ国協議(多国間協議)になかなか応じませんでしたが、先月、この六ヵ国協議に応じてまいりました。日本はその協議の場でも、日本の立場、日本の考え方……いわゆる昨年9月17日に北朝鮮・平壌を私は訪問して、金正日総書記との間に交わした日朝平壌宣言、この方針にのっとって、拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題、過去・現在・将来の問題、包括的・総合的に解決して国交正常化を目指している。北朝鮮を国際社会の責任ある一員に加えるよう各国と協調しながら働きかけていく、その基本方針をしっかりと述べてきたわけであります。アメリカは、核の問題のみならず、この六ヵ国協議の場におきましても拉致の問題をとり上げて日本と緊密に協力していくことを確認しております。今後、北朝鮮との対話において、特にアメリカとの関係、韓国との関係、この日米韓の緊密な協議・連携の下に中国やロシアとの協議を重ねながら、私は粘り強くこの北朝鮮問題に取り組んでいきたいと思います。
 またイラクの復興支援につきましても、これはひとごとではございません。中東の和平あるいはイラクの安定というのは日本の国民生活にとって大きな影響をもたらします。私は、日本は武力行使はしない、戦闘行為には参加しない、しかしイラクの戦後の復興のためには、イラク国民の支援のためには、国際協調体制をとりながら日本としてできるだけの支援をしていく、この方針を今後堅持しながら、国際情勢をよく見極めながら、またイラクの現地の状況をよく調査しながら、日本として何ができるかということを真剣に考え、具体化に移していきたいと思います。いずれにしても、日本の平和というのは日本一国で確保できるものではありません。世界の平和と安定の中で日本の独立と平和と繁栄をいかに確保するか。日本国だけに目を向けてはならない。まさに憲法の前文の精神に合致する、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思うという、世界の平和と安定に日本はもはや無関心ではいられないはずであります。そういう観点からも私は、アメリカとの協力関係、国際社会との協力関係は今後も日本の外交方針にとって最も大事な基本方針であると認識しております。
 また内政におきましては、経済活性化と福祉政策、あるいは雇用、中小企業対策、教育、いろんな分野が山積しております。しかし、あらゆる施策を推進する上におきましても、国民の安全確保、これは政府の基本的な責任であります。最近、犯罪が増えております。治安にも不安が国民の間に広がっております。国民の安全確保、世界一安全な国復活を目指して、治安対策、犯罪対策。それは警察官の増員のみならず……多くの国が日本を見習ってきた、「日本の交番制度はいいものだな」と言った、その交番機能も弱体化している。単なる増員とか機械の更新だけでなく、空き交番をゼロにして本来の機能を取り戻すという具体的な犯罪対策、治安対策。世界一安全な国復活を目指して、今後、本格的な体制を整えていきたいと思います。
 また、今回の総裁選挙におきましても、多くの候補者また国民が最も大きな関心を持っている問題に、経済の活性化策、景気対策、構造改革の問題があります。私は今後、日本の経済の発展を考えますと、環境保護と経済発展を両立させることが必要だと思ってます。環境保護を十分にすると経済の発展に阻害要因になるんじゃないかという考えがかつては一部にありました。しかし、そうじゃない。環境保護に努めることによって経済の発展があるんだ、技術革新が生まれるんだと。科学技術を今後の環境保護と経済の発展に生かす、この対策は極めて重要であると思います。私は就任以来、政府が使う公用車は今後3年間でぜんぶ低公害車にするということを宣言いたしました。就任したとき、低公害車は政府で使ったの1割足らずだった。なぜもっと多く低公害車を利用しないのかといったら、一般のクルマより高いから。しかし私は就任以来、高くても3年間ですべて、7000台に及ぶ政府の公用車は低公害車にすると宣言し、着実にその実施を進めております。宣言した途端、民間が、高くても低公害車を買ってくれるというんだったら設備投資を始めた。今や新規の登録台数、低公害車が6割以上占めるようになりました。待機児童ゼロ作戦とともに、ゴミゼロ作戦、風力発電等の活用、クリーンエネルギー作戦、バイオマス等、新しい技術を利用した、この科学技術を環境保護と経済発展のために生かしていかなきゃならないと思っております。
