5.緊張感をもって切磋琢磨する、統治機構のしくみ

民意を反映した「国会と内閣」の新たな関係

 戦後の国民主権主義、民主主義が我が国の国家社会の発展に大きく寄与したことを評価するとともに、この原則をさらに充実させるため、新しい時代の変化に即応し、正しい政治主導の政策決定システムをより徹底させ、そのプロセスを大胆に合理化し、スピーディに政治判断を実行に移せるシステムとするべきです。

 しかし、現在の政策決定システムは、国会と内閣などとの関係において、最終的に国会の同意を得るに至るまでの間にあまりにも多くの時間を要するシステムになっているのではないでしょうか。

 日本国憲法が制定された約60年前と、今とでは大きく時代が違います。既存のシステムがうまく機能しない場合には、大胆に発想を転換するべきだと考えます。

 なお、現在の二院制は、両院の権限や選挙制度が似かよったものとなっており、何らかの改編が必要であり、その具体策の提示が求められています。また、総理大臣以下の国務大臣の国会への出席義務を緩和し、副大臣などの代理出席でもよいとすることなどについても、今後検討する必要があります。


政治部門をチェックする裁判所のあり方

 政策決定・執行プロセスのスピードアップ化に伴い、事後的な第三者のチェックが重要になってきます。こうした観点から、政治部門が行う政策決定・執行に対する憲法判断の仕組みを整備する必要があります。そこで、我が国においても、憲法裁判所を創設し、高度に政治的な問題についてもきちんとした憲法判断を出させるようにすべきであるとの意見があります。

 憲法裁判所については、国会や内閣が負うべき政治の責任を民主的な基盤(主たる構成員が国民の選挙で選ばれた者であること)のない裁判所に負わせるのはおかしいとの指摘もあります。

 しかし、諸外国の憲法裁判所のように、裁判官の人選について国会が関与するといったことで、民主的統制を機能させることは可能です。法律的素養があって、かつ、政治的判断ができる人が裁判官になれば、高度な政治判断も可能になるでしょう。さらに、憲法裁判所ができても、国民の代表機関である国会が有する憲法改正の発議権まで否定されるものではなく、憲法裁判所がある問題について違憲判決を出しても、それに不服であれば国会としての責任で憲法改正を発議すればよいのです。

 憲法裁判所の創設は、国会や国民が憲法に関する関心の度合いを高めるとともに、政治部門と裁判所のほどよい緊張関係の下に憲法を見直していく良い機会を提供するものと考えます。


活力のある地方政府と中央政府の関係

 私たちは、地方自治について、「道州制」を含めた新しい地方自治のあり方を模索しています。その場合、住民に身近な行政はできる限り市町村といった基礎自治体に分担させることとし、国は国としてどうしてもやらなければならない事務に専念するという「補完性の原則」の考え方と、その裏付けとなる自主財源を基礎自治体に保障していくという方針が決定的に重要になってきます。

 地方に自己決定権を与えるとともに自己責任を負わせることによって、地方の努力をうまく引き出せるようにするには、いまの都道府県より広範な単位、すなわち「道州」が適当であると考えます。

 各道州がそれぞれ努力していけば、全体としての国の力を最大化することができる、という「道州制」構想については、今後細部にわたって議論をしていく必要があり、新しい憲法には、こうした点を明示するべきでしょう。

 「道州制」というと、すぐに道とか州の権限、組織などに目が向きがちですが、住民に一番身近なコミュニティの重要性を忘れてはなりません。コミュニティこそ究極の自治の原点であり、我が国の伝統、文化が受け継がれていく場であり、地域によってはそこが生産活動、社会活動の場であり、生活そのものです。人や物の動きの激しい、こういう時代だからこそ、広域的自治体を整備する一方で、顔が見える自治組織をきちんと守り、育てていくことが必要ではないでしょうか。

 国会と内閣の関係、憲法裁判所を含む裁判所制度、地方自治のあり方など統治機構の問題については、国民のみなさんのご意見を十分に聞きながら、引き続き、さまざまな角度から党内議論を行い、憲法改正が必要と認められる事項の整理を行ってまいります。
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