ロゴ:クローズアップ

  家庭内暴力の防止
   画期的なDV防止法が施行

裁判所による保護命令
☆接近禁止命令
加害者が被害者の身辺に付きまとい、住居や勤務先などの付近を、 はいかいすることを六カ月間禁止
☆退去命令
被害者とともに生活の本拠としている住居からニ週間の退去

命令に違反した場合
一年以下の懲役または百万円以下の罰金
図表:
夫から妻への殺人、傷害及び暴行事件の検挙状況
夫の暴力を防ぎ被害者を保護
 裁判所が迅速に保護命令

 「夫婦げんか」として見過ごされてきた配偶者(内縁を含む)による暴力を「犯罪」とみなす画期的な法律が昨秋に施行され、警察などへの相談件数は急増しています。被害者からの申し立てに基づいて、裁判所は「六カ月の接近禁止」などの保護命令を出し、違反者は厳しく罰せられることになりました。

審理期間は平均9日
  違反者には厳罰!

 配偶者からの暴力は犯罪です。夫やパートナーから妻への暴力防止と、被害者の保護を定めたDV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内の暴力)防止法が昨年十月に施行されました。
 警察庁によると、配偶者暴力の相談件数は施行後の一カ月間で前月比五割増の千五百二十八件。法律の効果は、はっきりと表れています。
 男性からの暴力は明らかな犯罪です。しかし、夫婦間の暴力は外部からは見えにくいため見過ごされがちで、被害者の救済は不十分でした。
 今回のDV防止法によって、裁判所が被害者の申し立てに基づき、加害者に六カ月間の接近禁止や、二週間の住居からの退去、といった保護命令を発することが可能になりました。命令に違反した場合は、一年以下の懲役または百万円以下の罰金という重い刑罰が科せられます。
 さらに、判決ができるだけ早く出せるよう、裁判所が関係機関から資料の提出を受けるシステムを確立。その結果、平均審理期間は九日(最高裁調べ)と、処理は極めて迅速です。

命の危険を感じた女性は20人に1人

夫から「命の危険を感じるくらいの暴行を受けたことがある」という女性はなんと二十人に一人。総理府(現内閣府)が平成十一年に実施した調査で、深刻な実態が明らかになりました。「医師の治療が必要とならない程度の暴行を受けたことがある」と答えた女性は一四・一%に及びました。
 しかも、そのうちで警察や婦人相談所などに相談したのは、ほんのわずか。相談しなかった理由は「自分さえガマンすれば……」「自分にも悪いところがある」というものでした。
 夫・パートナーからの暴力は潜在しやすく、放置すると繰り返され、エスカレートする傾向があります。女性に対して恐怖と不安を与え、人権に直接かかわる深刻な問題です。しかし、今回の法律ができるまで多くの人は「配偶者からの暴力は犯罪にならない」「夫婦げんかだから他人はかかわるべきではない」という誤った考えを持っていました。法的な根拠をつくることが必要だったのです。被害者を発見した人は配偶者暴力相談支援センターや警察に通報するよう努力することとなっています。医者なども本人の意思を尊重したうえで守秘義務にとらわれることなく通報できます。

図表:
配偶者暴力の防止と被害者の保護までの流れ
世界の国々のDV対策
 女性への暴力は人権問題として重要な課題となっており、1993年の国連総会で「女性に対する暴力撤廃宣言」が採択されました。
 DV防止先進国の取り組みとして、イギリスは70年代後半から暴力差し止め命令の対象を拡大し、被害者の公営住宅への優先入居などを実施。アメリカは94年の暴力防止法制定によって本格的なDV施策に乗り出し、州や自治体に助成金プログラムを設定。逮捕された男性用のプログラムも用意しています。
 台湾は家庭暴力防止法を98年に定め、配偶者だけでなく児童・高齢者や精神的暴力も対象に含めました。
80年代末からフランス、ニュージーランド、スウェーデンなどで刑法改正時にDV防止を盛り込み、マレーシア、韓国でも特別法が制定されています。
4月1日、全国に支援センター開設

夫から妻への暴力で検挙された昨年一年間の件数は、殺人百十六件、傷害千六十五件、暴行百五十二件となっており、傷害が二・八倍、暴行が四・二倍と、この二年間で大幅に増加しています。
 四月一日には各都道府県に一カ所ある婦人相談所などに「配偶者暴力相談支援センター」が開設されます。そこでは相談やカウンセリング、一時保護、各種情報の提供などを行います。
 ところで、立派な法律ができても、それを実際に運用する行政サイドの理解が不十分では、被害者が二次的被害を受けるケースも出てきます。
 法律の内容を周知徹底してもらうため、内閣府男女共同参画局ではパンフレットやビデオを作って配布し、二月中旬には全国の相談員を集めて研修を実施。内閣府のホームページにもDV防止法のことは詳しく紹介されています。
 わが党としても、この法律を円滑に運用することによって女性に対する暴力を根絶させようと、幅広い取り組みを推進しています。

(党機関紙「自由民主」 2002/2/26号掲載)


インデックスへ戻る