 私はよく「小泉内閣は財政再建優先で緊縮路線ではないか」という批判を浴びております。税収が42兆円程度しかない中で、今年度は36兆円もの国債を発行しております。どこの国にこれだけ国債発行借金に依存している財政を持っている国が、今、先進国の中であるでしょうか。しかも、今年度末には国債発行残高500兆円を超えます。36兆円、国債発行しても、36兆円、新規に政策の事業に使えるわけじゃない。半分近くは今までの国債発行していた償還や利払いに回ってしまう。こういう中において私は、どこを見てこれが緊縮路線なのか、財政再建優先なのか、これには全く理解に苦しんでおります。
 構造改革、いわば税制改革、金融改革、規制改革、歳出改革。単年度財政均衡路線は今までの政府の方針でありましたけれども、今年は税制改革におきましてまず、こういう厳しい財政状況の中でも、研究開発の投資減税等、あるいは貯蓄から投資への優遇策等、1兆8000億円の減税先行を行う税制改革をやってまいりました。来年度も1兆5000億円の減税が先行します。どこを見て財政再建優先、単年度財政均衡主義、緊縮路線なんですか。この認識が私は、私の構造改革路線を批判する方と全く違う点だと思います。
 やるべきことはやる。不良再建処理をめぐる金融改革。「こんなときに不良再建処理を急ぐべきじゃない」。就任前は「不良再建急げ」という声が圧倒的な声だったじゃないですか。ようやくここにきて不良再建残高も減ってまいりました。不良再建比率も2006年度には4%台、この目標に向かって着々と進みだしました。
 規制改革にしても、全国で規制改革が無理だったらば、地域を限って特区によって規制改革を失敗を恐れず挑戦してみようじゃないかという構造改革特区構想を出しました。これについて既に160以上もの地方から構造改革特区、規制緩和をしてほしいということを受け入れてます。例えて言えば、港湾などでは今まで24時間作業できなかった。24時間作業オーケー、これは流通問題においても経済の活性化においても資するはずであります。あるいは、福祉の分野においても教育の分野においても農業の分野においても、株式会社の参入が認められなかった。認めてみようじゃないか、やってみようじゃないか。認めている。歳出も、前年度より実質、一般歳出は、前年度以下に抑えようという中で重点的に、増やすべきところは増やす、不必要なところは減らしていく。
 そういう中で私は、地方にできることは地方に、民間にできることは民間にということで、地方においても補助金、交付税、税源委譲、これを三位一体で……3年間で補助金4兆円削減しよう、そして地方にもっと裁量権を与えよう、税源も委譲していこうという方針を打ち出しました。来年度の予算編成でまず初年度の芽を出します。
 こういう中で私は、自民党の中で最も異論の強い郵政三事業の民営化も、道路公団の民営化も進めていかなきゃならない。新しい時代に対応できるような改革をしていかなきゃならない。郵便局がなくなるといってますが、郵便局をなくすわけじゃない。今、郵便局、東京や大阪だけじゃない、地方でもすべて一等地にあるじゃないですか、ほとんどは。あれがなんで三事業だけしか利用できないんですか。三事業以外にもっと、地域の活性化のためにも、事業のためにも、あの郵便局を活用する方法はたくさんある。今あの立派な郵便局という国有財産が三事業だけに限られてるから、眠っているんです。しかも、財政投融資、特殊法人。この郵貯の還付の会があるから財政投融資があって、財政投融資の資金があるから特殊法人の活動ができたわけでしょう。
 いつ借金を返すか分からない。道路公団一つとったってそうだ。40兆円の債務をどうやって返還するのか。私、就任して以来、道路公団については、40兆円の債務をこれから税金を使わないで返済することを考えるべきだ。道路公団に対しては税金を投入しない。特殊法人に対しては既に1兆円以上にわたる削減を断行しております。ファミリー企業、コストの削減。一例でありますけども、今まで道路公団は1台250万円もの非常電話を2万数千台つけてきた。調べたら、250万円じゃない、40万円でできるんじゃないですか。この道路公団の改革、見直しがなかったらば、今年度も来年度も8000台以上、250万円の非常電話をつけていた。それを40万円でできる。やはり情報をよく公開して、無駄がないか。税金の無駄遣いをなくしていく。必要な事業は国民が給付と負担を考えてやっていく。
 税金の無駄遣いをなくそう、民間と地域のやる気を引き出そうというのが構造改革の趣旨であります。その大きな要が、最もいま税金を知らないうちに無駄遣いしている、将来の償還を考えて、今は負担しないけど後でドッと負担が返ってくる大物が、郵政三事業と道路公団だから、この本丸に手をつけようとしてるのが小泉内閣なんです。
 今、悲観論が噴出している。先日、私は大腸の検査をしました。初めて手術しました。私は検査嫌いなんですけど、大腸の内視鏡検査した。幸いポリープがみつかって、何の痛みもなくカットしちゃった。もう1時間で退院してきて、今日も演説してます、元気です(笑)。あの内視鏡を開発したのは日本のオリンパス工業です。今や内視鏡の世界市場の規模は7割を超えてるんです。
 先日、回転寿司へ行きました。ICタグ。この親指の爪ぐらいの間に何十万個のいろんな技術が入っている。100円台から500円台の何種類かの寿司の皿の下に埋め込まれている。お客さんが取って、何枚食べても、並べて、携帯電話ぐらいの大きさでパーッとやれば、お客さんはいくらのを何枚食べていくらかかったか明細書が出る。これは、自動車部品をつくっている中小企業の会社がこういうICを開発したら、回転寿司の社長が、「これはいいな」といって、あのいちいち計算しないで、洗ってもすぐ分かるようなものを皿の下に埋め込めないかと考えた。4000店ぐらいある回転寿司の中でいま100店ぐらいしか使ってないというけども、私はこれ伸びると思います。
 皿だけじゃない。ファミリーレストラン等の洗濯屋の……着物。これにもICタグが埋め込まれている。洗濯すれば、どこの店の洗濯で、何回洗濯したかすぐ分かるようになっている。IC革命。これは構造改革は民間企業がどんどん進めています。
 悲観論だけじゃいけない。「座頭市」、たけしさんの監督がベネチアで監督賞を取った(笑)。去年は「千と千尋の神隠し」、ベルリンの国際映画祭で最優秀作品賞取った。スポーツだって水泳だって陸上だって体操だって、若者は活躍してるじゃないですか。ノーベル賞もどんどん取れるような学者が出てきた。私は悲観論から新しい挑戦は生まれないと思います。先日、司馬遼太郎記念館を訪れた。あの歴史上の人物を何千人も見てきた、大きな転換期を見てきた司馬さんが、子供たちに残す言葉といってこういう言葉を残してる。「人間の素晴らしさ、悲観的にならないことだ」と。悲観的になってはいけない。明るい芽がどんどんいま出てきてるじゃないですか。我々は明るい美しい日本の国づくりを目指して、皆さんと共に協力して素晴らしい日本を築き上げていきたいと思います。皆さま方の温かいご支援に感謝しつつ、これからも誠心誠意、この構造改革を成し遂げて、日本が世界から信頼される国づくりへ私も皆さんとともに全力を尽くしていきたいと思います。皆さんのご支援とご協力をお願い申し上げまして所信表明に代えさせていただきます。
 ご静聴ありがとうございます(拍手)。
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